第一章 11話 崩壊の音─砕け散った何か
美香「トモ……私と付き合って?」
シュウ「…………ん?」
考えてもいなかった言葉で出した手は引けず、宙に彷徨っていた。
美香「私、トモの事ずっと好きだったんだ!かっこよくて、優しくて、冷静で、何でも出来るトモがずっとずっと好きだったんだ!私、トモが見つかって本当にホッとしたし……それで今日ここに呼ばれて……私ここで絶対コクろうって決めてたんだ!」
友樹「……美香………はは、やっぱそうだよな、お前もか」
美香「え?お前も?って?」
友樹「おい、もう居るんだろ?入ってこいよ」
その言葉にシュウはハッと我にかえり戸を開ける。美香は驚いて振り返った。
美香「シュウ!?何でここに!?」
そこで、すかさず友樹は美香を羽交い締めした
美香「んぐっ!?!?」
シュウ「!?おい!!トモ!何してんだよ!!何の真似だよこれ!!」
美香「ど、どうしたの?トモ?」
友樹「黙れ、もういい……もう疲れたんだ俺は」
そう言って手を片方は首の方へ片方は胸を鷲づかんだ。
美香「ちょちょちょっと!!トモ!!いい加減に…」
友樹「黙れって言ってんだよ!!!!」
シュウと美香はその怒号に驚き口を閉ざした。
友樹「もうこりごりなんだよ……何もかも……大親友?幼馴染?付き合う?好き?家族?信頼?将来への期待?もう要らねぇ!!もう何もかも要らねぇんだよ俺は!!もう戻れねぇんだよ!!昔みたいに!!明るい幸せの未来なんてもうねぇんだ!!」
シュウ「な、、何でそんな事言うんだトモ?お、落ち着けよ何をそんな、」
友樹「殺した」
シュウ・美香「え?」
友樹「殺したんだよ俺は人を……家族を!!!この手で!!ただ少しカッとしただけだったっ!真剣に勉強して真面目に予備校通って!俺は色々我慢してきてんのに!!色々考えてんのによ!!慣れない真面目と真剣を身に付けて!!結果も出てきてるのに……なのに……なのに母さんは……俺を金食い虫だとか努力が足りねぇって……今思えば何であそこまでカッとなっちまったんだろうな……母さんの胸ぐらを掴んで……その後止めに入った弟も……二人とも俺が壊しちまった……」
美香「トモ……」
シュウ「そんなことがあったなんて……」
友樹「俺はなもう化け物なんだよ。家族を殺しちまったからでもある。が、皆には言ってない事があるんだ。シュウ……お前とは違うな」
シュウ「?どういう……」
シュウが言葉を言い終わる前にパァァン!!と大きな破裂音が響いた─
……三人に温かい何かが飛び散る。
シュウと美香はそれが何か最初は分からなかった─
─最初に異変に気づいたのは美香だった。
美香「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
悲痛な叫び声が響く。シュウも何だかそれで分かった。飛び散ったのは美香の右胸だった。