第二章 10話 焔とレベッカ
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ワグ「って感じでシュウはドMって判明したわけよ!」ケラケラ
百々「ドM…ウケる。」
小張「へぇー!シュウ君ドMなんだ!意外ー!」
シュウ「やめてくださいよ!ドMじゃないですから!」
ガヤガヤと食堂でシュウがいじられていた。
?「何だ?新入りドMなのか?」
短髪で日焼けをしている男が会話に入ってきた。…確かこの人はトレーニング室の校庭で走っていた人だ。
シュウ「別に違いますよ!ワグ先輩がいじってくるんです!」
ワグ「あー!バレて恥ずかしいのかぁ?」ニヤニヤ
シュウ「はぁ!?」
走る男「待て待て、Mもまた才能だぞ?」
ワグ「走川さんがその言葉言ったら相当説得力あるなぁ!」ケラケラ
走川「あーそうだ!新入り!名乗ってなかったな!俺の名前は走川恵一。能力は走る能力だ!君もMなら一緒に走ろう!」
シュウ「うぅ勘弁してくださいよー…」
ダンッ!!!!!!
急に大きな音をたて食堂の扉が開く。
ざわざわ ガヤガヤ ざわざわ
シュウ「あれ?あれって、B.B.Bの人じゃ…」
入ってきたのはブロンドの髪色の女だった。
ワグ「うわ!これは大変なもんが見れんぞ!」
コツコツと足音を大きくたて真っ直ぐ、ある席に向い、ガラガラっと強く椅子を引き、ドンッと座る。
隣には焔が麻婆豆腐を食べていた。その前には奏が座っている。
奏「ね、姉さん…」
焔は黙って麻婆豆腐を喰らう。
ブロンドの女「ん゛ん゛!」
咳払いをするが、焔は黙って食べ続ける。
ブロンドの女「ん゛ん゛ん゛!あーあー!ん゛ん゛!」
更にアピールするが一切相手をしない焔。
ブロンドの女「ちょっと!!無視なの!?ここまでして!!」
焔はダルそうにため息をする。
焔「はぁー…何だよ、レベッカ。」
レベッカ「何だよですって!?ここまでして!ここまで来て!挨拶もないの!?」
焔「アタシは疲れてんだよ。アタシに何か話があるなら奏が聞くよ。」
奏「え!僕ですか!?」
レベッカ「いやいやいや!その扱い酷くない!?」
また無言で麻婆豆腐を食べる焔。
レベッカ「む………何よ、そんなに麻婆豆腐ばっかり…そ、そんなに美味しいの?その麻婆豆腐。」
焔「やらねぇからな。」
レベッカ「一口くらい良いじゃないの!」
焔「あーもうダリィダリィ!帰れよお前。」
レベッカ「何ですって!」
シュウ「あの二人って…知り合いだったんですね。仲が良いんですか?」
ワグ「いや、それが逆なんだよなぁ、犬猿の仲なんだあの二人は。…能力がまさにだからなぁ…」
シュウ「能力ですか?」
ワグ「まぁ見てろよ、すぐにどっちかが仕掛けるからさ。」
むぅっと膨れっ面だったレベッカだったが急にハッと何かを閃き、ニヤリとする。
レベッカ「へぇー、そんなに麻婆豆腐好きなんだぁ焔。麻婆豆腐って辛いもんねぇー?がっついてるから優しい私が良いことしてあげる。」
レベッカはパッと焔に向け掌を出す。
すると、周りの6つほどのコップの水が一斉に焔の顔面を捉えた。
バシャーン!!!
ピチャン、ピチャン、ピチャンと水が焔から滴る。
レベッカ「あれー?ちょっとやり過ぎたぁー?ハハハ!ざまぁみろ。よ!」
レベッカは勝ち誇ったように高笑いをする。一方、焔は俯いたまま顔を上げない。
奏「ね、姉さん?レベッカさん、ちょっとやり過ぎたんじゃ…?」
レベッカ「え、、や、、やり過ぎた…かな?」
レベッカは少し焦り始める。
焔「てめぇは…本当に…」
プルプルと震える焔。
焔「いい加減にしやがれ!!!!!」
焔の周りはぼうっと燃え始める。
奏「姉さん!それはやばいよ!!頭冷やして!」
レベッカ「ハハハ!冷やしてあげるわ焔!」
レベッカは楽しそうに他の人のコップの水を操り、周りの火も消し去る。ますます水浸しになる焔。
歯を剥き出しにして怒りが爆発寸前の焔。
だがすぐに怒りを押し殺してフッと笑う。
焔「あーそうかそうか。そうだったな。」
レベッカ「あら?物理的に冷やすのは良い手だったみたいね。でも逆に冷やしすぎておかしくなっちゃったー?」
口に手をやりプププっと笑うレベッカ。
焔「ハッハッいや、お前はいつもそうだったなってな。」
レベッカ「は?いつも?」
焔「そうだ。お前はいつもいつも……アタシと奏の中に入りたがってたもんなぁってよ!」
レベッカは顔が真っ赤になる。
レベッカ「は!?は!?い、意味が分からないんですけど!奏君と焔のなかに!?は!?」
焔はにやつく。
焔「初めて有ったときもそうだったじゃねぇか。未だに覚えてるぜ?あの言葉。あれー?何か私ー、
レベッカ「あー!!!煩い煩い!!別にそんなんじゃなかったんだから!!」
焔「素直になれよレベッカ。友達が欲しいって、」
レベッカ「はぁーー!?友達!?要らな、居ますけど!!沢山居ますけど!!」
焔「知ってんだぜ?お前がまだここに居たときに部屋で」
レベッカ「あーーー!!!!!もしもしランファ?すぐ行くわー!!」
バタバタと逃げるようにレベッカは通信を受けるふりをして去っていった。
焔「けっ、面倒くせぇやつ。」
奏「姉さんよく、爆発しなかったね。姉さんも成長したのかな。」
焔「あぁん?お前まで喧嘩売んのかよ奏。……まぁレベッカとは、なげぇ付き合いだしな。流石に分かってきてるわ。」
シュウ「凄かったですね…火事になるかと思いました。」
ワグ「いつも鉢合せすると、こんな感じだぞ。まぁ大体は焔の姉さんがレベッカを泣かすんだけどな!」
シュウ「あとあの能力は…」
走川「焔とは、対称的な水の能力。あれは相当厄介な能力だと思うな。」
ワグ「何だろうな、流す能力?満たす能力?まぁどれでも良いと思うが、能力的には姉さんは負けちまうけど、やっぱ腕っぷし強いからなぁ姉さんは。」
シュウ「なるほどなぁ…」
シュウはB.B.B社は言うほど悪い人ばかりではないのかなと心に思った。
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本部外─
レベッカ「焔のバカァァァァァァァ!!!!私にも麻婆豆腐食べさせろよぉおおお!!!!!もぉぉぉ!!!」
一人レベッカは本部に向かって鬱憤をはらしていた。
レベッカ「ふん!」
レベッカ「でも………友達……かぁ……」
レベッカは一言呟き降りていたヘリに乗り帰っていった。