第二章 3.5話 その頃の芦屋家
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莉沙「ふわぁー!よく寝たー!」
今日も最高な朝を迎えた!何故なら今日もお母さんが家にいるし、元気になったお兄もいるから家族皆で一日を過ごせるんだもん!
バタバタと起きて下に降りる。リビングに入るといつもは居ないお母さんがしっかり居た。
莉沙「お母さん!おはよう!!」
シュウ母「……あ、おはよう莉沙。」
母は椅子に座り、片手で頭を抱えるようにしていた。そして、母の様子の違いに気付く、
莉沙「どうしたのお母さん?体調悪いの?何か嫌な事があった?」
シュウ母「嫌な事……うん…まぁ…そうかもね。でも、大丈夫よ。」
莉沙「…大丈夫?お母さん…?何があったの?教えて?力になれることなら何でもするよ?」
母はニコッと笑い、
シュウ母「そうね、その時はお願いするわ。でも今は大丈夫よ。それと、、今日の夜話があるわ。重要な話。」
莉沙「分かった。絶対聞くね!、あ!お兄まだ寝てるのかな!」
シュウ母「あー…シュウなら早めに学校を出たわ。何か大事な様があるみたいで。」
莉沙「ふーん…そうなんだ…何か怪しいなぁ。」
(こんな朝早くに黙って出るなんて聞いてないし!メッセージ送って問い詰めてやろ!)
シュウ母「ご飯出来てるわよ。食べるでしょ莉沙?」
莉沙「うん!ありがとう!食べる食べる!!」
莉沙は母の目が赤くなっていて隈が出来てる事を気付いていたが、夜に話すと言われたので気を使って聞くのを我慢した。
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莉沙「ごちそうさま!お母さん美味しかったよ!」
シュウ母「はーい、ちゃっちゃと用意して学校行きなさいよー?」
莉沙「うん!じゃあ洗い物とかお願いね、お母さん!」
シュウ母「はいはい、任されました。」
莉沙「へへへ、じゃあ準備して行ってくるねー!」
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莉沙、学校にて─
女子A「何か白翼学園閉校の危機らしいよー?」
莉沙「え!嘘!やっぱ色々事件あったしニュースで色々出てたからかな。」
女子A「お兄さんそこの学生だよね?」
莉沙「うん…そう…お兄が卒業するまでは有ってくれるのかなぁ…」
女子A「今推薦とか応募来た人達どんどんキャンセル来てるみたいだよ?何か編入するって人も居るみたいだし。」
莉沙「ま…マジ…」
(お兄…美香姉の件があるから…大丈夫かな…)
女子B「何か噂では好一君家族も先にこうなることを見越して海外に移住したって話があるよ。友樹君、今回の事件の近藤って人と仲が良かったみたいだし…」
莉沙「確かにトモ兄が居なくなったのは急だった気がする。皆に言えなかったのかな…」
女子B「だって、好一君も野球メンバーに入ってたし試合も近かったから小さな理由では急に出ていかないと思う。」
莉沙「……私、何か怪しいと思う。お兄も何か隠してた感じだったし。」
女子A「お!これは名探偵莉沙の誕生ー?」
莉沙「ちょっと!茶化さないでよー!」
アハハハハハハ!
莉沙(今日、お兄に絶対聞いてみよ。もう元気になってきてるし、少し聞くくらいなら大丈夫だよね。)
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18:36─
莉沙「たっだいまー!!お母さーん!!」
ドタドタ
莉沙は帰宅して早々母の下へ走って行った。
ガチャ
シュウ母「おかえ、おおっと!ヨシヨシ、こうしてほしいのかぁー?」ナデナデ
調度出迎えようとリビングの扉を開けた母の胸へ莉沙はダイブした。
莉沙「えへへ…帰ったらお母さんが居るって嬉しいなぁ…」
シュウ母「フフフ、そう言ってもらえるとお母さん冥利に尽きるわね。」
莉沙「フフフー♪あ!お兄は?もうご飯食べてる?」
シュウ母「あ…シュウ?シュウは……ま…だかしら。……いや………お先にお食べ莉沙。」
お母さんは片手で頭を抱えリビングに戻る。お母さんの癖は辛いこと、大変なことがあるといつも片手で頭を抱える。
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本当に大変な事が起こったのが分かる。
お母さんは今では両手で頭を抱えて座っているのだ。
ご飯を全て食べ終わった莉沙はとうとう自分から話を切り出した。
莉沙「ねぇ、朝に話すって言ってた話って何?私何となくだけど…嫌な予感がするんだよね…」
母は頭を上げ、はぁーっと深い溜め息をつき髪をグッと掻き分けた。
シュウ母「シュウの事なんだけど…」
莉沙「お兄に何かあったの!?」
莉沙は反射的に大きな声を出してしまう。
シュウ母「……シュウは当分帰ってこないわ。」
莉沙「え…」
莉沙はその言葉に絶望を得た。やっと、やっと家族揃ったのにもう離ればなれになってしまったこの状況に。
莉沙「何で…ねぇ何で!?お兄どこ行ったの!?」
シュウ母「……海外へ仕事に行ったわ。」
莉沙「……海外…?」
莉沙は友樹が海外へ移住したという話を思い出す。そして、海外というだけでしっかりと場所が言われてない事に気付く。
莉沙「ねぇ海外の、どこ?」
シュウ母「……分からないわ。」
莉沙「わか…らない?」
シュウ母「ええ。色々な所を転々とするらしいのよ…」
莉沙「意味が分からないよ…何で急に…」
シュウ母「内容としては人を助けに行ってるみたいだわ。政府の役人さんが来てそういう話で決定したの。」
莉沙「…何でお母さんOK出したの?」
シュウ母「………」
母は険しい顔で黙りこむ。
莉沙「……お兄、頑固だもんね……そう言うこと?」
シュウ母「フフ…私よりシュウの事知ってるのね莉沙…本当困ったものね、シュウ…」
莉沙「…でも、でもね?お兄は頑固だけど、悪いことで頑固になったことなかったよ?しっかりお兄なりに考えてた。」
シュウ母「うん…そうかもしれないわね。」
莉沙「でも…場所がハッキリと分からないのはおかしいよ…」
ジワジワと眼に涙を浮かべる莉沙…
莉沙「あ、あーあ!もう!やっと家族皆揃ったのにな!…あーあ!」
ぽろぽろと我慢できずに溢れてしまう涙。
莉沙「ん、ングッ、ズズっ…危ない目にあっだら…お兄絶対許ざだいもん…」
シュウ母「ヨシヨシ…大丈夫よきっと。たまには顔出すように言ったし…連絡も繋がるはずよ。」
莉沙を撫でながらそう言う母。
莉沙「連絡…まだしっかりしてくれるかな…ズズっ」
シュウ母「してくれるわよ。後で連絡してみなさい?」
莉沙「わがっだ…じでみる…」
そして母を上目で見てどうしても言いたい言葉を言う。
莉沙「だいずき、お母さん…」