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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
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第一章 33話 狂気的演舌


シュウ「先生が……俺を?」


近藤「ああ、そうだよ。私は君が大嫌いだ。」


シュウ「俺が、何を…?」


近藤「分からないだろうな。」


シュウ「??…」


近藤「何も知らない。何も知らないお前は、周りに恵まれ、苦労のくの字も無い生活を送っている。お前には勿体ない人生だ。」


 ギロッとシュウを睨む。

近藤「トモと美香…そう、あの二人は特にお前には勿体ない。身の丈に合っていないんだよ!お前には!!」


 シュウは近藤の言葉に大きく傷つく。


シュウ「確かに…確かに俺には勿体ない二人です…ですが、それが何ですか!?」


近藤「黙れ!お前は私のっ!………」


 一度近藤は黙り込みまた話続ける。


近藤「私はね、特別、友樹くんとは交流が有ってね。私はサッカー部の副顧問で友樹くんはサッカー部に居た。」


シュウ「な、何故トモの話が今出てくるんですか?」


近藤「黙って聞け!!!煩いやつはすぐにでも殺したくなるんだよ!!!」


シュウ「ぐっ……」


近藤「私と友樹くんは大分仲が良かったと思っているよ…私的にも彼と仲が良くなることは好都合だったしね。彼とさえ仲良く話していれば勝手に周りも寄ってくるからねぇ。女にも困らなかったよ、ハッハッハ…おっと失礼。」


シュウ「トモをそんな客寄せみたいに思っていたのかっ!」


近藤「客寄せ?違う、違う違う!もっと良いものだと思ったよ…急にね。」


シュウ「急に…?」


近藤「ある時、友樹くんから電話が来た。時間は深夜で、まず友樹くんから電話が来ることは滅多に無い。何事かと取ってみたら、こう言われたよ。」


友樹『先生…俺…家族を殺してしまったかもしれません。』


近藤「その言葉を聞いた時、胸が踊ったよ。何て素敵な言葉なんだろうと。」


シュウ「近藤先生に電話を……」(何で俺たちに相談してくれなかったんだ…!)


近藤「私は直ぐに友樹くんの家に向かったよ。そこに居たのは何だったと思う?……プフフ、ハッハ!血塗れの家族三人だ!!倒れた母と弟、立ちすくみ助けを求める眼で私を見る友樹くんの姿!!何て、何て素敵で滑稽な絵なんだろうな!!」


シュウ「っっ!あんた!!」


近藤「待て、まだ興奮するにはまだまだ序章だ。」


近藤「私の車に友樹くんを入れ、家族二人を確認した。これがまた面白いんだよ…笑う準備をしておいてくれ…ふふふ、殺した凶器を私は探した。だがね、見つからなかった、私も能力者だからね、言われなくても分かったよ。トモも能力者だ!!!ってね。」


シュウ「……全然笑えないですよ…」


近藤「違うぞ?ここがオチではない。オチはね……プフフフ、ハハハハハハ!家族二人は生きていたんだよ!!!」


シュウ「えっ!!おばさんと好一が!?」


近藤「そうだ!意識もあった!命に別状なんて無かった!弟くんは気絶していたけどもね、すぐに母親の方は意識を回復させたよ!」


シュウ「じゃあ!二人は生きて、」


近藤「殺したがね。私が。」


シュウ「……は?」


近藤「正確に言うと生き埋めにさせてもらったよ。小声でトモ、トモ、と言う母親を沈めて行くのはやけに興奮させてもらった。」


シュウ「お前!!何てことするんだ!!」

近藤「黙らせて下さい。本藤さん。」


本藤「分かった。」

 本藤は手を横にピッと払う。するとシュウは喋れなくなった。


シュウ「んーー!!」


近藤「君には最後まで聞いてもらうよ?冥土の土産というやつだ。」


 近藤は腕を広げる。

近藤「いやー!トモにつばをつけておいて良かったと心から思えたね!!女が勝手に寄ってくるし、ついでに能力持ちときた!!私は興奮したよ。心の底から!!」


近藤「まぁそれからはシュウくん、君も能力持ちの可能性があったからね、放送で一度呼んだんだよ?なのに来てくれなかった…あの時トモも居たのにも関わらずね!」


シュウ(!?)

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  7話 必死の捜索より

美香『そうね、そうしよ!あ、そう言えば今日放課後、近藤先生が放送で呼んでたよ?』


シュウ『近藤先生が?何だろう、テストの点数でも悪かったのかな?まぁ、でも会えてもまた、三日後だし聞かなかったことにしとくよ(笑)』

-------------------


シュウ(あの時近藤先生に会っていればトモが……!!)


近藤「その後は、私の能力の内容を教え、能力者達の事も教えたよ。彼もその後沢山の能力者と会っていてね…これからの将来が期待されていたんだ…期待されていたんだよ…」


 近藤は頬をピクピクさせ、眉間に皺が寄り始める。


近藤「なのに!なのに!急に消えたんだ!!!ある日を境に!!居なくなった理由が海外移住??そんなはずがないだろう!!!?私は知っているからだ!!全部!!全部!!全部!!!」

 バン!!ととび箱を上から叩く。7段のとび箱は半分くらいまで床に埋まり、置いてあった眼鏡が床に落ちる。


 近藤はふぅーと息を吐き、スッと眼鏡を拾い、確認し、掛ける。


シュウ「っ………」


本藤「………」


近藤「はぁー…そう、ある日の境…あの日だった…トモが公園でシュウ、君に会ってしまったと言い出した。私はトモに言ったよ、」


近藤「シュウを仲間に引き入れろ、出来なきゃ殺せ。」


近藤「君達、幼馴染は絆が強いからね、美香についても警戒をと考えて、」

ニヤリとする近藤。


近藤「美香は生きてても死んでてもいいから連れてこいと。そう言ったんだよ。その日以降…トモは居なくなったよ…すると、するとどうだい?君達二人はタイミング良く入院。私は確信したね。コイツらだなと。」


近藤「トモの情報は何故か、どこにも漏れてこない。駒も使ったのに、、そこで考えた。美香が癌?胸が無い?急に、このタイミングで発見だなんておかしい。トモにやられたと、そして残りのシュウに殺されたと。私はそう仮定した。そして、私はどうしたと思う?」


シュウは近藤の事を力の尽きる限りに睨む。


近藤「美香に聞いたのさ、軽くね。でも記憶が無いときた。私はそれでも好都合だった。美香との距離を詰める為にもね。だがアイツは私を遠ざけた。この私を。だからね、、だからねぇ!ふふふ、放送で呼び出して全て言ってやったのさ!はははは!その時の美香の顔は最高だったよ!!あの顔を一生私は忘れないだろう!!」


シュウ「っ!!」(あの時か!)

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  23話 一通な気持ちより

シュウ(今日こそ美香と…)『なあ美香!一緒に食おうぜ!』


美香『いいよー。食べ、』

校内放送『生駒美香さん、生駒美香さん、職員室に来てください。』


シュウ()


美香『たかったけど駄目っぽいね、行ってくるよ!』

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近藤「本藤さん、口を利かせてやって下さい。そろそろクライマックスです。」


 シュウの口の拘束が解ける。


シュウ「許さない!!お前が美香を!!トモを!!」


近藤「いやぁ?違うね。殺したのは君だよシュウ。私の大事な二つのオモチャを…壊したのは君だ。」


シュウ「ふざけるなぁ!!!!あの二人をオモチャだと!!!!あの二人はお前のオモチャ何かじゃ絶対にない!!!」


近藤「あー、失敬失敬、これだけは言っておこう、オモチャは誰でも良かった訳ではないんだよ。私の中ではね…トモはもう後半から要らなかった。私が欲しかったのは最初から最後まで美香だったんだ。」


シュウ「な、に、、!」


近藤「あぁ、美香…美香が良かった…美香が欲しかった。完成した美香も良かったが欠陥していた美香も素晴らしく良かった……あぁ美香…私が更に壊したかった…」


シュウ「」


 シュウは近藤の狂気に対し壮絶な怒りが込み上げていた。あまりの怒りで言葉が出なくなるほどに。


近藤「お前が…お前が居なければ…美香をその手で殺れたと、思っているよ?」


 プツリとシュウの中の何かが切れた。


シュウ「てめぇぇぇぇ!!!殺してやる!!!殺してやる!!!!!許せねぇ!!!!お前だけは!!!お前だけは許せねぇ!!!!死ね!!!死ね!!!死ね!!!!」


 近藤は高笑いをして答える


近藤「アッハッハッハッハッハッハッ!!!苦痛に歪む美香の顔、耐える顔、殴られて悲しむ顔、奴隷にすれば良かった!!どんな手を使ってでも!」


 近藤は笑いながら近寄り、シュウを触ろうとする。


近藤「さようなら哀れなシュウくん?地獄で喚いて下さいね?」


シュウ「くそおあああああああ!!!殺してやる!!!!!殺してや」


 近藤の手がシュウの頭に触れる─







 その刹那、バッと本藤が動き手を近藤の前に出した。


近藤「ぐおわ!!」


 近藤は見えない何かに飛ばされ身動きが取れなくなる。


近藤「何するんだ貴様!!!」




本藤「証拠は全て揃った。今ここで、捕まるか死ぬか選べ。」

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