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第三章 45話 Cry Maxへ ☆


ウィッセン「クソが!!計画が台無しだ!!早くこい!!」

ヴァリアント「くっ、」



 ヴァリアント王はウィッセンに連れていかれて行ってしまう。


ラハイヤン「グス……アル!」


アルフォンソ「お任せを」


 すぐにアルフォンソが手首たちを向かわせるが、


 パン!!!


アルフォンソ「くっ、」


 銃を床に撃つウィッセン。


ウィッセン「来てみろ!!ここで撃ち殺してやるぞ!!」


 その銃撃に怯んだ好きにさっさと連れて行ってしまった……



アルフォンソ「追いかけましょう」


ラハイヤン「アーシャを置いていけない!」


 ラハイヤンはシュウにかけより、声をかける。


ラハイヤン「アーシャ、大丈夫か?」


シュウ「うう……まだ頭がフラフラするけど、なんとか……」



 シュウはグイッと何かに掴まれ宙を浮く。


シュウ「おわ!」


アルフォンソ「君には本当に助けられた。もしかしたら君が居なかったら私は王子を殺めていたかもしれない」



 七つの手首がシュウをささえる。


アルフォンソ「だが、まだ助けてもらいたい。君の力が必要だ。王子のために、まだ動いてもらえるか?」



 シュウはその言葉を聞き、気付けにパンパンと顔を叩く。


シュウ「頑張ります!俺だって!やってやりますよ!」


 三人はウィッセンを追う─!



---------



 追っていくと屋上の大きなテラスに辿り着いた。その端にはニヤニヤと笑うウィッセンの姿が。その隣にはヴァリアント王が捕まっている。


ウィッセン「フフフフフ……」


シュウ「もう逃げ場は無いぞ!!」


 その状況とは裏腹にウィッセンは余裕な笑みを浮かべている。



ウィッセン「逃げ場はないだと?まるでクライマックスを決める発言では無いかね?」



ラハイヤン「何を考えている!父上を離せ!」


ヴァリアント「ラハイヤン……」



ウィッセン「フフフフフ、そろそろ時間だなぁ……」



 ウィッセンは耳に付けている通信機に手をやる。


ウィッセン「お前達、出番だ。見せてやれ、魅せつけてやれ。最高の悲劇を!!」


アルフォンソ「まずい、こいつの他に二人居る。やつらが動き出すぞ!」



 しかし、謎の間が空く……



ウィッセン「……おい、お前達、聞こえてるのか!?おい!!どうした!?何故応答しない!!」



 アルフォンソは何やら思い当たる伏があるようだった。


アルフォンソ「……もしかしたらお前達の仲間は彼の仲間達にやられてしまったのかもしれないね」


 シュウに目線を向けてニヤリと笑ってみせた。


ウィッセン「なんだと?そんなはずは無い。リスト家のやつらも漁師のやつらも居るはずだ。何百といる暴動を制圧出来る程の力があるというのか!?」


シュウ「俺達はお前が思っている以上に強いんだ!」


シュウ(きっとそうだ!皆がやってくれたんだ!)



 しかし、まだウィッセンには余裕があった。


ウィッセン「そうかそうか、だがな、この十年、最高な悲劇を造り上げる為にルートを沢山用意してある。この程度で終わる私では無い」


 王様に向けていた銃を即座にアルフォンソとシュウの膝に向けて引き金を引いた。



 パンパン──


アルフォンソ「!?」

シュウ「くっ!!」



ウィッセン「フフフフ、どうだ?上手いものだろう?フフフフ、ハッハッハッハ!!!」



ラハイヤン「アル!!アーシャ!!」


ウィッセン「おっと、動くな王子。こいつらの頭を貫かれたくなかったら黙ってこっちに来るんだな。お前さえくればヴァリアント王の命も助けてやってもいい」


ラハイヤン「……」


アルフォンソ「王子!!罠です!!行ってはなりません!!」


シュウ(くっっっアツい!!撃たれるとこんなにも痛いのか!!痛くて足が動かない!!)



 アルフォンソの手首達が一斉に浮かび上がるも、今度は王の頭に銃を向ける。


ウィッセン「おいおい、折角王子様がやる気なんだ。間をさすと助かるはずだったお父様の脳が吹き飛ぶぞ?」



アルフォンソ「クソ!!外道が!!」


ヴァリアント「来るな!!私の事など捨て置け!!」


ウィッセン「フフフフ、さあ、来い王子!!」


ラハイヤン「……」



 王子はうつむき……唇を強く噛む─



 キッとウィッセンを睨み、前を向いた─



ラハイヤン「余の一つの命で三人の命が助かるなら死んでも構わん!!だが、お前のことは末代まで、ずっと恨み続ける!!この恨みは消えず、地獄の果てまでも続くだろう!!」


 ウィッセンは口元一杯にニヤニヤと笑う。



ウィッセン「その年でそこまでの事を言うなど、役者じゃないか、君は」



 王子は一歩一歩恨みを込めた怒りの表情で進んでいく。



シュウ「だ……めだ……いか、行かないで!王子!!」


アルフォンソ「王子……っ」


 アルフォンソから見た、向かう王子の背中……それはとても大きく、覇気すらも背負うように見えた。その背中を見て、不甲斐ない、何も出来ない自分に嫌気がさし、自らの怒りで血管が張り裂けそうだった。


ラハイヤン「アルよ」



 ラハイヤンは振り向かずに言葉を投げる。



ラハイヤン「短くも濃い歳月だった。世話になったな。余は感謝している」


アルフォンソ「まだ、まだ諦めてはなりません!!」


ラハイヤン「これからはお前が父上の右腕として、この国を輝かせるのだ」



 朝日が登り……王子を照らす─



ラハイヤン「余は……贅沢ものだった……だからこそ、父上にも、お前にも死んでほしくないのだ」



アルフォンソ「王子……」


ヴァリアント「ラハイヤン!!クソ!!!この外道め!!離せ!!」


ウィッセン「じきに離してやろう、少し待っておきたまえ」


 

シュウ「うっ……クソ……体が浮ければ……」



 シュウはウィッセンを強く睨み、この状況を、自分の無力さを恨む……



 王子は一歩一歩前へ進んでいく─


 

ウィッセン「フフフ、そうだ。この劇は……バッドエンドで幕を閉じるのだ」



 ウィッセンは耳につけた通信機に手をやる。


ウィッセン「これは失敗では無い。不服だがな、私は帰る、こことはおさらばだ」



 何か他意があるような発言を言うウィッセン。


 もう王子が手の届くところまで来た。



ラハイヤン「父上を離してくれ」


ウィッセン「ああ、離す、約束は守る」


ヴァリアント「息子よ……こんな運命にしてしまった私を……許してくれ……」


ラハイヤン「父上……余は……想ってくれたという事実があれば、




 ウィッセンは口が割けそうになるくらいの下衆の笑みを浮かべる。


ウィッセン「THE・ENDだ」



 ドン─



ヴァリアント「な」

ラハイヤン「!!!!」

アルフォンソ「!!!!!」

シュウ「」



 ウィッセンはヴァリアントを蹴り飛ばし、屋上から落とした─


 すぐに王子を抱え、こちらに銃を向ける─



シュウ「やめろぉぉぉぉぉぉ!!!!!!」



 カチッ─


 虚しく撃鉄が鳴る─


 弾は……放たれなかった─



アルフォンソ「きさ、」


 アルフォンソが叫ぶ瞬間─



ウィッセン「さらば愚か者たちよ」



 ウィッセンは王子を抱え二人は……空へ飛んだ─







シュウ「俺を投げろ!!!!!!!!!」



 この一瞬─助けなければとアルフォンソに叫ぶ



 アルフォンソの手首たちは瞬時にシュウを落ちた方へ放り投げた─



 

 見えるのは落ちていく二人─


 二人??


 転落し続けてるのは王子と王


 十五の手首たちは下に続いて向かうが、目標を捉えているとは思えないくらいバラバラに飛ぶ


 一匹をなんとか捕まえ、先に落ちた王に向かって投げる


 手首は王を掴み、一つが掴まると、数個の手首が王に負担をかけぬようすぐに集まり支えた。


 後は王子、


 シュウは王子に向かって弾丸のように落ちていく


 王子を助けるために、ただただ必死だった


 落ちて行く友人を助ける


 昔、助けられなかった親友がシュウの中で重なった



 不思議と体が更に軽くなったように感じた


 例えるならば槍のように


 先端に重りがあるような



 

 ガシッ



 過ちを繰り返さないよう、しっかりと王子を抱えた─


 


 

----------------



ダン「ふう、ふう……さ、すがはアリサ君だ……み、道に迷わずここに来れたよ」


エミリア「大丈夫?ダン、息が切れてるけど……」



アリサ「良かったですわ……お二人とも無事で……」



 アリサは紙人形を何体も作り、宮殿内に道案内のために放った。その一体がエミリアを背負う、血色の悪いダンに出会ったのだ。



ひなび「大丈夫ですか!?ダンさん顔色が真っ青ですよ!?」


ダン「フフフフフフ、大丈夫さ、大丈夫、大丈夫だよ、一度エミリアを下ろして良いかな?」


 エミリアを下ろした途端、横に倒れるダン。



エミリア「ダン!?大丈夫!?」


 周りの皆も驚き、ダンを心配する。


ダン「つ、疲れただけさ……少し横にさせておくれ」



 ダンはこの場の惨状……動ける残りの漁師達によって綺麗に並べられた遺体達や血の跡を仰向けになりながら見渡す。



ダン「どうやら、君らも大変な目にあったようだね……ウィッセンは何を考えているのか」


アリサ「どうやら、今回のウィッセンの奇行はNofaceが関わってるみたいですわ……」


ダン「何だって!?」



 アリサは事の経緯をダンとエミリアに説明した─



 

エミリア「それでは……先ほど戦った強靭なハイドンシェフもNofaceだったってことね」


ひなび「そちらはハイドンシェフと戦ったんですね……こちらはあそこに倒れている─


 

 倒したミミー・バトンスに指を指すが……言葉を失う。その様子を見て、みんなも視線をうつした─



 謎の黒い服装の者がいつの間にかミミー・バトンスを抱えていたのだ。



ダン「だ、誰だ君は!!」


剣崎「てめぇ、カチコミか?」


エミリア「サポートするわ!」


アリサ「っ!」


 剣崎はその男の近くに、エミリアはそのサポートをし、アリサは残りの紙で作った手裏剣を構える。



 その男は振り返り、鼻まで覆う布を下ろす。



ダン「NINJA!?」


アリサ「あなたは!!!」



黒い忍者「任務は終了、帰還する」


 その黒い忍者の床に空間が広がり足首を何かが掴み、下に沈んでいく。



アリサ「忍び組!!あなた達はまたこの世界を掻き回すんですの!?」


黒い忍者「この世界に私達の居場所を作る。この行動は善だ」


剣崎「てめぇ!逃げんのかよ!!」


 黒い忍者は口元まで布を上げる。既に首から上しかない。



黒い忍者「君達の相手は私達では無い。飼いきれなくなった化け物が直に来る」



 バン!!!!!!



 どこかの扉が強く開く音が聞こえる。


 アリサ達の部屋の扉が開き、近くの漁師が何かにぶつかり、飛ばされる。



漁師A「ぐあああああ!!!」



 その何かは四つん這いになり、汚ならしくよだれと血を垂らしていた。



エミリア「ハイドンシェフ!?!?」


ダン「まだ生きていたのか!!!!」


剣崎「んだよあいつはよぉ!!」



 ハイドンはアリサに眼を向けて、にたりと笑う。


ひなび「アリサさん!!」


アリサ「え、」



 ハイドンは猛スピードでアリサに襲いかかる。


アリサ「!?」


 アリサはその迫力におののき、足がすくみあがり動けなかった。


エミリア「まずい!間に合わない!」



 エミリアとアリサの距離は遠く、守る能力が届かない。


ハイドン「マンマァァアアアア!!!!!!」



 

 アリサへ急接近する獣のようなハイドン─



 しかし、アリサとハイドンの間に大きな水の壁が何枚も重なった。


 バシャン!バシャン!!バシャン!!!


ハイドン「がはっ、ぐあぁ……」


 ハイドンはその水の壁にぶつかり、苦しそうに悶えたのだ。


アリサ「水……もしかして!!」




?「わ、私の友達に近付かないでくれるかしら。このゲテモノ」



 つかつかとヒールの音をたて、胸をツンと張り、自信の塊のような歩き姿。


アリサ「レベッカ!!」


ひなび「B.B.Bの!!」


剣崎「やるじゃねぇか!!」


エミリア「良かった……」


ダン「ほっとしたよ……」


 

 レベッカはアリサとハイドンの間に入った。


レベッカ「これ以上近付くなら、もっと苦しむことになるわよ」


ハイドン「ごほっ、ぐふ、ふぐぐぐぐ、ぐふふふふ、ぐふふふふふふ」



 びちゃびちゃに濡れ、苦しみながらもニタリと笑い、口から大量の水を吐き出す。


レベッカ「あら、体の中に瀕死近くまで水分を入れこんだのにまだ喉が乾くのかしら?っというよりよく動けるわね、人を捨てたの?普通なら溺れ死んでると思うのだけど」


ハイドン「ぐあああおおおおおおお!!!」



 ハイドンはレベッカに襲いかかる─



レベッカ「はあ、さようなら」



ハイドン「ごぷ」



 ハイドンの眼や鼻、口、穴という穴から水が吹き出し、どさりと倒れる。


レベッカ「私は肉料理より魚料理が好きなの。出直してきてね」


挿絵(By みてみん)




 惨劇は終幕へ─


挿し絵はそらとさんからです!

ありがとうございます!

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