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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
29/197

第一章 27話 思い出の場所で

-------------------


 二人並んで美香の言う「秘密」といった場所へ向かう。非常に気まずい雰囲気。歩く靴の音と近くを走行する少数の車の音がやけに大きく感じる。


シュウ(何か声を出さないと…)

シュウ「こ、ここら辺大体知ってる所だけど、何か真新しい建物とか出来たっけ?」


美香「いや、ここら辺はいつも通りだよ。場所は着いてからのお楽しみでね?」


 トモの家近くを過ぎ、どんどんあるところへ向かっていく。数本の桜の木が見えてきた。もうほとんど花は散っている。


美香「ここだよ。」


 どんどん近くに来ている時点で予想は何となくだがついていた。数本の桜の木。白い柵でその場周辺を囲い、滑り台やジャングルジム、そしてここに無くてはならない四つのブランコ。ここは俺達四人としても思い出の公園だ。よく妹含めた四人でよく遊んでいた。

 そして…トモが見つかった場所でもある。トモが何かあった時は二人で話し合った、俺らの大事な場所だ。


シュウ「何でここに?」


美香「まぁ座って?ゆっくり話したい事があるの。大事な話。」


シュウ「…分かった。」(何だろう…)


 桜の木の下のベンチに腰をかける二人。少し会話の間があり、美香が口を開いた。


美香「何かさぁ、何か世界が一気に変わった気がする。」


シュウ「え、?どう変わったような気がする?」


美香「だってそうじゃない?トモは居なくなっちゃうし、私はいきなり癌が発見されて緊急手術で片胸無くなっちゃったし…」


シュウ「あー…確かに、確かにそうかもしれない。全部が急に始まってるかもね…」


美香「…」


シュウ「…」


無言が数十秒程続く…


美香「ねぇ、覚えてる?この公園。」


シュウ「勿論。この公園で妹含めた四人でサッカーとかブランコやったな。俺らの家からも丁度程良い距離にある公園。中三までよく集まって遊んでた…思い出の公園だ。最近は部活とか習い事が忙しくて集まってないけど…」


美香「そう。それとトモが居たところ…だよね?」


シュウ「そうだね…」


美香「何でトモはここに来てたんだろう…しかも夜中に…悩みがあったんだと思うんだよね…もしかしたら悩みがある時っていつもここに来てたんじゃないかな?」


 美香の勘は当たっていた。確かにトモは悩みがある時はここで黄昏ていた。女の美香に弱いところは見せれないと美香には内緒だったが俺には話してくれていた。


シュウ「……分からないな。どうなんだろう。」


美香「…」


シュウ「…」


 そしてまた無言が続いた…一体美香は何を伝えたいのだろう…


美香「あのね?私いつまでもずっとトモとシュウは大事な人なの…でも…」


シュウ「でも?」


美香「トモはもっと私の中でも特別な存在になっちゃったの…私トモの事恋愛として心から好きなの。」


 シュウの体の中にとても冷たい血が流れたような感じがした。そしてポロポロと涙がこぼれ始めた美香を見てシュウ自身も泣きそうになる。


美香「でもトモはもう私の事なんて振り向いてくれない…」


シュウ「何で?何でそんなことを言うんだ?」


美香「だってこんな私になっちゃったからっ!もう昔の三人には戻れないの!」


 こんなに取り乱している美香は初めてだ。胸が無くなった事をそんなに気に止めてないと思っていたが美香はずっと耐えてきていたんだ。


美香「こんな醜くなった私は…もう…どうしたらいいか…分からないよぉ…」

ポロポロと涙が止まらない美香。


シュウ「なぁ美香…俺じゃ、俺じゃ駄目かな?」


美香「…え?」


シュウ「俺がトモの代わりにさ…ずっと美香の近くに居るし、ずっと守っていたい。トモが居なくても…俺が居るよ…?」


美香「…」

 美香は流れる涙を拭って少し俯いた後に顔を上げ笑顔でこう言った。


美香「ありがとうシュウ。」


 少し眉が八の字になったその笑顔はシュウから見てとても綺麗に見えた。何かに吹っ切れたような笑顔だった。


美香「ごめんね、こんな所見せちゃってさ。今日はもう帰ろう?」


シュウ「そ、そうだな!帰ろうか!」


 そして美香を家まで送っていった…


-------------------


 そして家に帰宅したシュウの心はとてもドキドキしていた。


シュウ(コクったのも同然だよな、あの俺の発言…でも美香の反応は悪くなかったようだし…これで良かったのかな?)


莉沙「お兄ー!風呂ー!」


シュウ「分かったー!今いくー!」


-------------------


 時刻は23:05。風呂に入ったり、寝る支度をしたり、莉沙と雑談してたらもうこんな時間になっていた。一度美香に文を送ってから寝るとしよう。


「芦屋修二

今日はごめんね、あんな事言っちゃって、でもあの言葉は本気だからさ、何か相談事とかあったら言ってな?俺はずっと美香の味方だからさ!美香は醜くなんかないぞー! おやすみな!」


シュウ(これでよし。寝よう。)


 今日は良い夢が見れる気がする。。。。






-------------------

ブーブブブーブーブブブーブーブブブー


シュウ「???何だ?」


 シュウは携帯の着信音で起こされた。


シュウ「電話??」

 画面を見る…するとそこには


シュウ「美香からの着信だ!!」

 飛び起きるシュウ。胸がドキドキする。手が震える。

 震える手で通話を押した。


シュウ「もしもし?どうしたの美香?」


美香「シュウ?私ね、」




美香「何もかも知ってるんだよ?」

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