第一章 21話 甘い放課後
担任「はい、えー今日の報告は以上です。みなさん気を付けてお帰りください。」
ガタガタガタ センセーサヨナラー! ハーイサヨナラー
今日は昼休み以降何も変哲も無く学校が終わった。シュウの心の中には成瀬が放った言葉が嫌なモヤモヤを残し引っ掛かっていた。
もしかしてトモとのあの惨状を見られていたのか?たまたまあの時学校付近に居てたり…考えれば考える程不安になる。
フッと美香の方を見る。この状態ではいけない。普通にならないと。あまり考えすぎるのはよそう。いつもなら美香とトモと一緒に帰宅する。いつも通りに、いつも通りに…
シュウ「なあ美香!一緒に帰ろうぜ!」
いつも通りな風景だ。これでいい。
美香「うん、いいよー帰ろうか。」ニコッ
笑顔でそう答えた。
可愛い。やはり可愛い。この子ほど笑顔が似合う子が居たのだろうか。いや、居ない。この笑顔を俺は守らないと。
美香「ん?どうしたの?」
シュウ「いや、何でもないよ!行こうか!」
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今日の授業の話、担任を小バカにした話、次のテストの話、美香の部活動の話。色々他愛ない話をして帰路に就いていた。
美香は今回の事が有って部活を辞める事にしたらしい。美香は週三回あるバレーボール部に入っていた。このバレーボール部は県内最弱で兎に角楽しくバレーボールをやりましょう。というのを売りにしているみたいだ。
美香「あ、ねえねえ!クレープ屋さんがこの近くに有るんだけど行かない?」
シュウ「え!行く行く!あー調度甘いもの食べたかったんだよねぇー!」
美香「本当かよー?ま、うちはエスパーだから分かってたんだけどねー」
シュウ「ははは、じゃあ俺が何味食べたいか分かる?」
美香「納豆ホイップクリーム。」
シュウ「ちょ、やめろよ!それ頭サイコ野郎じゃんか俺!ってか本当にあるのかよそれ!」
美香「嘘嘘w何年間一緒だと思ってるの?ブルーベリーパフェでしょ。」
シュウ「すげぇ、流石何年間も一緒の幼馴染。俺も美香の当ててやるよ。」
美香「おー?私のは難しいよー?」ニヤニヤ
シュウ「チョコストロベリーだ!」
美香「はいー私その味前回食べましたから食べませーん。惜しかったなぁ幼馴染。」ニヤニヤ
シュウ「何だよー悔しいぜ全く!」
そうこうしてると目の前まで着いた。
美香「今日の私はバナナチョコカスタード!」
シュウ「へぇー意外だなー美香がそれ頼むなんて」
美香「何か前トモが食べてるの見て食べたくなったんだよね!」
この言葉にシュウはぐっと心臓が痛くなった。分かっていた。この味はトモが好きな味だった事を。そしてこのクレープ屋に美香が初めて来た日はあの事件の日だということを。まだ美香はトモの事を思っているのだろうか。
美香「んー?もしかしてまだ味悩んでるのー?私に当てられたから悔しくて頼めないんでしょー!」
シュウ「は?違うし!納豆ホイップクリームも有りかと思っただけだし!」
美香「それは引くわー。」
シュウ「おいやめろ。ブルーベリーパフェ一つお願いします。」
美香「バナナチョコカスタード一つお願いしまーす!」
店員「かしこまりましたー」
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シュウ「ふぅー、もう満足だな今日は。」
美香「だねぇー糖分補給したし明日も学校頑張れそうだわー」
二人はクレープを頬張った後帰りの道を歩いていた。
シュウ「あ、家まで送るよ!最近物騒なのは変わらないからさ!」
美香「えー別にいいのにー」
シュウ「いやいや、こんな美女俺だったらすぐさらうから。」
美香「いやいや、その発言きもいぞ?まぁありがと。本当の所はちょっと心細かったからありがたいよ。」
シュウ「任せてくれたまえ姫!」
美香「うむ。任せたぞ。」
やっぱりこの感じが楽しい。この感じをずっと守って行きたい。その為にも俺は頑張らないと。頑張って前を向いて進むんだ。美香の為に。
美香「いやーここまでご苦労!送ってくれて!」
笑いながらフニャッと敬礼して言う美香。
シュウ「いやいやー当然の事をしたまでです!」
こちらも敬礼しながら答える。
美香「じゃあまた明日ね!……楽しかったよ今日」ニコッ
笑顔でそう言う美香。
シュウ「ああ、俺も楽しかった!また明日な!」
俺は…俺は美香の事が大好きだ。だからこそ…だからこそ命に代えてでも、この笑顔は守らなくてはいけない。