第二章 8話 能力の発展と応用
----------------------
シュウ「うーん…あーもう朝かぁ…」
シュウは何か違和感を覚える。そして気付いた。
すぐさま、スマホの画面を見る。
シュウ「」
シュウ「嘘だろ……」
時刻は9:54。10時に教育室なのに…これでは間に合わない!
シュウ「ヤバいヤバいヤバい!ヤバい!」
シュウはどたばたと準備を始めた。実は昨日、寝る前にこんなことがあった。
──────────────────────
深夜1:00─
シュウ「寝かせて欲しいのですが…」
ワグ「駄目だ。寝るな。今から大富豪で負けたら好みの女の子暴露大会を始めるんだから。」
恩田「ぶ、イエーイ!」
男C「まだ寝ないだろー?シュウー!」
シュウ「明日早いんですけど…」
ワグ「大丈夫だって!俺が起こしてやるからさ!」
シュウ「本当ですか?じゃあ信じますからね!」
ワグ「この俺様に任せとけ!」
---------------------
シュウ「もうワグさんは絶対信じない!」
遅刻まで後4分─
シュウは廊下を走る─
シュウ「あー!もうどうしよう!……あ、」
シュウは閃く。
シュウ(ここは五階…教育室は三階…窓から降りれば…やるしかない!)
シュウはバンっと窓を開け能力を使い、飛び降りる。
シュウ(確か……教育室まで続く廊下は……ここだ!!良し!窓も開いてる!)
シュウは三階の窓から飛び込むように入った!
シュウ「よし!誰もいな、」
ドガッ!!!!!
唐突に横から重い衝撃が走る。
シュウ「痛っ!!!」
シュウは少しふっ飛び倒れる。
シュウ(だ、誰かにぶつかった!?)
「あ、す、すいません!!」
シュウがぶつかった方向を見るとそこには─
シュウ「え……?忍者??」
忍者が横たわっていた。
シュウ「あ、え、あれ、あ、ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
忍者はハッと自分の腕時計を見る。
忍者「くっ失礼するぞ!」
忍者はすごいスピードで廊下を走りだし、角を曲がった。
シュウ「あ…って、あ!!俺も急がないと!!」
シュウも走り教育室前まで走り出した。
トントン!
シュウ「失礼します!」
ガラガラ
戸をノックしすぐさま入る。
フランクさんが既に席に座っていた─
シュウ「あ………あの………」
フランク「………」
フランクの目は険しく、黙ってシュウを見つめる。
シュウ「ごめんなさい!!!遅刻しました!!!」
シュウは正直に深々と頭を下げ謝罪した。
フランクは、はぁ…と溜息をつき、
フランク「もう…遅刻とは……先が思いやられますよ?」
シュウ「すいません……」シュン…
フランク「あなたもです。伊賀崎。」
シュウ「え?」
するとフランクの右斜め後ろにフッと伊賀崎と呼ばれた男が姿を表した。
シュウ「あ!さっきの!」
伊賀崎「流石は隊長殿です。見事な観察眼をお持ちで。」
フランク「伊賀崎。」
伊賀崎「………だって、、、」
フランク「だって、、何でしょう?続けてください。だって、何ですか?」
伊賀崎「………ごめんなさい。」
フランク「許しましょう!!!」
バッと腕を広げ言った。
伊賀崎「やったー!!」
伊賀崎も手をグーにして上に突き上げる。
シュウ(あ…こういう所なんだ。)
フランク「………さて。」
広げていた腕を戻し姿勢を正す。
フランク「これからシュウ君の上司に当たる私、フランク・ハーウェイと、」
伊賀崎「副隊長の伊賀崎梟太です。」
フランク「彼は非常に優秀な副隊長です。私が留守の時重要な言伝があれば、彼にお願いします。オペレーターの誰かに頼めばすぐに駆け付けるでしょう。」
シュウ「あの、先程も消えたり出てきたりって、」
伊賀崎「はい。それは自分の能力ですね。忍者らしく、忍ぶ能力って所ですかね?」
シュウ「忍ぶ能力…本当に忍者みたいですね!!」
フランク「彼は本物の忍者の家系なんですよ?」
シュウ「え!本物なんですか!?」
伊賀崎「はい、戦国時代に城責めと言ったら伊賀崎道順。[伊賀崎入れば落ちにけるかな]とまで詠われたほどの実力がある忍者の家系です。」
シュウ「本当に忍者居たんですね…すげぇ…」
伊賀崎「まぁ…ね……。」
赤面する伊賀崎。
フランク「って言うことで、話を本題に。」
今回の最初の話は仕事内容だった。Sfの通常任務はどういう内容なのかを教えてもらった。
シュウ「自分に交渉や工作活動は出来ますかね…」
フランク「大丈夫です!私も皆分からないことやきついことはフォローしますので!」
シュウ「本当にお願いしますね…」
フランク「えーっと後は…そうそう!団長からお願いされていた事がありました。」
机の上に置いてある資料をぺらぺらと捲り、
フランク「能力の発展と応用の話です。」
シュウ「能力の…何ですかそれ?」
フランク「能力の発展と応用、、ふふふ、、能力は成長するのです。」
シュウ「え!成長するんですか!?」
フランク「しますとも。やる気と閃きと努力があれば。簡単な例で言うと、焔さん。焔さんは火を自在に操れます。自在に操るまで実は色々な過程があるわけです。最初は小さな火の粉から、そこから強く炎をイメージしたり、何度も限界まで能力を使ってみたり、するわけです。そうすると出せる限界値が増えたり、出来ることが増えたりするわけです。口で言うのは簡単ですけどね。これが能力の発展ですね。」
伊賀崎「自分も最初の頃は能力を上手く使いこなせませんでした。能力のイメージを解くと姿を見られたり、能力が長く続かなかったり、、練習、鍛練あるのみですね。」
シュウ「じゃあ俺も…もしかしたら、、」
フランク「勿論!何か成長するかもしれませんよ。能力の使いかたのを変えてみたりすると良かったりします。自分が浮く。ではなく、浮かせるイメージをしてみたりとか、まぁこれが能力の応用ですね。」
シュウ「なるほど…深いんですね…」
フランク「能力は一生付き合う相棒です。そして、自分自身の成長は能力の成長にも繋がります。きっと能力は何かしら答えてくれますよ。」
シュウ「……」
正直この能力に良い思い出がなかったシュウはそう言われて言葉がすぐには出なかった。
フランク「お、もう時間ですね。明日はまたこの時間に来てください。大事な事を話すので決して遅刻はしないように。」
シュウ「分かりました、気を付けます!」
フランク「元気がいいですね。その意気です。これからもよろしくお願いしますね。」
シュウ「はい!」
フランク「では、戻っていいですよ。今日はこれで終わりです。お疲れ様でした。」
シュウ「ありがとうございました。明日もよろしくお願いします。」
シュウは一礼して、教育室を後にした。
----------------------
シュウ「能力は相棒か…頑張れるかなぁ…」
シュウはとぼとぼと廊下を歩いていると、
ワグ「あ!!シュウ早く来い!!ヤバいやつが来たぞ!!」
シュウはワグに見つかり声をかけられる。
シュウ「はぁ、、次は何ですかー?」
シュウは面倒臭そうに答える。
ワグ「中々見れないお客さんだ!応接室にだってよ!見に行こうぜほら!」
シュウ「はぁ…分かりました。行きますよー」
シュウは渋々ワグに着いていった。
---------------------