表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
175/197

歌ノ章 閑話5 厄介ファンは一体誰?


シュウ「岸田さん、ですよね?」


岸田「え……?」



 場は静寂とした。


ワグ「あ、あいつ、やったぞ……」

恩田「ぶぶぶ……」ドキドキ


RINA「……」


 ワグと恩田は緊張した面持ちだが、RINAは何か違うことを考えるように遠い目で眺めている。


シュウ「俺、RINAさんのSPをやってる者なんですが、」


岸田「え、エス、SP!?通りで……」


シュウ「通りで?」


岸田「あ、いや、違うんです!!私は何も!!」


 大量に汗をかき、挙動不審に冷静さを欠いて否定する。眼も一切合わせないので非常に怪しい。


岸田「あ、あ、えと、怪しいですよね。その感情、ひしひしと伝わります、はい、それは痛いほどに……」


 大量の汗をハンカチで拭う。


シュウ「まだ全然話を進めてないけども………」


岸田「わ、私はやっていませんよ!!」


シュウ(うわぁ目茶苦茶怪しい)


岸田「す、すいません……落ち着きます」


 眼を瞑り、ふーっと息を吐く。


岸田「すいません。昔から人の目を気にしすぎる性格でして……」


シュウ「いや、大丈夫ですよ!えと、聞きたい事がありまして」


岸田「なんでしょうか?」


シュウ「岸田さんは何故ここに?」


岸田「何故……ここに……」


 急に険しい顔になり、アリーナを見つめる。


岸田「私はただ、大好きなものを守りたいだけです」


シュウ「大好きなもの……RINAさんのライブですか?」


岸田「それもありますね。あ、あの、すいません。今から自宅に帰って明日のライブの為の準備をしなくてはなりません。申し訳ないですが、これで……」


 手刀を切りすっとこの場を後にする。


シュウ「……うーん」


 シュウは考える。

 この人はやっかいなファンか?大丈夫なものを守る。その為にRINAへ迷惑行為を?そんなの全く繋がらない、一体何を岸田は考えているのか。こんな必死そうに、焦りを見せつつ心配そうに……


 岸田を少し知りシュウの中には疑心の感情が生まれた。


------------


 朝─


 前回の用に不用心に外に出られては困るので着いてからチャイムを鳴らして出てもらう事にした。


RINA「おっはよー!!」


 朝から元気一杯のRINA。車に転がり込むように入る。


アリサ「おはようございますわRINA。今日で最後の日ですが、どうでしょうか?ここ三日のストーカーの動きは」


RINA「んー何もない!珍しく何も失くなってないし変なことも無いと思うよ!」


ワグ「やっぱ俺らが居るから警戒してんのかぁ?」


シュウ「んー、どうなんでしょう……あ、今日は自分が担当するんでよろしく、RINAさん!」


RINA「お!シュウシュウが付き添いなんだー!ワグと恩田より頼り甲斐がありそうだぞー?」


ワグ「な!?」

恩田「んぶ!?」


シュウ「あ、えと、皆さん俺より強いしもっと、、」


RINA「うそうそー!三人共、アリサも皆頼り甲斐あるから大丈夫ー!」


-----------


 数時間で東京ドームに着きRINAと共に控室に通されるシュウ。

 アリサは外で車に待機、ワグと恩田は会場とステージ横で別れて待機している。


RINA「シュウシュウー」


シュウ「はい?」


RINA「ワグと恩田より頼り甲斐がありそーって言ったのはね、本当なんだよねー」


シュウ「そ、そうですかね??でもあまり本人たちの前で言うのは……」


RINA「えへへ、ごめんてぇーでもさ、ありがとうって言わないとなって思っててさ」


シュウ「ありがとう?」


RINA「園崎が色々言ってくれた時に助けてくれたじゃん?さっすがぁー!って思っちゃった!」


シュウ「ま、まあ、それが仕事だからな!」


 シュウは照れて頭を掻く。自分がやった事でこうも喜んで貰えるとどうも照れ臭い。


RINA「おやおや?そんな仕事マンのシュウシュウでもほこりがついてるよー?取ってあげるー!」


 RINAはシュウの後ろに回り左肩に手を伸ばす。


シュウ「え、どこ?あ、あり─


 バチッ


シュウ「うぎゃっ!」


 一瞬バチッと鋭い痛みが肩を通る。


RINA「へっへっへー取れた取れた♪取れたよー♪」


 RINAはカチカチとスイッチを押して持っていた。恐らくそれはライターを分解すると出る圧電素子だ。


シュウ「くっ!油断した!」


RINA「ふふん!まあ、これが仕事だからね!」


シュウ「こ、こいつー!」


 シュウはすぐにRINAを理解した。この子はイタズラをしないと気がすまないのだ。



 それからRINAのイタズラやお話に付き合っていたがいつも来る園崎が中々来ない。打ち合わせが始まらないのだ。


シュウ「いつもこんなに遅かったでしたっけ?」


RINA「いや……」


 RINAも不安そうに時計を見た後すぐに控室の扉を開け入ってくる園崎。


園崎「待たせたね、打ち合わせをしよう」


 汗をかいて若干息を切らしていた。淡々と打ち合わせも終わり、園崎はシュウとRINAに言う。


園崎「待たせてすまなかったね。RINAには話が1つあるんだ。少しの間2人にしてもらえないだろうか?」


RINA「話?」


シュウ「大事な話、ですかね?」


園崎「ああ、次回のライブやテレビ出演、サプライズイベント等のスケジュール合わせをね。あまり他の人に聞かれたくないんだ。これを外で眺めて待っていてくれ」


 園崎はシュウにイベントのパンフレットを渡す。


シュウ「ん、あーはい。分かりました」


 シュウは言われるがままに外へ出る。


 白い紙のパンフレットにうっすらついた黒い指紋。薄汚れた手で刷ってきたのか?



 それから数分後の事だった。


 大きな声を出しなれてないのだろうなという声。焦りすぎて滑舌が良くなく聞き取りづらい言葉が廊下を響いた。


岸田「RINAさんがあぶぬぁい!!!!!!」


シュウ「!?!?」


 恩田とワグが岸田を取り抑えているが2人を引きずる、吹き飛ばすようにして。


ワグ「まてまてまて!!」

恩田「んぶぅ!!!!」


岸田「はやく!!なにをしてるだぁぁぁ!!!」


シュウ「な、なに!?!?」


 シュウも岸田を取り抑え、他の警備員やスタッフも岸田を抑え込む。


岸田「離せ!!!」


シュウ「き、岸田さん!落ち着いて!!」


岸田「落ち着いてられるか!RINAさん!!!」


 何故急に??楽しみにしていたライブ前にこんな事を……何がしたいのか


 岸田はシュウの胸ぐらをつかみ至近距離でこう言った。


岸田「RINAさんを!!!殺す気かぁぁ!!!」


シュウ「っ!?!?」


 シュウはすぐに岸田を振り払いすぐにRINAの控室を開けようとする。鍵がかかっている。


 何故??


 やばい、!!


 すぐに悪い予感が頭を過った。



シュウ「ワグさん!!恩田さん!!」


恩田「んぶ!!!」


ワグ「あ、ああ!!」



 恩田は体を膨らませ扉へ体当たりをする。バコンと扉は一気に開き恩田は中へ転がり込む。


 シュウとワグは中の様子がしっかり見えていた。


 

RINA「く……くあ……」

園崎「」




 園崎が馬乗りになり首を締めていたのだ─!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ