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Gris Persona -灰色の能力者-  作者: 緒方ユウ
一章 灰色の能力者
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第一章 15話 決意─大事な人のもとへ

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 ガラガラガラ


浅黒い男「失礼するぞ」

グリーンの男「あ、どうも」


 昨日の人達が病室に入ってくる。


グリーンの男「やっぱ、眠れてないですよね」


シュウ「はい……」


 昨日のように二人はベッド横の椅子に座る。


浅黒い男「そんな疲弊してるところ申し訳ないが込み入った話があるんだ」


シュウ「その前に、貴方たちは何者なんですか?昨日聞けなかったんで、」


浅黒い男「そうか、そうだな。すまないが、私達は君に名乗ることは出来ない。強いて言うなら政府の関係者だ。芦屋君が無害だと知った今、私達は敵では無い。手荒な真似もしない、保証しよう」


シュウ「貴方たちは能力の事を知っていたようですが、、」


グリーンの男「うん。僕たちは能力者だよ。んー僕たちは異質な能力に関連する事件を担当する、そうだなー警察?的な役割をもつ団体だと思ってくれていいよ」


シュウ「えっ、てことは俺やトモ以外にも能力を持つ人は沢山居るって訳ですか?」


浅黒い男「ふむ、沢山居るかはどうか分からんが、君たちだけじゃないのは確かだ。それと私達は能力を持つ人達を保護したり、雇う事もしている。能力は無能力者に恐怖を植え付けたり、使い方が分からなかったりする人が居るからな」


シュウ「そうなんですか。じゃあ……こんな事になった自分も保護対象なんですか?」


浅黒い男「いや、強制はしない。だが能力を人前で使うことはやめてほしい。それは君の為でも有るし、我々の為でも有る、周りの能力を持たない者の為でも有るな」


シュウ(もうこの能力は使うことはないだろうな。こんな能力、辛い事しか無かったし)

「あ、大丈夫です。使うことはありま」

浅黒い男「だが正直なところ」

芦屋「え、」


浅黒い男「正直に言うと手を貸してほしい。能力者の手が今は一人でも必要なのだ。能力は人を容易く殺すことが可能だが使い方を間違わなければ数百の命を救う事だって可能だ。特に君の能力はな」


シュウ「俺の能力は、人を、救える?」

 頭の中に二人の幼馴染の顔が過る─


浅黒い男「どうだろうか?私達と共に来てくれたらとても心強いし、生活も何もかも不自由なく暮らせると思うんだが……?」


シュウ「お、俺は……」


 人を救う。それは俺の罪滅ぼしになるんだろうか……でも……でも俺にはやることがある。まだ一つやることがあるんだ。俺の大事な人。



シュウ「俺は美香を見捨てる訳にはいきません」


 グリーンの男は目を瞑りうんうんと深く頷いている。浅黒い男はこれまで表情を変えなかったがニッと笑い


浅黒い男「そうか、ならばそれをしっかりやりとげなきゃな。私は君の勧誘に手を引こう」


シュウ「すいません。美香自身も相当傷が深いと思うし、放っとけないんです。それと俺は、」


浅黒い男「皆まで言わんでいい。これだけ伝えておこう。今回のこの事件は揉み消した。相田少年は家族一同で海外へ移住、生駒女子は乳癌の治療という話になっている。芦屋君はその見舞いという事だ。治療も私達が全額補償する。これからの学校生活存分に謳歌すると良い」


シュウ「そんな上手く行くんですか?」


浅黒い男「もう上手く行っているよ。もう一度言うが私達は政府の関係者だぞ?」


シュウ「じゃあ、信じます。本当ありがとうございました。色々と。」


浅黒い男「私達がもっと前から深い事情を知っていたらこうはならなかっただろう。私達にも落ち度がある。これくらいは当たり前だ」


 そして二人とも席を立つ。


浅黒い男「これからは大変な事が沢山起こるだろう。その子を支えて且つ、自分の人生もまた、思い通りに行かない事も有るだろう。だがな、君は苦しみを乗り越える力を持っている。きっと大きくなっていくさ。ではまた、縁が有ったらまた会おう。」


グリーンの男「失礼しました。またどこかで」


 二人は病室から出ていった。




 ──会いにいかなきゃ。

 シュウはバッとベッドから出て美香のいる506号室へ走って行った。

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