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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
42/197

第一章 39話 閉幕-次なる舞台へ ☆

----------------------


 時刻は18:45。リビングで家族三人揃い、母さんが作ってくれたバランスの取れた晩飯を食べている。


 やはりあのような話が有ったからか、食卓に会話は少なく、莉沙は困惑していた。


莉沙「き、今日はね!体育の授業がバスケだったの!スリーポイント入れたんだー!」


シュウ「流石莉沙だな。」


シュウ母「莉沙はバスケ得意だものね。」


莉沙「う、うん!……」


 シーン……



 この空気に耐えられない莉沙はついに我慢の限界がきた。


莉沙「あーー!!もう!!何これ!離婚寸前の夫婦!?朝あんなにも楽しそうだったのに!!何でなの!?」


シュウ「今日は、、色々家事とかしてて俺も母さんも疲れててさ。」


莉沙「むぅー!酷い酷い!だったらうちも一緒に家事やって疲れたかったー!仲間外れは嫌だよー!」


シュウ母「莉沙?ご飯はもう要らないの?」


莉沙「食べるー!!」


シュウ「単純かこいつは。」


 そんなこんなで時間は刻一刻と過ぎて行く…


---------------------


 シュウは風呂に入ろうと向かう、調度のタイミングで莉沙が風呂から出て鉢合せする。


莉沙「お兄、次入るのー?」


シュウ「ああ、調度入りに行くところだよ?」


莉沙「ねぇお兄。」


シュウ「ん?」


莉沙「家族三人揃って過ごすなんて久しぶりじゃない?」


シュウ「確かにそうだね。」


莉沙「私、凄い嬉しいし、楽しい。お兄はそんなことないの?」


シュウ「…俺もそうだよ?」


莉沙「なら良いんだけどさ……」


シュウ「…母さんがリビングのソファーでテレビ見てたよ。」


莉沙「すぐいく!」

 バタバタバタバタ


シュウ(単純だなぁ…)


シュウ(莉沙……俺だって…三人揃って嬉しいし…本当に幸せなんだよ?…でも……ごめんな。)


---------------------


 そして…時刻はもう深夜の1時を回った…


シュウ「そろそろ準備しよう…」


 シュウは家を出る準備をする。少し大きめのキャリーバックに衣類を詰める。ふと、畳んで置いてある洗濯物に目が行く。


シュウ(母さん…俺が風呂に入っている間に下にある服畳んで置いてくれたんだな…ありがとう。母さん。)


 その畳んである服もしっかり詰めた。靴も母さん達にバレないよう、全てではなく、よく履く靴を1足とあまり履いてこなかった靴を1足入れた。他にも、家族四人の写真、財布等貴重品は持っていく。…だがスマホはどうしたものか……


シュウ「………」


 少し考えた結果、スマホは置いていく事に決めた。


 準備は刻々と出来ていく…しかし、シュウの心のなかでは葛藤が有った。

 ここまで良くしてくれている家族。大事な愛する家族。この家族を騙し、一人出ていくという心苦しい気持ち……



 もう、出ていかなくて良いんじゃないか?



 そう思う時間も多かった。だが、それでは亡くなった二人に申し訳がたたない。俺には出来ることがある。それは、今後悲しい思いをする人を増やさない為。俺にはそれが出来るんだ。



シュウ(出よう…)


 なんやかんや準備していたら3:00になった。


シュウ(もう向かうか…)


 ガラガラっと窓を開ける。身を乗り出す。




 ガチャン


シュウ母「待ちなさい。」


シュウ「いっ!?母さん!!」

 窓から落ちそうになるが頑張って耐える。


シュウ母「何をやっているの。そんなところから出たら怪我するじゃない。しっかり玄関から出なさい。」


シュウ「えっ、でも…」


シュウ母「ほら、来なさい。」


 母はシュウの手を引く。そのままシュウは連れてかれるような感じになる。


シュウ「あわわ、母さん!」


 シュウ母は立ち止まり振り返らずに言う。


シュウ母「スマホはしっかり持ち歩きなさい。」


シュウ「あ……うん…」


片手で置いてあったスマホを拾う。


 そのまま引っ張られた状態で玄関まで連れてかれたシュウ。


シュウ母「家を出る時は、窓からじゃなくて玄関からよ。窓からだなんて、、まるで…逃げるようで……もう…帰ってこないみたいじゃないっ」


 シュウは気付いた…母は涙を流していた。あの気丈な母が…


シュウ「母さん…ごめん。」


シュウ母「これを…後でしっかり見なさい……」


 母は封筒を一枚渡す。


シュウ「分かった…絶対見るよ。」


シュウ母「っ……うっ…うっ」


シュウ「母さん……俺…行くね。」


 靴を履き、玄関のノブに手を伸ばす─


シュウ母「シュウッ!!!!!」ガシッ


 母はシュウを後ろから強く抱き締める。



シュウ母「あなた達はいつも前触れも無く居なくなる!!こんなにも愛しているのに!!あなたのお父さんもこれだけ止めたのに仕事に行ったわ…その途中で命を落として……あなたも……心配よ…」


シュウ「母さん…」ギュッ


 シュウも母の腕にうずくまるようにして、母の愛を一身に受ける。


挿絵(By みてみん)



シュウ「でも……俺は行くと決めたんだ。これは…母さん達を守るためでもあるんだ…」


シュウ母「っ!!」

『志乃……俺は行くと決めたんだ。お前達を守るためでもあるんだぞ?』



シュウ母「本当……本当何処までも似てるのね……。」


 スッとシュウの事を離す母。




シュウ母「行ってらっしゃい。シュウ。何時でも私達は待ってるからね。あなたの居場所はここにも有るってことを忘れないで。」


シュウ「ありがとう…ありがとう母さん。俺は…本当に幸せな家族のもとに生まれたよ。」


 母はポンっとシュウの背中を押す。




シュウ母「さあ!行っておいで!でっかくなって帰ってきな!私の愛するバカ息子!」


シュウ「うん!行ってきます!母さん!」


バタンッと玄関のドアが閉まる。



シュウ母「あぁ……シュウ……っ」


母はその場で座り込み、日が明けるまで泣いた…



---------------------



シュウ「…やっぱ…早すぎたかな…?」


 スマホの時間を見ると4時を少し過ぎていた。シュウは一人ポツンとベンチに座っている…


 深夜の一二三八幡宮はとても不気味で、シィィンとした空気がやけに怖さを引き立てていた。





シュウ(本当俺は親不孝だな…)「はぁ」

?「わあああああああ!!!」ガサッ!

シュウ「うわああああ!!!!!」


 急に後ろの草むらから誰かが飛び出してきた!



?「うふふ。驚きました?」


 いたずらっ子っぽく微笑んでいるのはあの時、来た変人二人組の女性、キャロラインだ。


シュウ「驚きましたよ……何でこんなことをするんですか…」



キャロ「修二さまが窓から降りて私達を脅かしたからですわ!」



シュウ「いやいや…俺は別に驚かすつもりは無かったんですが…」



キャロ「ふふふふ♪作戦成功ですわ♪」

 キャロラインは小さく両手でガッツポーズをして喜ぶ。


シュウ「はぁ…えっとあの、キャロラインさんで良かったんでしたっけ?」


キャロ「あー……実はキャロラインって名前は偽名ですの。」



シュウ「え!偽名だったんですか!?」


キャロ「はい!作戦のリスクの半減を考えて偽名は使うことは多いですのよ?」


 キャロラインは軽く考え、


キャロ「んーと言っても、もう修二さまはもう私達の仲間ですものね。」

 スッと手を前に出す。



キャロ「改めまして!キャロラインもとい、黒木アリサですわ!」


シュウ「あ、よろしくお願いします。黒木さん。」


 シュウは出された手を握り返す。


 首を横に振る黒木アリサ。


アリサ「いいえ、黒木さん。ではなく、アリサで結構ですわよ?仲良くなるためには砕けていきましょ?シュウさま?」


シュウ「分かりました。アリサさん。」


アリサ「さんは要らないですのよ?」


シュウ「アリサさんこそ、さまは要らないですよ?」


アリサ「仕方ないですわ、これは癖ですの。」


シュウ「じゃあ自分もそうです。」


アリサ「ふふふ、頑固ですわね、見掛けによらず。」


シュウ「ははは、、で何故アリサさんはここへ?」


アリサ「私は、シュウさまが早めに着いた場合に、お暇にならないようここでスタンバっていたのですわ!」


シュウ「えっ、じゃあ俺が来なかったらずっとここへ?」


アリサ「はい!6時の迎えが来るまで恐らく泣いてますわ!」



シュウ「俺が来て本当に良かったですね…」


アリサ「はい♪信じてましたもの!」


 チラッと時計を見るアリサ。



アリサ「それでは早めに来てくれたということで、連絡させて頂きますわね!」


シュウ「あ、はい。どうぞ。」



 アリサは右耳の下の窪みに指をやる。


アリサ「はーい!アリサですわ!芦屋修二さま早めのご到着で、なんなら早めに行きません?………はい、はい……了解ですわ!待ってますわね!」


アリサ「5時20分頃に来るそうですわ!」


シュウ「別に、6時という話ならそれで良かったんですが…」


アリサ「いいえ、皆様早く本部に帰りたいのです。きっと見ればすぐに分かりますわ。」


シュウ「?分かりました。」


 そのあと二人は他愛のない話をして時間を潰した。好きな食べ物や嫌いな食べ物など、本当に他愛のない。だが、アリサの話し方が上手いからか、いつの間にか時間は過ぎて行った。



アリサ「あ!来ましたわ!」


 目の前で止まる長い車。


シュウ「え……これって……リムジン?」


アリサ「はい!リムズィーン、ですわ!」


シュウ「……これってめっちゃ目立ちません?」


アリサ「だから皆様早く行きたがるのです。」


シュウ「いやいや…リムジンにする必要無くないですか?」


アリサ「んーアホな前団長が、リムジンに乗りてぇな…なんて言わなかったらこんなのになってないですわ。でも…まぁ…でも中は快適ですし、モニターも有って広いので便利なことは便利なのですが……ソファーもふかふかですし。」


 すると、アリサの耳元から何を言っているか分からないが、怒鳴り声が聞こえた。



アリサ「んー!分かりましたわ!すぐ行くから待っていて下さいませ!」



 コツコツとヒールの音を鳴らし、車の横へ。そしてドアを開け、どうぞっとシュウを招く。


アリサ「ふふふ♪皆、お待ちしてますわ。」


 ゆっくりとシュウは中へ入る。



赤い女「おせぇぞ!新人!さっさと座れ!」


グリーンの男「ほら、姉さん!いきなりそれは芦屋くん困るよ!あ、僕の隣に座って下さい!」


シュウ「あ、失礼します!」


 隣に座るシュウ。隣にはグリーンの男、赤い女、ラヴさん、少し離れて本藤?(ロッド?)さんが本を読んでいる。モニターを囲むようにしてソファーが付いている感じだ。少し遅れてシュウの隣にアリサが座る。


アリサ「さあさあ!レッゴー!ですわ!」

ラヴ「yes!yes!!」


赤い女「本当うぜぇ。」

グリーンの男「まぁ楽しくていいじゃない。ですよね?芦屋くん?」


シュウ「あはは、、みなさん、これからよろしくお願いします!」



アリサ「はいですわ!」

ラヴ「yes!!」

赤い女「おう。」

グリーンの男「はい!」

本藤「………」




 これからの人生はきっと普通じゃない。特別な人生がこれから繰り広げられるだろう。だが、俺は主人公では無い。正義の白ではなかったから。


 俺は幼馴染を殺してしまった─


 俺は黒?いや、灰色だった。黒に染まりつつ白を保とうとする灰色…これから罪を償う、壮絶な人生が幕を─開く─

コメント、感想、レビュー等よろしくお願いします!ヽ(・∀・)ノ


イラストはそらとさんです!ありがとうございます!

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