第一章 13話 怪しい四人
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シュウ「………ん、」
何か悪い夢を見た気がする。あれ?なんの夢を見てたっけな……
目を開けると目映い蛍光灯の光が突き刺さった。
うわぁ電気つけっぱで寝ちゃったよ、相当昨日は疲れたんだな…………蛍光灯?
?「起きたようですよ」
!?誰だ!?
さっと顔を横に向けると三人の男女が居た。
厳ついサングラスをかけた浅黒い男、薄いライトグリーンのような髪色で片目が隠れている男、今にもイラついた気持ちを爆発しそうな目をしていて髪色が赤くロングな女。
そして、ベッドの前を見るとやつれた顔で隈が酷く細い男が立っていた。
合計四人の怪しいやつらだ。
浅黒い男「時間が無いものでね。単刀直入に聞くが君はどっち側だ?」
は?どっち側?何を言ってるんだ?
それを口に出そうとしたが声が出ない。口が開かないのだ。
シュウ「ん゛ー!……ん゛!?」
シュウは気づいた。何と体も一切動く事が出来ないのだ。
赤い女「おいおい、ロッド!解除してやれよ」
やつれた男「いいのか?」
浅黒い男「口だけ自由にしてやれ」
やつれた男は手を前に出し蝿を払うように手を軽く振ると口が動くようになった。
シュウ「何なんだよ!?お前ら!!一体、」
赤い女「黙れてめぇ!!!」
シュウ「っ!?」
赤い女「一々大声出すんじゃねぇよ殺されてぇのか?時間がねぇって言ってんだし質問はこっちが先だろうがあぁん!?」
グリーンの男「いやいや、一番姉さんがうるさいから。落ち着いてよ。芦屋くんだって今不意に言われて混乱してるんだよきっと」
赤い女「ったく……兎に角!てめぇはどっちなんだよ。あの学校に居てあのガキとつるんでたんだからこの言葉の意味くらいわかんだろうが」
シュウ「……あのガキとつるむ?」
浅黒い男「そうだ。相田友樹君はあっち側だった。君は相田友樹君のような能力者か?」
シュウ「トモ、能力?……………っ!!!」
俺が、トモを殺したんだ!悪い夢じゃなかった!!
そう思い出すと激しい吐き気と頭痛が起こり、そして大事な幼馴染を失った哀しみ、殺した苦しみ、色々な後悔が体全体を支配し涙が勝手に溢れてきた。
シュウ「わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁぁぁ!」
シュウは雄叫びのように泣いた。それでも苦しみは中々取れていかない。
浅黒い男「拘束を全て解いてやれ」
やつれた男「……分かった」
浅黒い男「芦屋少年よ聞いてくれ。君は相田友樹君を殺したくて殺したのか?その能力を殺しや自分の欲求の為に使うかね?」
何やら浅黒い男が喋っているが自分の泣き声でかき消され耳に届かない。
ガシッ!!
いきなり頬を片手で挟まれた。
赤い女「聞きなガキ!!今少しだけで良いから耳を傾けるんだよ!良いか?アタシの目を見な。どんだけ相田ってガキが大事なやつだったかは検討がついてる。情報が欲しいんだ。お前は能力を濫用して犯罪に使うか?」
シュウはやっと言葉が耳に届き。その言葉に首を横に振った。そんなこと少しも考えなかったからだ。この能力で自分は物語の主人公のように特別な存在になれると。心踊るような、周りからちやほやされ、笑顔や良い驚きが溢れる平和な毎日が待っていると思っていたから。
赤い女「そうか。その反応に嘘は無いと見えた。なら……まずは良いな」
浅黒い男「そうか。それでは今日の所は失礼しよう。また明日来る。その時に色々話すことにしよう」
浅黒い男が言い放つと他の三人も部屋から出ようとする。すると赤い女が立ち止まり、
赤い女「あ、そうそう。あの時学校にいた幼馴染の一人だっけか?女だ。その女はこの病棟の506号室に居るからな。無事手術も終わって回復に向かってるって話だ。まぁそれと大事な人が死んじまって辛い気持ちはアタシも分かってる。今日はそいつの為に1日泣き喚きな」
そう言って全員部屋から出ていった。
シュウ「……美香は……美香は生きてる……。でも……トモは、」
この日シュウは食事もトイレも行かずベッドの上で丸1日泣いた。