第一章 12話 大親友
シュウ「っ………」
シュウは一体何故美香の右胸が飛び散ったのか理解出来なかった。そもそもこの現状が理解出来ないのだ。何故?何故美香の胸が?何故トモがこんな事を?キャパシティが越えていて何がなんだか分からない。
だが涙を流して震えてる美香を見て我にかえった。
シュウ「美香!!トモ!!何をしたんだ!!」
友樹「シュウ、俺とお前は似たものを持ってるんだよ。」
シュウ「お前、まさか……お前も……」
友樹「そうだよ……俺は〔弾ける〕能力を持っちまったんだっ!これで……これで俺は家族を……殺した!殺しちまったんだ!!」
シュウ「ぐっ……何でこんなことを!!美香の出血が酷い!!美香を離せ!」
友樹「そうはいかないんだシュウ。俺はな……俺はお前らを殺す事を決めてるんだよ」
シュウ「!?」
友樹は美香の首を思い切り絞め始めた。
美香「グッ!!かはっ…」
シュウ「やめろぉぉぉぉぉ!!!!」
シュウは美香の首が弾け飛ぶ前に、友樹の顔面を思い切り殴った。
ガシャァッ!!!
机を押し倒す形で友樹は倒れる。美香は拘束から解かれたが、あまりの恐怖で失神してしまっていた。
シュウ「こんなことしてどうなるっていうんだよ!!何がしたいんだよお前は!!俺らは大親友じゃなかったのかよ!!」
友樹「だからお前らが邪魔なんだ!!!!もう要らねぇんだよ!!俺が先に進むには、、俺が化け物として生きるにはな!!」
バァン─!!
友樹は机の上部分を弾けさせ木片を飛ばした。
シュウ「グッ!」
破片を腕で庇った瞬間腹に重い衝撃が走る─
ドガッ!!ガシャァ!!
思い切り腹を蹴られ、周りの机を巻き沿いにし、窓際の付近に倒れてしまうシュウ。
シュウ「がはッ!、」
友樹「化け物にはな……化け物の生きる場所があるんだよ、もう終わりにしようシュウ」
友樹は倒れたシュウに近付き顔に触れようとしたがゴッという音と鈍痛でそれは阻まれた。
友樹「うぐっ!!」
シュウは近くに落ちてた広辞苑で咄嗟に殴り付けたのだ。そして、友樹との距離を離そうと倒れた状態で蹴りを放ち、勢いが強く友樹は倒れた。
友樹は状況をすぐさま立ち上がったが、更に一撃腹に重いものが入った。先ほどより重く突き刺すような痛み。
シュウは数十㎝浮き、椅子を持ち、突撃した。友樹の腹に椅子の足を突き立てたのだ。
友樹「ガファッ!!」
そのまま物凄い力でトモは押され、窓際まで押し付けられた。
友樹「ぐぁっ……シュウッ…!」
シュウは別に友樹を仕留めようと思ってやった訳では無かった。ただ、話し合いがしたかったのだ。
シュウ「もう終わりにしようトモ……自首しようよ……」
シュウの顔は涙と血で殆ど前が見えていない。だが友樹の顔は若干だが見えた気がした。
泣いていたような気がする。
友樹「そういう訳には……もういかねぇんだよ!!」
ババァン!!
椅子の足が弾け飛ぶ─
シュウ「何でだよ!!友樹ぃぃぃ!!」
シュウは思いっきり前に押す、残って兇器と化した椅子の足をそのまま突き刺した─
ついつい力が籠ってしまったんだ─
殺すつもりも無かったんだ─
そして─
バァリィィンッ!!
音を立て窓が割れ、二人は窓の外へ出た。上に持ち上げるように押し上げてしまったからだ。
残りの突き刺さった椅子の足を弾き飛ばした友樹だったがもう遅かった。シュウは助けようと、友樹を抱えようとした。
しかし友樹は─
パァァン!!
シュウの僧帽筋部分を軽く弾き飛ばし、拒絶した。
シュウ「うがぁっ、!友樹、友樹ぃぃぃ!!」
落ちるその刹那、友樹は一言言った
友樹「ありがとう、シュウ」
大親友はグシャアという音と共に居なくなった。
シュウはふわふわと降りて辺りの惨状をぼーっと見つめた。
プツン─
シュウの意識は消えた─