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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
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第一章 37話 家族の愛

女性「私達は歓迎するわ!!」


シュウ「あ…………え?」


女性・紳士「…………」


シュウ「…………」


女性「……」

 徐々に顔が赤くなる女性。


女性「……おかしいですわね。このような催しは学生は好きだと思っていたのだけれど…」


 スッと女性は立ちあがる。


女性「もっとうぇーい!って感じが良かったのでしょうか…」

 女性はポンポンっと、スカートを払う。


シュウ(BARKERs?…この人達が赤い女の人が言っていた使いの人か!)


女性「ちょっと…フラ、、ラヴ様?もう辞めても結構ですわよ?」


ラヴ「………」


女性「聞いております?」


ラヴ「………」


 ラヴと言われた男は恍惚な表情を浮かべポーズを続けている。


女性「あー…これはスイッチが入ってしまいましたわ…」


ラヴ(愉しぃ…)


女性「はあ…まぁそれよりも…」

 コツコツとハイヒールの音を鳴らしシュウの目の前に来て、少し前屈みになり上目遣いでシュウの目を覗く。


女性「芦屋修二さま?一度、にこりとしてみて下さるかしら?」


シュウ「え、笑うということですか?」


女性「そうですわ。出来ます?にこりと。」


シュウ「こ、こうですか?」ニ,ニコ


女性「……やはり眼が死んでますわね。」


シュウ(いやいや、こんな状況で、)


女性「まぁ…こんな、状況で笑顔になれない、笑うことが出来ないっていうのは仕方ないですわね…」


シュウ「は、はい…」


 すると、女性はシュウの胸に手を当て少し俯き言う。


女性「でもこれだけは忘れないで欲しいわ、人は笑うことが出来るということを…きっとあなたの笑顔は素敵ですわよ?」


 シュウは少し恥ずかしくなり少し赤くなる。女性はシュウの目を見て更に言った。


女性「この仕事柄、沢山の悲しい出来事や、苦しい経験を、見たり、聞いたり、体験して行くと思いますわ…」


 そして、強い意志が籠っているような目で訴える。


女性「だからこそ…だからこそ!笑えるんだということは忘れてはならないのですっ!」


シュウ「っ!……はい、ぐむっ」


 不意に両頬を摘ままれる。


女性「忘れてしまったらこうやって無理矢理にでも笑わせますわ!」


 グニっと軽く頬を上に上げられる。


シュウ「んぐぐっ!やえへくらはいー!わはりあしたからー!」


女性「分かれば良いのです。」


 何故かとても満足気な女性。


女性「……あ!自己紹介を忘れていました!私は…取り敢えずはキャロライン・イーナと申しますわ!こちらはラヴ・ロマンさん!」


 我に帰るラヴ。

ラヴ「は!よろしくお願い致しますよシュウくん。」


シュウ「よろしくお願いします。…もう母を説得する時間ですか?」


キャロ「そうですわね。全て任せて欲しいですわ!不安かもしれませんが、私達が完璧に説得してみせますので!!」


シュウ(大丈夫かな……あまりにも朝幸せ過ぎて母さんに話しておくの忘れてたから少し不安だな…)


ラヴ「いざ!決戦!!」クワッッ

----------------------





シュウ母「は?何を仰っているのですか?駄目に決まっているじゃないですか。警察呼びますよ?」


シュウ(やっぱなぁ…ってか作り話下手すぎるでしょこの二人。何でこの二人を使いにしたんだ?)


ラヴ「あ、いや、あの!ですな!その、、それは困りまして…」


シュウ母「ふざけているんですか?今から警察を呼びます。」


 スマホに手を出す母。


ラヴ「あわわ、警察はいけないぃ!」


キャロ「ラヴさま。一生黙っていてもよろしくて?」


ラヴ「……」シュンっ


キャロ「あのですね、お母様。先程ラヴさまがお話したことは本当ですわ。私達は本物の政府の役人なのです。」


 スッと手帳を見せる。


シュウ母「いやいやいや、怪しすぎるでしょ全部。あなた達は政府の役人で?うちの息子が海外にも通用するほどの才能があるから単身留学?年間で350万が口座に振り込まれる?…何それって感じ。何かの新興宗教?それとも大胆な人身売買?」


キャロ「……なら分かりましたわ。警察に電話してみてくださいませ。私が替わりますので。」


シュウ母「そうしてもらうわ。」


 プルルルル プルルルル


警察「はい、警察です。事件ですか、事故ですか?」


シュウ母「詐欺集団が家に来てまして、息子を拐おうとしているんです。本人達は政府の役人とか言っているのです。頭のおかしいで警察が出たら替わるとまで言うんです。」


警察「…分かりました。では替わって下さい。」


 シュウ母はスマホをキャロラインに渡す。


キャロ「替わりました。キャロライン・イーナと申しますわ。政府の役人として息子さま、芦屋修二さまをスカウトしにきましたの。」


警察「はぁ……証拠はあるんですか?」


キャロ「私達は噛まない。Great barkers are no biters ですわ。」


警察「またですかぁ?もうどんだけ交渉が下手なんですか全く…」


シュウ母「待ってください!!本当にこの人達は政府の役人なの!?」


警察「そうですよ、奥さん。胡散臭いだろうけども本物です。後は話し合いで解決お願いしますね。」


 ブチ、ツーツーツー


シュウ母「………信じられない…。だって、だってそこの老人が警察とはコンタクト取るなって!」


キャロ「あーもうこの老人は痴呆がすでに入ってますので本当に居なかった事にしてくださいませ。」


ラヴ「ちほー!?ひどい!!」


シュウ母「シュウ!!あなたさっきから黙っているけど何か言いなさい!!拉致されるのよこのままだと!!」


シュウ「あ、いや、本当に政府の役人だよ?」


シュウ母「違うわよ聞きたいことはそうじゃない!連れてかれるのよ!?」


シュウ「母さん、俺はこの人達と一緒に海外に行きたい。それが俺の気持ちだよ。」


シュウ母「はい!?許しませんよそんなの!!」


シュウ「でも母さん、」


シュウ母「でもも、へったくれもありません!!例えこの人達が本物でも、あなたに才能があったとしても私はあなたを手放しはしません!!しかも単身でなんて論外です!!350万で釣ろうとしてるのも見え見え!この子はお金には変えられません!!私の唯一無二の大事な大事な息子なの!!もう家族を離したくないの!!この家族は私の命より大切だから!!そんな大事な、命より大事な家族の一欠片をあなた達に渡してなるものですか!!」


ラヴ「……」


キャロ「……」


シュウ「母さん……」



ラヴ「出直しましょう、キャロライン。一度、我々も冷静になり、後一度だけ、お邪魔させて頂きます。そこで検討して頂きませんでしょうか?」


キャロ「……そうですわね。」


シュウ母「もう来ないで下さい。この考えは変わりません。」


ラヴ「…では行きましょう。キャロライン。」


 リビングの席を立つ二人。


キャロ「はい、お邪魔しましたわ。」


去り際にラヴは一言放つ。


ラヴ「これ以上ない、幸せな形の家族です。とても羨ましく思います。修二君はきっと幸せなんでしょう。それでは、」


 バタン



シュウ母「シュウ…分かるわね?じっくり話しましょう。聞かせてほしいわ、色々と。」


シュウ「母さん…俺も母さんとしっかり話したいことがあるんだ。」



---------------------


シュウ宅前にて─


キャロ「ズズズっうっうっ…良い家族でずわぁ…」


ラヴ「素敵な家族でした…お母様も、お父様も、きっと素晴らしい人格者なんでしょう。」


キャロ「ズズッ しっかりラヴさまの暴走は上に報告致しますね。」


ラヴ「……怒られるなぁ」ショボン

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