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第四章 4話 埋まらぬ確執 ☆


龍義「よく来てくれた」



 龍義がB.B.B.の三人にそう言い、ソファーに座る。龍義の後ろには巌鉄、フランクが立っている。

 雅は言われる前にドカッとソファーに座り、頬杖をつく。ランファはタバコを吸い、スコットは後ろ手を組み禁煙場所なのに喫煙するランファを気にかけている様子だ。



雅「さて、私を呼んだんだ。さぞ、有意義な話が出来るんだろうな」


挿絵(By みてみん)


巌鉄「零ちゃんよぉ、そんなに高圧的に、


 巌鉄の話の途中に雅はギロりと睨む。


雅「黙れ巌鉄。その名で呼んだら次は殺すぞ」


巌鉄「はぁー……全く、おっかねぇばあさんだ」


雅「さっさと話を始めろ。昔話をしに来た訳じゃないだろう。下らない話をするなら私は帰るぞ」


 龍義はサングラスをくいっと上げ、眉間に皺を寄せる。


龍義「我々BARKERSとB.B.B.の確執はでかい。対立は避けたいのは分かっているよな」


雅「知らん。それで、何が言いたいんだ」


龍義「我々の仲間が一人死んだ」


雅「興味が無い。お前達の誰が死のうが」


龍義「死んだのは走川恵一。ヴァリネシア王国北方の森にて斬殺された」


雅「それがなんだと言うんだ。まさか私達のせいだと言っているのか?」



 龍義の皺は深くなりサングラス越しに雅を睨む。空気はピリピリとし始め、今にも殺し合いが始まるように場は緊張していた。


 

龍義「話では、B.B.B.も継承式に居たそうではないか。お前達の任務は一体何だったんだ?」


雅「言う必要が無い」


龍義「では、話を続ける。現場はリスト家とゲインの仲間の死体で溢れていた。そして、銃撃戦の跡がそこにはあった」


雅「なるほどな。要は私達がリスト家とゲインの殺害の依頼を受け、戦闘中にその走川を殺したという事を言いたいんだな?」


龍義「俺の考えでは、リスト家などに殺されるとは思えない。斬撃から、Badtailorのハイドンか、忍び組かという線もあったが、考えにくい」


雅「ほう。それで」


龍義「それで、だと?」



 雅はバカにするように口で笑みを浮かべる。


雅「決定的証拠が無いな。こちらには報告は来ていない」


龍義「まだシラを切るのか」



雅「仕方ない、まあ、良い教えてやろう」



 雅は龍義を冷たい目で睨む。


雅「今回の作戦は確かにリスト家とゲイン一家を殺害する事だ。王宮の北方で作戦を行った。そして、そのメンバーの中に剣を扱う人間も居た」


龍義「近衛。だな」


雅「その通りだ。何かの拍子に巻き込まれる可能性も大いにあっただろうな。だが、BARKERSを殺ったという報告はない。報告が無い以上認めれない」


 龍義と雅はお互い沈黙し、睨み合う。


龍義「もう一度言う。我々とB.B.B.の仲は悪化させたくない。今、どんな状況にあるか分かっているのか?」


雅「では言おう。仮に近衛が殺ったとして、どうするのだ?近衛に言って謝らせるのか?きっとアイツは日本人を殺してしまったと嘆き、言えば腹を切ることもしてくれるかもしれんな。それとも何か?金を払えばいいのか?確証しない出来事に多額の慰謝料を私達が払えば」


龍義「こちらは大事な人間が一人死んでるだぞ!!」


 龍義は堪えきれず怒号をあげるが、雅は冷たい表情のまま龍義を見据える。


雅「ならば、こちらも近衛を殺せば丸く収まるのかね?」


龍義「そうではない!」


雅「ならば何だ。私達がやってしまったとして、お前達が提案するものとは」


 龍義はなんとか落ち着きを取り戻し、髪をかきあげる。



龍義「こちらの提案はお互い協力関係で有ることだ。良好な関係を構築していきたい」


ランファ「カハッ」


 龍義の言葉を聞き、笑うランファ。そして、拍子抜けした表情の雅。


ランファ「おっと失礼」


雅「良好な関係だと?」


龍義「そうだ。Nofaceが力を付けている今、我々も手を組み共闘すべきだ」


 にやけが収まらないランファとはぁ、とため息をつき片手で額を押さえるスコット。雅は見下した表情でその言葉を聞いた。


雅「なにかと思えば馴れ合えと?久々に呆れたよ」


巌鉄「悪くねぇ話だと思うがなぁ!」


龍義「どうだろうか」


雅「生ぬるいんだよBARKERS。だから十年前の事件が起こるんだ」


 雅は立ち上がり、強く蛇のように睨む。



雅「あの男が作ったのだからこうなのだろうな。話は終わりだ。帰るぞ」


龍義「ならば何の為にB.B.B.を作ったんだ!!」


雅は帰る最中、振り返り吐き捨てるように言う。


雅「金さえ渡せば兵も銃もくれてやろう。それだけだ。それだけの関係だ。それ以上もそれ以下も無い。あのアホの為に作ったB.B.B.では無いからな」


 雅はバンと扉を開け、出ていく。ランファとスコットもそれについていった。



 バタン─扉が閉まり、龍義含めた三人は深くため息を吐く。



龍義「まさに冷酷。氷の女だな」


巌鉄「昔はもうちっと思いやりがあったんだけどなぁ……」


龍義「フランク、この会談はどう思った」


フランク「ふむ。不毛ですな」


龍義「やはりか……協力関係でいれば、Nofaceも敵ではないのだがな」



 氷の女の心は溶けず─B.B.B.との確執は深いまま会談は終わった─

挿絵はそらとさんからです!

ありがとうー!щ(゜▽゜щ)

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