第一章 30話 一瞬の幸せ─決めた思い
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?「おい、起きろ、起きろシュウ。」
シュウ「ん、んー…もう朝ぁ?」
ハハハハハ!! ザワザワ
シュウ「え!やっぱ嘘!う・そー!朝とか有り得ないよねぇー!ちょっとボケましたー!」
友樹「おいおい…苦しすぎだぞ、その言い訳…」
トモは呆れた顔をしている。
担任「はぁ…全くお前はほら、プリントの問7の③を答えなさい。」
シュウ「あ、え、はい!」(やべぇ寝てて何も解いてねぇよ…)
トントンっと誰かに背中を叩かれる。
?「打ち消しのぬ、打ち消しのぬ」ボソッ
シュウ「打ち消しのぬ!」
担任「おー良いぞー!神の声が聞こえたけどそこは聞いてなかったことにしよう。」
ハハハハハ!!
また教室に笑いが起きる。シュウは振り返り礼を言う。
シュウ「ありがとう、美香。」
美香「いえいえーお礼はジュース一本ね!」ニコッ
満面な笑みでそう言った。
シュウ「奢る奢る!何本でも!」
キーンコーンカーンコーン
授業が終わるチャイムが鳴った。
担任「はーいではここまでーじゃあ帰りの支度をしてくださーい。」
シュウ(あ、もう授業終わりか。……何か全授業寝てた気がする…長い夢を見てたような…何の夢だっけ…)
友樹「どうした?シュウ。」
シュウ「あ、いや、何か俺どれくらい寝てた?」
友樹「ずっと寝てたぞお前。疲れてるのか?」
シュウ「疲れてる……俺疲れてるのかな?うん…疲れてる。何で疲れてるんだろう?」
友樹「は?知らねぇよw大丈夫かお前w」
美香「何々ー?シュウ疲れてるの?夜更かしのし過ぎじゃない?」
シュウ「んー…何か確かに寝れてなかったのかも…まぁ大丈夫だよ!二人ともこのあとは?」
友樹「俺は珍しく何もないな。」
美香「私も何もない!部活休みなんだー!」
シュウ「そうなんだ…」
何故かシュウの目から涙が流れる。
友樹「おいおい、どうしたんだよ。」
美香「体調悪い?やっぱ疲れてるのかも…」
シュウ「いや…何か分かんない…何でだろう。」
続きを言うのを恥ずかしがり俯きながら続ける。
シュウ「あのさ…暇ならちょっとここで話さ…な…い?」
顔をあげるともう暗くなっていた─
シュウ「え?あれ?外が…トモ?美香?」
二人の姿が見えない。外を見るシュウ。
シュウ「っ!!」
外を見るとそこにはもう一人の自分とトモが外に居た。
そしてトモは落ちた。落ちたところが真っ赤に染まる。
シュウ「ああ……やめろ…やめろ…!」
目の前が暗くなり場面は変わった。学校近くのマンションの近くに居た。
シュウ「やめろ…!やめろ!!やめろ!!やめろ!!!」
シュウは走る。今度こそ守る…笑顔を守る…!
ドシャ!!
目の前で美香が落ちた。辺り一面血の海になる。シュウは美香に駆け寄り、美香の体を抱き寄せ抱える。
シュウ「何でこんなことに!!!!!」
?「それはお前が殺したからだ。」
シュウ「!?」
目の前には頭から血が吹き出しているトモが立っていた。
友樹「お前は俺らを殺したんだ。」
すると下から急に首を絞められる。美香の手によって。
美香「お前が憎い!!憎い憎い憎い!!お前が死ねば良かったんだ!!お前が!!」
シュウ「がはっ…み…か…ぐっ…や、め」
力があまりにも強い。シュウの力ではびくともしない。
友樹・美香「お前のせいだ。お前のせいで死んだんだ。」
シュウ「ぐっ…ふっ……」
記憶が無くなりそうになるシュウ。
友樹・美香「殺してくれてありがとうシュウ。」
シュウ「ぐっぅぅぅぅぅぅわああああああああ
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シュウ「あああああああああ!!!!」バサッ
飛び起きるシュウ。まだ外は深夜。
シュウ「はぁ…はぁ…う、ぐっ…うっうっううう…あああ……!」
気持ちがもう抑えることが出来なかった…
シュウ「っ…お、れはふ、たりを殺した、いなんて思っ、たこ、と無かった、よっ!!」
シュウ「お、俺は!!ふたり、とい、つまでも一緒に…一緒に居たかっ、たよ!!!」
シュウ「俺は、俺は、二人のことずっと、ずっと大事だったよ!!!」
シュウ「また、会いたい…会いたいよ…トモ…美香…」
シュウ「っ!?」
シュウの頭の中に言葉が過る。
美香『お前が憎い!!憎い憎い憎い!!お前が死ねば良かったんだ!!お前が!!』
友樹・美香『お前のせいだ。お前のせいで死んだんだ。』
シュウ「………俺が、俺が殺したんだ…大事な幼馴染二人を……殺したかった訳じゃないとかじゃないんだ…俺が殺したんだ…」
シュウ「あの時も…トモじゃなくて俺が死ねば良かったのかな…」
そして決意する…
シュウ「俺も…死ぬよ…」