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第四章 11話 支えになりたい


シュウ「やります。この任務、絶対に成功させます!」





 ……っとは言ったもののやはり緊張する。食も仕事も捗らない。気持ちは重い。


ワグ「おいおい、大丈夫か?」


 自室のベッドに座りボーッとしている所を心配そうに声をかけるワグ。


シュウ「あ、いや、大丈夫です。ちょっと考えてて」


ワグ「そうか?ならいいんだけどよ、でも今日ずっと顔色悪いぞ?」


シュウ「……やっぱり緊張しますね」


ワグ「そうだろうな、でも大丈夫だろ!今回はnofaceが絡まないんならまだ安全って感じしないか?」


シュウ「どうでしょう……何が起こるか分からないし、油断は出来ないですね……ちょっと食堂行ってきます」


ワグ「お、おう」


 シュウは温かいものでも飲んで気を紛らわそうとよろよろと食堂へ向かった。


--------


 時刻は夜の22時。数人座って夜食や遅めの晩御飯、眠れない人が集まる。こんな時間でもちょろちょろと人が居るこの感じは少し安心する。


 周りを見ているとなんとアリサが一人タブレットを弄りながらお茶を飲んでいた。


シュウ「あ、アリサさん、どうも」


 シュウはアリサに軽く会釈をして言う。アリサはシュウに気付き少し驚くがタブレットの電源を切り視線を下に向けたまま会釈して迎える。


アリサ「こ、こんばんはですわ。こんな夜更けにどうなさいましたの?」


シュウ「中々眠れなくて……アリサさんも眠れない感じですか?」


アリサ「ちょっと調べ事がありまして……もう少ししたら寝ようかなと思っておりましたわ」


シュウ「そうでしたか、すいません。ここで少し居ても良いですか?」


アリサ「ぜ、是非良いですわ!私ココアでも入れて来ますわね!」


シュウ「あ、いや、お構い無く!」


アリサ「いえいえ、これもオペレーターの仕事。ですわ!フフフ」


 アリサはいそいそとココアを作り、シュウの顔を直視せずさっと渡し席に座る。


シュウ「ありがとうございます。お仕事中だったのに」


アリサ「大丈夫ですわ。調べ事と言いましたが、この時間のこの場所は嫌いじゃありませんの。いつもと違った落ち着いた雰囲気で、でもここに来れば誰かが居る。寂しさも紛らわしてくれますわ」


シュウ「それは俺も思ってました。正直な所、中々寝付けなくて……ここに来れば気も晴れるかなと」


アリサ「……」


 アリサはその言葉を聞いてやっとシュウの顔を直視した。顔色は悪くストレスからか隈が出来ている。


アリサ「……」


シュウ「アリサさん?」


 アリサは言葉を失い、気づかされた。


アリサ(シュウさまは……これまでの実体験でnofaceを止めるために奮起していますが、まだ高校生で、この世界に入って一年も経っていないですわ……この方の為に私は一体何をしてきて、何をしてあげられるのでしょう。目の前でこんなにも押し潰されそうなこの方に……私はどんな思いでいればよろしいのでしょうか……)


 アリサはシュウの手をぎゅっと握る。


シュウ「アリサさん??」


アリサ「私は……」


 優しい笑顔を向ける。


アリサ「シュウさまのオペレーター、大切なご友人でもあり、パートナーでもありますの。気持ちは我慢せず、何でもお伝えくださいませ。私はシュウさまのお力になりたいですわ」


 そして、自分の胸に手を置き、お茶目に言った。


アリサ「ふふふ、お任せくださいませ。私はこう見えてここではベテランなのですわよ?」


シュウ「アリサさん……」


 シュウは分かっている。アリサが自分を励まそうとしている、心配しているということに。それだけでもシュウの心は暖かかった。そして、前回の任務前の事も思い出した。


シュウ「また笑ってここに……」


アリサ「はい!また笑顔でここに、ですわ!」


シュウ「そうだ……前もアリサさんに助けてもらったな……今も、アリサさんに頑張る勇気と目指したい希望を分けてもらった、気が軽くなった感じがします!」


アリサ「ふふふ、良かったですわ!きっと大丈夫、だから選ばれたのですもの」




 アリサとの会話はそれから少しの時間続き、シュウは自室に戻ろうと席を立つ。


シュウ「本当にありがとうございました、アリサさん」


アリサ「いえいえ、だだ無理はしないでくださいませ?」


シュウ「はい!大丈夫です!じゃあ今日のところは寝ますね。また明日っというよりまた朝に?」


アリサ「はい、朝に!おやすみなさいませ」


アリサ(私はシュウさまのオペレーター。良い理解者に、良いパートナーにならないと)


 この日はシュウとアリサの間に新たな絆が生まれた日になった─

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