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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
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第一章 28章 Love are fear...

美香「何もかも知ってるんだよ?」


 美香の言葉は唐突で、残酷だった。一番シュウが恐れていた言葉…それでもシュウは、


シュウ「え、、何が?」


 急すぎて理解が追い付かないシュウはしらばっくれた。


美香「……怪しいなって思ったんだよね。病室で起きてシュウと顔を合わせた時。あまりにも普段と違っていたから。その時すぐ分かったよ、何か隠してるって。私と何年居たと思ってたの?バレバレだよ…」


シュウ「……もう、全部思い出したんだね?」


美香「最初から最後までね。」


シュウ「あのね、美香、」

美香「うるさい!!!」


シュウ「……美香」


美香「私…私、あなたが憎い…憎いよ!!ねぇ何で?何で殺したの?何でトモを殺す必要が有ったのよ!!」


シュウ「違う…違うよ美香!」

美香「何であの事を全部隠してるの?何で普段と同じ感じで学校生活送っているの?大事なんでしょ?シュウもトモが!それなのに…何で殺したのにいつも通りなの!?」


 この言葉はシュウの心をえぐりとった。シュウは美香の為に…美香の為に普通を装ったのに…


シュウ「っ……」

 美香の為何だと言いたかったが喉から先に言葉が出てこない。


美香「私シュウが分からないよ…こんな酷いことしてるのに、何で公園であんな事言ったの?何であんな、優しい言葉を言ったの…っ?」

美香「うぇぇ…酷いよぉシュウ…こんなにも憎いのに…グズッ私は…私はシュウのこと、を、嫌いになれ、ない私が、い、るの。!!」

 泣き出しながらも言葉を繋げる美香。最後は堪えきれずうわぁぁんと泣きわめいた。


シュウ「落ち着いて、美香…一回会って話そう?」


美香「あ、わないわ…ズズズッ会わない。会ったら私自身が壊れそうもう壊れたくない…ズズズッ」


シュウ「…今から家に行くからな?俺自身も話したい事があるんだ。」


美香「だ、駄目よ…聞いてシュウ。私は謝らなきゃいけない。」


シュウ「何をだい?」


美香「シュウがまさかあんなに楽しそうにしてたから…私、申し訳無くて…朝から出掛けた所…全部あの事件の日にトモと二人で行ったところなんだ…私はあなたを確かめたかった…私自身の確認の為に…」


シュウ「そうだったんだ……」

 シュウは何か言葉を繋げたいが色々なマイナスな気持ちが渦巻き言葉が続かない…


美香「結果ね…二つとも更に分からなくなっちゃった…シュウは悪い人では絶対無いって感じたし…私も…私の中も、、心から憎んでるはずなのに楽しかった私が居て…私の中に二人人格がいるみたいで…ゴォォ…苦しいの……だからね…決めゴォォォの…」ゴォォォォ


 電話越しに風が通る音が聞こえる……

 シュウは突き刺すような嫌な予感が込み上げた。


シュウ「美香!!?今どこにいる!!?」


美香「きっと、トモもこれに似た感情だったのかな…」


シュウ「やめろ、やめろ美香!!!」バンッ

 部屋を出て裸足で家を飛び出し、美香の家へ急ぐ。


シュウ母「ちょっと!どこいくのシュウ!」


 遠くでシュウの母の声が響く。。


美香「私は本当にトモが好きだった……」


シュウ「待ってくれ、、待ってくれ美香!!俺はお前の事が好きなんだ!!愛してるんだ!!」


美香「……じゃあ…じゃあシュウ?」


シュウ「何だ美香?、」タッタッタ


美香「私がトモを殺さないでって言ったら殺さなかった…?」


シュウ「っ!!俺は!!俺は殺したくてトモを殺したんじゃないよ!!!」


 美香の家へ着いたシュウはインターホンを数度連続で押す。


美香母「あら!どうしたのこんな夜中に!すぐ出るわ!」

シュウ「美香は!?美香は!?」

美香「ごめんね……分かってるわ…そんなこと…私はもう…駄目ね…」


ガチャンと玄関を開けて美香母が出てきた。

美香母「美香がどうしたの!?シュウくんの家に泊まってるんじゃないの!?」


 シュウは美香母の言葉に気を失いそうになるも何故かは分からないが学校へ走っていった。


美香母「ちょっと待ちなさい!!」

美香「お母さんの声……最後に聞けて良かった…」


シュウ「そ、んなこと…言わないでよ美香!」


美香「もう終わりにするわ…もう…疲れたの……疲れたの…」カシャン


シュウ「やめろ!!!やめろ!!美香ぁぁぁ!!!」


美香「ありがとうね、シュゥ…ゴォォォォオオオオオオオバシャッ……ツーツーツーツー」


 立ち止まるシュウ…

シュウ「美香?」


シュウ「嘘だろ?」


シュウ「美、、香、、」


 膝から崩れ落ちる…


シュウ「何で、ありがとうなんだよ…美香…ありがとうなんて…言うなよ……」


 美香母が近くまで追い付く。

美香母「シュウくん!!」


シュウ「ああああ……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ワ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛…」


 吠えるような泣き声は深夜0:30……奇しくも今日はトモのあの事件と同じ日、ほぼ同じ時刻…


一人の少年の心は砕け散った。

コメント、レビュー、質問、感想等なんでもお待ちしております。よろしくお願いします。

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