第二章 3話 不安溢れる出発
シュウ「ここが……本部…」
アリサ「はい!ここが、BARKERs本部でございますわ!」
ここまで来るのに大分時間が経っていた。最初のリムジンからヘリ、そしてリムジン、最後に徒歩と大分山の奥まで進んできた。
シュウ「でかい…ですね。」
そのBARKERs本部はまるで、ビルと学校が混ざったような建物だった。縦にも横にも兎に角でかい。こんな建物が町中にあったらきっと目立つ、だからこんな山奥にあるのか……
奏「まぁ寮も、お店とかも入ってますからね。皆さんの意見を聞いていったらこんな巨大になったみたいです。」
シュウ「そうなんですか…何か気圧されるなぁ…」
アリサ「大丈夫です!シュウさま!きっと皆様良くしてくれますわ!私達が保障します!」
焔「まぁ、付き合っていく連中は間違わないようにした方が良いのかもな。悪い奴はいねぇが面倒なやつはいる。」
シュウ「えー…」
アリサ「ちょっと焔!これからって時にそんな事言わないでくれます!?」
焔「カッハッハ!!まぁ適当に頑張れ新入り!!」
背中をバンッと叩かれるシュウ。
シュウ「痛っ!」
焔「じゃあうちらは行くわ!じゃあまたな!」
奏「また会いましょう!シュウ君!」
焔と奏は先へ歩いて行った。
フランク「私は…あ!急がなくては!!では、また!」
フランクはバタバタと走っていく。
ロッド「………」
ロッドは三人とは違う方向へ歩いて行った。
アリサ「さあ!行きますわよ!シュウさま!いざ!新天地へー♪」
前を指差しアリサは言った。
シュウ「あ、はい!案内お願いします!」
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アリサ「っと言ってももう時間がありません。取り敢えずはシュウさまの部屋を案内しますわ。ちょっと待っていて下さいませ。」
シュウ「俺の部屋…何かドキドキするな…」
アリサは右耳の下の窪みに指を置く。
アリサ「あ、こちらアリサです!シュウさまの部屋を確認したいのですが、何番でしょうか?………はい、050でございますか?畏まりました。ではそのように、はい。」
アリサは手を下ろし
アリサ「部屋は050でございますわ!二人部屋なのですが、よろしかったでしょうか?」
シュウ「大丈夫ですよ!二人かぁ更に緊張するな…同じ部屋の人はどんな人なんですか?」
アリサ「んー……一言で言うと…ウザい?」
シュウ「へへ…」(えー!!)
アリサ「でも悪い方では絶対ありません!保障しますわ!では、向かいましょう!」
シュウ「良かった…じゃあ楽しみにしてます…あ、一つ聞いても良いですか?」
アリサ「何でしょう?」
歩きながら答える。
シュウ「皆さん、耳の下に指を置いて連絡を取ってるみたいなのですが……もしかして…右の下の中に通信機みたいなのを入れ込まれているんですか?」
その言葉に目を少し見開き驚いた表情をするアリサ。少し固まってから、笑い出した。
アリサ「アハハハハハハ!」
相当な大笑いだ。
シュウ「あ、あの、違いました…よね?その感じは。」
アリサは少し出た涙を拭い答える。
アリサ「はぁ、はぁ、申し訳ありませんわ、シュウさまの想像力が斜め上を行っておりまして…フフフ、耳の中になんて、非人道的で痛そうな事しませんわ!」
シュウ「で、ですよねー…」
アリサ「これですわ、これが通信機ですの。」
スッと右の裏に引っ掛かっていた見た目が薄いピンク色でただのフック?のような物を外して、シュウに見せる。
シュウ「これが、通信機ですか?何かプラスチック製のただのフックにしか見えないですね。」
アリサは得意気に答える。
アリサ「フフフ♪これはですね?超万能な通信機ですのよ?この下の方が膨らんでるのが分かります?」
確かに下の方が膨らんでいるのが分かる。よく見ると3つ線が入っており、区切られている。
アリサ「この膨らみを耳の下の窪みにはめるのですわ!それでここ!3つ押せるところがありますの!一番先が無線で二番目が翻訳、三番目が緊急連絡の機能がございますのよ!シュウさまが配属されたら貰えると思います!」
シュウ「へぇー!凄いですね!」
アリサ「更に翻訳機能は自分が話したい言葉を言えばそれも翻訳して流してくれるんですの!」
シュウ「めちゃくちゃ凄いじゃないですか!これ一つで外国の方との会話が可能なんですね!」
アリサ「これを製作したのは私達の…もう亡くなってしまいましたが…発明家の方がいましたの。その方ともう1つの能力者の団体が手を組んで作りましたのよ!私としても誇らしいです!」
それからはまた他愛のない会話をしながら向かっていた。アリサさんとの会話は飽きない。話しててとても楽しいし元気になる。喜怒哀楽をしっかりと素直に表現して話しているので聞いているこっちも気持ちが入る。それに話を聞く姿勢も良い。ウンウンと興味をもって聞いてくれるし、その返しもあぁしっかり考えてくれてるんだなぁと感心するくらいだ。
いつの間にか050室、俺がこれから住む部屋に辿り着いた。
アリサ「ここですわ!どうぞ中に!」
カチャン
部屋のドアが開き、中が露になった。
シュウ「ここが、俺の部屋…なんですね。」
中の様子はごちゃついてはなかったが、もう一人のルームメイトの物であろう、物が少し散らかっていた。あれは、、神に愛されたと言われたアイドル、RI☆NAのポスターだ。数枚飾ってあった。
アリサ「あら、和久さまはいらっしゃらないですわ?ここのもう一人のお方は和久廻という方なのですが、只今、勤務中で御不在でしたわね。」
シュウ「和久廻さんですね、覚えておきます。」
腕時計を見るアリサ。
アリサ「いけない!あと少しで約束の18:30ですわ!急ぎましょう!遅刻は厳禁ですわ!」
シュウ「は、はい!」
走ってその会議室1へ向かった─
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会議室1扉前─
アリサ「はぁ、はぁ、はぁ、ここ、ですわ…」
膝に手を付き、ぜぇぜぇと息を出す。
シュウ「ふー、大丈夫ですか?アリサさん。」
アリサ「私は、体育会系ではないです、けど、体力を付けることは、はぁ、はぁ課題ですわね…」
シュウ「あの…この会議室で何をするんでしょうか?」
アリサ「ふぅー…えっとですね、今回は入団に至っての顔合わせって感じですわね。中には各部署の隊長さま方がいらっしゃってます。そこでどんな人柄だったりを感じて頂いて、配属。って感じですわね!」
シュウ「なるほど…隊長さま方?」
腕時計をちらっと見るアリサ。
アリサ「あ、時間ですわ、どうぞ、中に。」
シュウ「あ、はい!」(もっと聞きたい事あったけど、今はもう入るしかないな。)
檜皮色の両扉からは凄い圧を感じ、少し体がすくむ思いだった。
アリサ「フフフ、大丈夫ですわ。私は中に入らないですけどここで待ってます。そんなにドキドキしなくても、皆さんいい人ですから心配なさらずに。もっと、気楽に行ってください?」
シュウ「うぅん…ふー…行ってきます。」
アリサはニコニコとして手を降る。
トントン ガチャア
重い扉は開き、シュウは入る。
龍義「改めて、歓迎するよ。芦屋修二君。」
シュウを囲むように円を書いた長机があり、六人の男女がそこに座っていた─