第二章 4話 隊長会議
龍義「改めて、歓迎するよ。芦屋修二君。」
シュウを囲むように円を書いた長机があり、六人の男女がそこに座っていた、真ん中にポンと椅子がある。
龍義「ようこそ。我らがBARKERsへ。真ん中の席へ座りたまえ。」
シュウ「はい!」
シュウは真ん中の席へ座る。
シュウ「よ、よろしくお願いします!」
紳士「そんなに緊張しないでいいですよ?いつものあなたで構いません。」
聞いたことのある声…緊張してしっかり見えていなかったが、フランクさんがそこに座っていた。
シュウ「あ、フランクさん!」
フランク「はい。フランクです。」ニコッ
厳ついじいさん「おい!!!先に進めろ龍のガキ!!!こちとら忙しいんだ!!!」
ビクッ
シュウ「っ!!すいません!!」
フランク「巌鉄さん…いきなりそんな喧嘩腰はいけませんよ…シュウくん驚いているじゃありませんか…」
巌鉄と呼ばれた男「うるさい!!!この程度でビビるようじゃうちには入れん!!!そのような腰抜けはな!!!Cfに入っとけばよいんじゃ!!!」
イカしたオジさん「おいおいおい。うちらの所が腰抜けの集まりだって言いたいのか、巌鉄。」
巌鉄と呼ばれた男「間違えていないだろう!!!無能共めが!!!」
イカしたオジさん「あんた…それは聞捨てならねぇぞ。」
巌鉄と呼ばれた男「なんだ!?やり合おうってか!!!」
バンと机を叩く白衣を着たエロい女。
エロい女「あんた達!チノ婆さんが怒ってるよ!新入りの目の前で喧嘩はやめな!」
白衣を着た婆さん「帰りたい。」
龍義は頭を抱える。
龍義「はぁ…これでは始められないぞ…巌鉄。お前は誰にでも喧嘩を売りすぎだ。特に普通の人間やCfの人を無能と言うのはやめろ。彼等はBARKERsの為に頑張ってくれている。BfだってCfのお陰で成り立ってる所も有るんだぞ?」
巌鉄と呼ばれた男「俺にとっては関係ない!!!進めるなら進めろ!!!黙っといてやる!!!」
イカしたオジさん「何なんだこいつ。」ボソッ
白衣を着た婆さん「アホだね。」
龍義ははぁーっと溜息を出した後こう言った
龍義「まぁこんな感じだ…我らが隊長達は。皆、個人としても、指導者としても実に素晴らしい実力の持ち主だ。まずは、部署の説明をしよう。」
シュウ(本当凄い濃い人達だなぁ…っていうか怖い。アリサさん、助けてほしい。)
龍義「私達の組織は四つの部署に分かれている。左から順に郡楽巌鉄率いる、Battle faction。通称Bfだ。Bfは戦闘を得意とするものが所属する部署だ。」
巌鉄「ワシは元土木建築家でもあったからな!!!戦闘だけでなく、道路の鋪装や水道管整備等もやるぞ!!!」
シュウはコクコクと首を縦に降る。
龍義「次はフランク・ハーウェイ率いる、Secret faction。通称Sfだ。Sfは隠密活動や交渉を得意とするものが所属する部署だ。」
フランク「まぁ自己紹介はしなくても私のことはご存知でしょう。よろしくお願いします。シュウ君。」
シュウ「はい、よろしくお願いします!」
(この人って隊長だったのか…大丈夫なのかな?)
龍義「因みにフランクはBARKERsの副団長でもある。」
シュウ「え!!そうなんですか!?」
フランク「意外と大役なのです。」
龍義「私を越えて次は、千歳チノ率いる、Medical faction。通称Mf。医療系や治療を得意とするものが所属している。」
チノ「よろしく。」
エロい女「よろしく期待してるって。」
シュウ「あ、あの、そこの方は?」
エロい女「私?私はMfの副隊長を任されてる、溶定妖華。まぁチノ婆さんの通訳と思っていいよ。」
シュウ「なるほど…分かりました。」
(通訳…?)
龍義「最後は伊勢原商巳率いる、Commercial faction。通称Cf。CfにはBARKERsの事務作業、依頼された慈善活動、BARKERs本部内の経営や管理等を任せている。能力を持たない人間も多く働いているな。」
伊勢原「どうも、伊勢原商巳です。自分自身、能力はないが、他の方々に負けぬくらい仕事に気合いを入れているのでね、もし、私達の部署に加入したら共に頑張ろう!」
シュウ「はい!その時はお願いします!」
(これだけでも分かるけど、とても接しやすい人なんだな、入るとしたらこの人の元が一番しっかり仕事出来るかも。)
龍義「以上が組織内の説明だ。何か質問は有るか?」
シュウ「じ、自分はどこに?」
龍義「ああ、その事だが、まだ決めかねている。今この段階で決めようとは思っているよ。その為に数々の質問がある。それに答えてくれるか?」
シュウ「分かりました。答えられる限り、答えさせて頂きます。」
シュウは龍義に数々の質問をされた。物は浮かす事が出来るかや、空中を保てる時間等、能力関係や、戦う事が出来るかや、大事な人を救う為なら何を犠牲にできるか等、性格的面の質問などだ。
龍義「これでもう聞くことはないな。芦屋修二君。何か聞くことはあるか?」
シュウ「自分の配属はいつ分かりますか?」
龍義「このあと我々で話し合い決めさせてもらうので、まぁ明日になるだろう。」
シュウ「分かりました。」
龍義「他にはあるか?」
シュウ「いえ、大丈夫です。」
龍義「うむ。それと、BARKERsの能力者メンバーには担当オペレーターを一人付けている。オペレーターとは、連絡係、マネージャーのようなものだな。芦屋修二君の担当は…そうだな…アリサに任せる。何か問題等はあるか?」
シュウ「いえ!アリサさんだと話した事もあるし、自分的には話しやすいので、助かります。」
龍義「よし、ではそれでいくとしよう。それでは、今日はご苦労だった。今日はもう戻って良いぞ。アリサには明日の予定を伝えておく、アリサから連絡があるだろう。」
シュウ「分かりました!では、失礼致します!」
バタン!!
シュウは会議室を後にする。
巌鉄「ふぅむ…あのガキの資料を見たが周りと負けず劣らず、数奇な人生を歩んでおるな。」
チノ「可哀想だね。」
フランク「ですが…彼の芯はしっかりしていますよ。彼の正義感は人並み以上です。」
龍義「そうだな。そうでなければ自殺を寸前で取り止め、人を助けに行こうとは思わないだろう。」
伊勢原「確かに。彼の目は強い光を持っているように見えた。きっとBARKERsで活躍してくれると思うな。」
チノ「好青年。」
龍義「うむ…皆、加入には賛成と言うことでよいのだな?」
フランク「勿論。」
チノ「いいよ。」
巌鉄「構わん。」
伊勢原「問題ないね。」
龍義「よし。それでは、配属なのだが…」
巌鉄「ワシの所には要らん。足手まといなだけだからな!!!」
チノ「駄目だね。」
妖華「医療の知識も、能力もない彼にはうちは厳しいね。」
龍義「俺もそう思っていた。SfかCfか…」
伊勢原「私の意見からすると、Sfは命の危険性がある。私達のところが一番合うのではないでしょうか?能力的にも浮く能力は慈善活動等に役立つ。是非私達の所で。」
フランク「いや、お待ちください。」
龍義「フランク、何かあるのか?」
フランク「シュウ君は、私達Sfに任せて欲しい。」
伊勢原「ん、、何故?」
フランク「シュウ君の能力は確かに慈善活動や人の助けに匹敵しています。」
伊勢原「ならばこそ、うちで良いんじゃないか?」
フランク「ですが、です。私は彼に底知れぬ可能性を見ました。それに、彼の境遇を考えて、やはり慈善活動よりも、起こりうる事態を事前に交渉や工作活動で食い止めるのが向いているのかなと。幼馴染と同じ道筋を他の方に辿らせぬように。」
各隊長は皆驚いた顔をしている。
巌鉄「ほぉう?この非道な殺し屋にこれほどな事を言わせるか!!!実に興味深いな!!!」
伊勢原「確かに驚いた…」
フランク「あなた方は失礼ですね…それとも、シュウ君を引き取るという願い出に何か問題は有りますか?」
伊勢原「いえいえ、BARKERs副団長の方針ならば文句有りませんよ。芦屋修二君はSfに加入ということで。」
巌鉄「異論はない!!!」
チノ「いいよ。」
龍義「うむ。俺も問題は無い。では、満場一致で芦屋修二をSecret factionに正式に加入する。」
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バタン
シュウ「はぁー…怖かった…」
アリサ「ウフフ♪お疲れ様でした!」