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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
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第一章 35話 赤い女

ザワザワ ケガニンハイナイカ-! ホウスイー! ザワザワ


 辺りは警察や消防、そして野次馬でごった返す。あれくらいの大爆発が起こったのだ。深夜3時程度でも起きて見に来る輩も居るだろう。


 シュウはというと、学校裏の小さな広場のベンチに俯き、座っていた。


シュウ「……」


 物思いにふけるシュウ─


──────────────────────


赤い女「やべぇ、やり過ぎちまった…」


ナニ!!アノオト!! バクハツ!? ガッコウカラダ! ケイサツニ!


赤い女「この場に居るのは良くねぇな…このまま倉庫まで行くぞ。アイツを助ける。」


シュウ「え、あ……はい!了解…です。」


 シュウの耳はまだキィーーンとした音が残り聴こえづらい常態だった。それほどまでに爆発は凄まじく、この赤い女の能力に恐怖が混じる程だった。


---------------------


赤い女「………くっ…ロッド…お前は…くっ…良いやつだったよ…」


シュウ「本藤さん……」





本藤「……この状況を楽しんでいるのだろう。早めに引き上げてくれると助かるのだが。」


赤い女「カッハッハッハッハ!!!マジ腹痛ぇ!!もうお前それは死んでるって!!社会的にさぁ!!ハッハッハ!!」


 本藤は上を向き、首が埋まり頭だけの状態になっていた。


本藤「……能力を使用して耐えていなかったら、今ごろ死んでいた。」

 そしてその状態のままチラリと視線をシュウに向け


本藤「芦屋修二…君の判断や行動の早さに私は助けられたのだ。」


シュウ「俺が…助けた……」


赤い女「おいおいおい!お前全然格好つかねぇからそれ!ギャグでしかねぇから!」

 赤い女は腹を抱えて爆笑している。


本藤「はぁ……まぁそういうことだ。おい、笑ってないでさっさと警察を呼べ。早く引き上げろ。」


 ハッハッハ!チョットマテ!シャメトルワ! ……ヤメロ


シュウ(果たして俺は本藤さんを助けられたのだろうか……本当は本藤さんに助けてもらったのでは…俺は…)


 スマホで写真を撮る赤い女と、顔しか出ていない本藤を見る。


シュウ(足を引っ張ったんじゃ……)


赤い女「ん?」


 赤い女は深刻の面持ちのシュウに気付き言った。


赤い女「はぁ……おい、お前。」


シュウ「あ、はい!」


赤い女「後で話がある。取り合えず警察をここに呼ぶから、ロッドを引き上げてる間、お前は近くで座ってろ。」


シュウ(ん?ロッド?そう言えばロッドってちょくちょく言ってるけど本藤さんの下の名前かな?)「……」


赤い女「いいな?近くに居ろよ?……いいな!?」


シュウ「は、はい!近くのベンチに座ってます!!」


赤い女「よし。待ってろ。」


──────────────────────


シュウ「………」


 赤い女が座っているシュウの目の前に立つ。


赤い女「何とかアイツを引き上げる事が出来たわ。日本の警察は有能だねぇ。」


シュウ「警察の方は事情は把握しているんですか?」


赤い女「事情?あーそうだな…うん、まぁ言っても構わねぇか。」


シュウ「?」


赤い女「実はな、アタシ達は元を辿れば警察の依頼でここへ調査をしに来ていたんだ。ほら、耳に挟まなかったか?近隣の行方不明の多発。」


シュウ「あ…知ってます。担任がそんな連絡事項をしてました。商店街とかで居なくなってたんでしたっけ?」


赤い女「そうだ。その事件はあまりにも異質でな。証拠もなく突然消えるとか、家族全員が急に何が有ったとかなく居なくなる、とかな。そんな奇怪な事件、能力が関わってんじゃねぇかって話だ。」


シュウ「それでこの地域に…」


赤い女「予想外だったのはお前とお前の幼馴染が能力持ちだったってことだ。そんなバンバン出てくるもんじゃないんだぜ?」


シュウ「トモ……」


赤い女「そこでお前ら二人の監視を始めたわけだが…その二人の情報が行き渡るのが遅かった…助けれなかったな…そこは本当私達の落度だと思う。すまなかったな。」


シュウ「いえ、、」


赤い女「……はぁ…」ポリポリ


 赤い女は溜め息をして頭を掻く。眉間にシワがよっており、見ようによっては何か面倒臭そうな表情だ。



赤い女「さて、、アタシが話したいのはここからだ。」


シュウ「な、何でしょう?」


赤い女「アタシはな…人を見る目が良いんだ。」


シュウ「っていうと…?」


赤い女「これまで人を見る目で狂いは無かった。きっと、これからもねぇんだろうな。」


シュウ「な、何が言いたいんでしょうか?」


赤い女「お前。自殺しようとしたろ?」


シュウ「っ……はい…」


赤い女「別に死にたきゃ死ね。アタシはそう思ってる。」


シュウ「……はい…」


赤い女「人生こんなにもつれぇってか。だから死ぬ?現実から逃げてぇから?」


シュウ「……」


赤い女「はぁー。でもな。でも、お前一人の命は軽くねぇんだぞ?」


シュウ「でも、でも!俺は美香もトモもっ!」


赤い女「じゃあ一生背負っていけよ。」


シュウ「っっ!!」


赤い女「一生背負って、一生償え。大事なやつらなら、一層の事だ。許してくれるまで生きて、もっと自分の命を有効に使え。」


シュウの頬に涙がつたう。


シュウ「俺は…許されるんでしょうか……?」


赤い女「知らねぇな。だけどお前は今回死ななかった。そんで、クソ先公のもとへ行って残虐な行為を今日で止めた。お前のお陰でな。これからもっと、やるべき事があるんだよ。きっとお前には出来ることも沢山ある。」


シュウ「俺の…やるべき…こと…っ」


赤い女「まぁそれを探すのはお前だ。取り合えずもう自殺なんて下らねぇことは置いとくんだな。アタシはお前を買ってるんだ。お前はきっと強くなれる。アタシの目に狂いはねぇからな!」


シュウ「ありがとう…ございますっ!うっうっ…」


赤い女「さて……アタシ達は帰るとするわ。次会えることなんてねぇかもしれねぇが、元気でな。」


 赤い女は背を向け手をひらっと上げ歩いていく。


シュウ(俺は…俺は生きるよ…トモに…美香に…顔向け出来るように…だからこそ俺が出来ることは…)


シュウ「待ってください!!」


 赤い女は立ち止まる。


シュウ「俺の力で!!沢山の人を救いたい!!救わせて欲しい!!二人に顔向け出来るようにしたいから!!」


シュウ「だから!!仲間に入れて欲しいんだ!!」


 赤い女は振り返る。



赤い女「ばぁか。声がでけぇよ。」

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