第二章 1話 ブリーフィング
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車内はとても賑やかだった。赤い女の人は本藤さん?が埋まっていた写真をグリーンの男などに見せて笑っていて、それをグリーンの男が叱る。ラヴさんとアリサさんは特に煩い。ボケたり歌ったり俺をいじってきたり…でもこの空気は心が穏やかになって心地良かった。
本藤さんはこの状況でも本を黙って読んでいる。
赤い女「おい!ロッド!お前ももう一回、この失態を自分の目で見ろよ!!カッハッハ!!マジで何回見ても笑えるぜ!!」
本藤?ロッド?「………お前はきっとクラスに居たら悪質ないじめをするんだろうな。」
シュウ「あ、あのー」
赤い女「あ?何だ?お前ももう一回見たいか?」
シュウ「あ、いや、本藤さんって外国の方なんですか…?」
赤い女「……」
アリサ「……」
ラヴ「……」
グリーンの男「……」
この言葉に皆固まっていた…そしてすぐに皆笑いだす。
赤い女「カッハッハッハ!本藤か!誰かと思ったぜ!」
アリサ「フフフフ♪本藤さんもまた偽名ですのよ?しかもその名前は私が付けましたの!」
シュウ「偽名だったんですか!」
本藤?「………そうだ。私のなま」
アリサ「偽名の由来ですか?由来はですねぇ…本がどうしても好きなんだい!で本藤好大です!どうでしょうか?私的には最高なセンスだと思いますが!!どうでしょう?どうでしょう?褒めても良いのですのよ?それともそれとも!私がシュウさまの偽名をお付けしましょうか?」
赤い女「アァリィ!うるせぇぞ!はしゃぎ過ぎだ!」
アリサ「うぅ怒られました……」
ラヴ「大丈夫ですよ、直に私も怒られますので…」
グリーンの男「そう言えば…そうですね……僕達の自己紹介が必要ですよね。フランクさんの事だってラヴだと思っているんですから。」
ラヴ「Ouch!!それはいけませんね!」
アリサ「ラヴ・ロマンも私が考えましたのよ…?」ウルウル
シュウ「い、良い名前だと思いますよ!」
アリサの顔はパァァッと明るくなった。
んん!っと咳払いをしてグリーンの男が発言する。
グリーンの男「まずは僕からいきますね!」
グリーンの男「僕の名前は風峰奏って言います!芦屋君より1つ歳は上ですが、気軽に何でも話し掛けて下さいね!」
シュウ「はい!よろしくお願いします!奏さん!」
奏「さん、なんてそんな偉い身分では無いですよ。呼び捨てでも結構ですので!僕は…じゃあシュウ君とお呼びします!」
シュウ「分かりました!じゃあ…俺も奏君で!」
赤い女「じゃあ奏の次はアタシだな!」
グッと拳を前に出す赤い女。
赤い女「アタシの名前は石火矢焔だ。適当に呼んでくれな。」
アリサ「彼女はまたの名を赤鬼、大焱鬼焔とも呼ばれてますわ。」
ラヴ「みなさん敬意を……いや恐怖を持って姉さんと呼んでます。」
焔「あ?殺されてぇのか?」
アリサ・ラヴ「………」
シュウ「な、なるほど…よろしくお願いします!焔さん!」
焔「ほらっ早く拳を出せ、おら。」
シュウ「え、こうですか?」
拳を前に出すシュウ。
焔「そうだ、よ・ろ・し・く・な!」
ゴツンと拳をシュウにぶつける。
シュウ「い……てぇ……」
まるで堅い岩をぶつけられたような痛みに悶絶してしまうシュウ。
焔「カッハッハッハッハ!!良い拳だぜシュウ!!ハッハッハ!!」
シュウ「ぐぅ……」
ラヴ「次は次は私の出番のようですね!!あるときはラヴ・ロマン…あるときは…何か!!」
アリサ「ノープランでしたわね。」
ラヴ「私の名は!」
演劇のように胸に手を当て、片手は大きく開き…
ラヴ「フランク…………ハーウェイ!!でございます!!」
そしてスッと縮こまりモジモジし始める。
フランク「私も…私もシュウってアダ名で呼びたいなぁ…て…」モジモジ
焔「キモ、勝手に言って死ねば良いのに。」
奏「姉さん…慈悲が無いよ…」
シュウ「ぜ、全然良いですよ!是非シュウって呼んで下さい!フランクさん!」
フランクの顔はパァァッと明るくなった。
アリサ「私はもう自己紹介はしましたので、後はロッドさんの番ですわ!」
パタンと本を片手で閉じ、ジロッとシュウを見る。
本藤?ロッド?「………私の名前は五條宣治だ。」
シュウ「え……ロッド要素は?」
焔「カッハッハ!ロッドってぇのはなアタシが付けたアダ名なんだよ!」
シュウ「え、何でロッド?」
焔「杖みたいだろ?細くて!」
シュウ「…」
シュウ(悪口じゃん!!)
シュウ「良いんですか?そんなアダ名で呼ばれてても!」
ロッド「………構わん。」
シュウ「あ、、良いんですか…」
ロッド「………名前なぞ、ただの分け方でしか過ぎん。まして皆が覚えやすく、親しみを持ってくれてるならそれで構わん。」
アリサ「意外とそれがロッド呼びの方がしっくりくるんです!」
焔「名字も名前も呼びにくいからな!」
奏「僕も…ロッドさんと呼んでます。」
フランク「私もです!私もです!」
シュウ「んー……良いんでしょうか?」
ロッド「……構わん。」
シュウ「分かりました。じゃあ…俺も…ロッドさんで。」
ロッド「……ふん。」
それから少し時間が経ち、モニターから発信音が鳴る。
ピリリリリリリリリリ!!!
焔「お、反省会の時間だな。」
奏「姉さんその言い方やめて。」
アリサ「ブリーフィングですわ!ブリーフィング!」
フランク「嫌だよぉブリーフィング怖いよぉ」ブルブル
ロッド「………」ピッ
ブヴゥン。
ロッドがリモコンのボタンを押すとモニターの電源が入り、そこには浅黒い男が写っていた。
浅黒い男「すまないな、少し遅れてしまった。」
アリサ「いえいえ!大丈夫ですわ!ブリーフィングでよろしいのですよね?」
浅黒い男「今回の内容と現場報告を頼む。」
シュウ(あ、あまり声をかけちゃいけない雰囲気かな。)
アリサ「はい!まず、私はオペレーターとしての業務をこなしてましたわ!取り合えず、行方不明多発事件と相田友樹さまの件が同一犯によるものだと仮定して、相田友樹さまの行動を探りましたわ!結果、あちら側との接点が決定的になりました。その証拠写真何ですが…ちょっとパソコンを立ち上げるので少々お待ち下さいませ。」
ロッド「………」
ロッドは頬を擦った後言った。
ロッド「証拠写真には近藤澄彦本人の顔が写ってなかったので、まずは相田友樹の周辺の写真の雰囲気に似ているような人物を探しだした。浮かび上がったのは近藤澄彦だった訳だ。そして、俺は単身で潜入捜査をした。結果、芦屋修二、相田友樹が能力持ちだと判明。だが、近藤本人の能力や犯行はその時は確定出来なかったが、倉庫内で犯行を確認、芦屋修二の力を借りて、全ての証拠は証言された。」
焔「じゃあ、アタシか。埋める能力については相田友樹宅で判明。どうも血の臭いがプンプンするもんで、壁紙を剥がしてみたら内側に血が付いてやがった。床や、机の足を捲っても出てきたな。よって、何かを下に潜らせる能力だと仮定した。んで、色々有って対峙して木端微塵にしてやった…ってとこか?」
奏「僕は、今回巻き込まれた方々に支援をさせて頂きました。生駒家には生駒美香の口座に1200万を振り込み、一世代の公共料金を8割負担。成瀬家には2800万の学校側からという名義で謝礼を渡す予定です。そして、学校側に関してなのですが、取り合えず校長には我々のCfの支援用番号を教えておきました。いつ学校が閉校しても大丈夫なように。」
フランク「……ふはふははは、最後は私ですな!ふははは!シュウ君の勧誘に成功しました!」
アリサ「いえ、フランクさまに任せていたら大失敗してましたわ。シュウさまご自身の意志でここまでこれましたのよ。」
フランク「……ふは」
浅黒い男「いや、いい。フランク、お前はここに必要な人物だ。失敗ではない。現にここに芦屋修二君は来てくれたのだからな。」
そして、浅黒い男は続ける。
浅黒い男「よく、来てくれた。芦屋修二君。心から歓迎する。俺の名前は久里浜龍義だ。挨拶が遅れてすまなかったな。よろしく頼むぞ。」
シュウ「はい!よろしくお願いします!俺、頑張りますから!」
龍義「ああ、期待しているぞ。」
アリサ「はーい!はいはーい!写真をモニターに写しまーす!」
モニターにある写真が写し出された。
焔「」ピクッ
アリサ「はい!奏さま!焔をなだめて!」
奏「姉さん!隠してたのは訳があって!」
焔「てめぇら!!隠してたのか!!」バチバチ
周りに火花が散る。
アリサ「か、火事になってしまいますわ!」
フランク「あわわわ」
ロッド「っ……!」
ロッドは手をばっと前にだし焔を見えない何かで拘束した。
焔「離せ!!てめぇ!!」
龍義「頭を冷やすんだ焔。今はもう車のなかだ。」
焔「てめぇの算段か!!」
龍義「すまなかったな焔。だがこうでもしないと、お前は単独行動しかねない。そう思わないのか自分でも。」
焔「ぐっ……!」
龍義「解いてやってくれ五條。」
ロッド「……」
手を払うロッド。拘束は解けたようだ。
シュウ「一体…どうしたんですか?そんなに取り乱して…」
奏「えっとですね…それは…」
焔「こいつだ。」
モニターの人物に指を指す。
焔「こいつがアタシの全てを奪ったんだ。」