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第四章 9話 恋愛の中身

 

 RINAの護衛任務を振り返り、感想を述べていくシュウ達。



シュウ「本当大変でしたね、ワグさんの機転も無かったら危なかった……ヒヤヒヤしましたよ」


ワグ「ああ、やっぱ場数は踏んでおいて正解だったぜ」


 そこで幾が首をかしげる。


幾「でもさーなんでマネージャーはそんなトラップをしかける技術があったんだー?」


アリサ「確か、警察によると、名も知らない詐欺師?に一式頼んで売ってもらったとか」


ワグ「詐欺師?胡散臭いなそりゃ」


シュウ「キナ臭いですね……連絡の履歴とかは?」


アリサ「それも全く。証拠も痕跡も一切無く……」


ワグ「園崎が逃げるための嘘じゃねぇか?」


アリサ「一応、警察は園崎の単独行動による殺人未遂という事でまとめたようですわ」


幾「そんなくそ男はずっと牢屋に入ってれば良いって感じだなー」


シュウ「歪んだ愛が過ぎるとここまで落ちるんですね」


彰「なぁに??こんな朝から恋バナ??ワタシも入れてよぉん❤️」


 彰が真新しいデザートを両手に割って入ってきた。


ワグ「そんな気持ちの良い恋バナじゃねぇぞ」


 ワグは半笑いで言うのを聞き、彰は食べて❤️と四人にきな粉がまぶしているシュークリームを渡していく。


彰「あら、お邪魔だったかしら?」


シュウ「いや、別にそんなことないですよ」


彰「ワタシも恋バナには負けないわよぉ?」


シュウ「いやいやいや、彰さんご冗談を」


ワグ「うえぇ、業が深そうな恋バナは朝からききたくねぇよぉ」


彰「む!失礼しちゃうわ!」


 彰がムッと膨れると、アリサはシュークリームを頬張りながら言う。


アリサ「彰さんは既婚者ですわよ?」



シュウ「えぇ!?」

ワグ「マジか……男と?」


彰「相手は女性よ!!!」


シュウ「えぇ!!!?」

ワグ「嘘だろ!?」


 シュウとワグは驚きのあまり口が塞がらない。


彰「ワタシだってね、男なのよ?」


ワグ「知ってたか幾?」


幾「勿論だよー彰は愛妻家で有名だからなー」



シュウ「ええええ!?!?」

ワグ「ドッキリか?」


彰「なんで朝からしょうもないドッキリしかけるのよ。しっかりワイフは居るわよほら」


 彰は首に下げているロケットペンダントを見せる。中にはめちゃくちゃ美人な金髪の女の人と彰が幸せそうに写っていた。


ワグ「本当だわ……」

シュウ「美人ですね……」


彰「んふふ❤️自分が誉められるより嬉しいわ」


 ロケットペンダントにキスをする彰は本当に愛妻家そのものだった。


シュウ「既婚者の方って結構居るんですかね?」


彰「ちらほら居るわねン、愛妻家というとロッドも愛妻家よン?」



 離れた席でコーヒータイムを嗜むロッドに目線を送るシュウとワグ。


シュウ「意外ですね……」

ワグ「すげぇ……負けてられないな!シュウ!」



 ワグはシュウの肩を叩く。


シュウ「は、はい!」


アリサ「……」


 アリサはその様子を下を向きつつもチラリと恥ずかしそうに見ていた。


ロッド「……そんな大きな声で喋れば嫌でも聞こえるぞ」


 ロッドが本をパタリと閉じシュウ達に言う。


ワグ「んだよーロッドー結婚してるだなんてー教えろよー」


ロッド「……ふん」


彰「あ、えと……事情があるのよ」


 彰が申し訳なさそうに言う。


彰「ご、ごめんなさいねン?ちょっとテンション上がっちゃって……」


ロッド「……構わん」


シュウ「何か有ったんですか?」


 シュウは興味本位でついつい聞いてしまう。


彰「人は誰しも色々あるものよン?」


ロッド「死んだよ、随分前にな」


シュウ「あ……」

ワグ「まじか」


 衝撃的な発言に空気が一気に冷たくなった。


シュウ「す、すいません……」


ロッド「構わんとも。妻の事は誇りに思っているし今も愛している」


 ロッドの愛情にしっかり芯があり心から愛しているのだろうなと聞いていた者が思った。


シュウ「病気……とかですか?」


ロッド「……いや、殺されたのだ。nofaceにな」


シュウ「nofaceに……」

彰「本当に許せない話だわン」


ロッド「妻は平和主義でな、活動家でもあったのだよ」


彰「ノーベル平和賞を受賞したパーイーンさんって言えば分かるかしらン?」


シュウ「え、それって、ルイン・パー・イーンさんのことですか?ミャンマーの暴動を阻止したりアジアの平和を掲げてた……」


ロッド「フッ……そうだな」


シュウ「えぇぇ!!!?」

ワグ「有名人どころの話じゃねぇな!教科書の人物じゃん!」


シュウ「今日は驚く事多くてそろそろ顎が外れますよ……」


ワグ「あのさ、nofaceの誰かって分かってたりするのか?」


ロッド「……ああ。やつは般若の面を被っていた。やつらの間では始末組と呼ばれ、当時は忍達が結集して作られた忍組の一人だった」


 ロッドはそう言いながら机に置いた本の表紙に手を優しく置いた。


ロッド「どこからともなく現れ、どこからともなく刃物を出し……許せなかった。許せなかったが、きっと……」


 本を懐に仕舞う。


ロッド「……話は終わりだ。仕事があるものでな。失礼するぞ」


 ロッドは立ち上がりその場を離れた。


シュウ「noface……どれだけ人の人生を狂わせれば気が済むんだ」


 自分もnofaceのせいで二人の大切な友人を失くした事と合わさり、歯を食い縛って悔しさを現すシュウ。するとアリサは手を伸ばしシュウの手を握る。


アリサ「毎日幸せが続くとは限らないのを私たちは身に染みて居ますわ……勿論、シュウ様も。シュウ様の過去もご存知でございますわ。でも、復讐に身をとられ過ぎないで下さいませ。周りが見えなくなって自らの命を落としてしまいますわ。そしたら私は……」


 アリサがシュウの手を握り、大事そうに言う様子を周りが少し驚いたように見ているのを気付き、アリサは咳払いをした後に言う。


アリサ「大切な仲間で友人ですからね、とても悲しいですわ」


シュウ「ありがとうございます、アリサさん」


 アリサは顔を赤くしつつもこくりと頷く。


幾(アリサ、シュウの事好きなのかー?)

ワグ(これはやっぱりあるな)

彰(あーん初々しくて可愛いわねぇ)



 この日から何故かアリサの対応が若干、冷たくなったような、よそよそしくなったようなそんな気がした。何故だろうか。

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