表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/197

第三章 22話 黒色の裏切り


ランファ「獲物補足した、各自配置に着け」


スコット「俺らもすぐに向かう」


 二人は耳裏に付けた通信機に手をやって伝える。


レベッカ「ターゲットの動きはこちらから伝えるわ。各自通信に気を配ってね」


 ランファとスコットがその場から離れようとした時だった。




ウィッセン「あそこにテロリストが居る!!私はあのような者達を呼んだ覚えは無いぞ!!!」



レベッカ「え、?」

スコット「何だ」



 驚く二人。ウィッセンの指した先を見ると更に驚き豆鉄砲を喰らったようなBARKERSの三人が居た。


レベッカ「あいつらが?テロリストぉ?」


 ランファだけは自分達のターゲットである、あるマフィア風の男の方を向いていた。そのマフィア風の男は付き人に何やら耳打ちをしている。


ランファ「急ぐぞ」


スコット「ああ、」


 二人は足早にその場を後にする。


ウィッセン「誰か!!あいつらを捕まえろ!!」



レベッカ「はぁ……何をやってるのよあいつらは……」



 辺りは騒然としてシュウ達を周りが円が出来るよう避ける。


シュウ「な、何で……」


エミリア「え、え!?」


ダン「……くっ、ウィッセン…っ!」


 困惑があったがすぐに通信を続行するシュウ。



ウィッセン「早く引っ捕らえろ!!何か仕出かすぞ!!」


ブラドー「よし、この俺が出、」


 ブラドーが大きな体をのしりと前に出した時だった。



ダン「っ!?」


 人混みの中から一人の男が風のような速さで屈みながらダンの目の前に現れた。


ダン「ま、待、─」


 バンッ─


 ダンはその男に片足を掬われただけで強めに倒された。男はダンの胃付近に膝を置き動けなくさせる。その男の顔はラテン系で顔はキリッとしてイケメンと呼ばれる類いだろう。服装は執事のような服装。長いボウタイが特徴的だった。


ダン「うぐっ」


エミリア「ダン!!!」


 エミリアはダンに駆け寄ろうとするが、その男はエミリアに手の平を向ける。


エミリア「ぐっ!!」


 エミリアは首を押さえて苦しそうにする。


エミリア「こ、これ、は……」


ダン「エ、ミリア、に手をだ、すなぁ!」


シュウ「エミリアさん!!」


 シュウが叫ぶと、急に後頭部を捕まれうつ伏せに潰される。


シュウ「うぐぁ!」


ブラドー「ウィッセン卿の言葉はまだ信用出来んが、取り敢えず捕らわせていただこうか!!」


 そこでアリサからの通信が通る。


アリサ『こちらアリサです。……シュウさま?』


シュウ「アリサさん……ヤバいかも……」


ブラドー「何をボソボソ言っているんだ!!」


 ブラドーはシュウの頭を床に叩きつける。


シュウ「あぐぁっ!」


アリサ『シュウさま!!一体何が─』



 言葉は途中で消えた。シュウの耳の裏に付いている通信機が取れたのだ。


ブラドー「これだな!この俺には筒抜けだぞ!」


シュウ「っ!?」


 シュウは通信機を取られ、ブラドーの言葉が日本語に翻訳されずに外国語に聞こえた。


エミリア「イヤッ!」


「拘束させて貰うよ」



 エミリアの腕を背後から拘束するのは事前に連絡があった、サウジアラビアの衣装の白いカンドゥーラを着たミスマールだった。


ブラドー「ふんっ!イラフアルドの犬どもめ。ここぞとばかりに好感度でも上げに来たのか?」


執事の男「王子の安全の為だ」


ミスマール「ま、お金貰ってるしね」



 ヴァリアント王は玉座に座りながら怒りで両拳が震えていた。



ヴァリアント王「地下牢に幽閉せよ」



ダン「待ってくれ!!」


ブラドー「うるさいやつだ!黙らせろ!」


 執事の男はダンの顔を掴み床に叩きつける。ゴシャっという鈍い音が鳴りダンの視界は真っ白に染まる。


執事の男「これは外させてもらう」


 ダンの通信機も取られ、手首に手錠をかけられる。


エミリア「ダン!」


ミスマール「おっと、お嬢さん。私は出来れば野蛮な真似はしたくないな」


 ミスマールはエミリアの腕をグッと引っ張り制止する。


シュウ「うう……どうしよう……」


ブラドー「この俺の手を煩わすなよ?黙って何もしなければ命だけは助かるかもしれんからなぁ?」


 ブラドーはシュウの腕を後ろに拘束し動けなくする。




ウィッセン「王よ。どうやら今日はテロリストどもの尋問が先の方が良いかもしれませんな。まだ継承式の日はあります故、明日決行でもよろしいかと」



ヴァリアント王「何故(なにゆえ)だ。何故(なにゆえ)テロリストと分かったのだ。何故(なにゆえ)、お前は明日決行を示唆するのだ」


ウィッセン「王よ。私を信用なさらないと?」


ヴァリアント王「この疑心を取り払えなければ信用は出来んな」


ウィッセン「それは簡単だ。王よ。ここのセキュリティスタッフは勿論、ここに訪れる者全てに私の部下を付けているのです。部下の一人のスヴェンが音声の録音も録っております。そして何故、明日の決行を示唆するのか、それも簡単。このような、各国数々の著名人や御高名な方々がいらっしゃるのです。その者たちに植え付けさせるのです!ヴァリネシアに歯向かうとどうなるのかと!」


ヴァリアント王「処するのか、この者たちを」


ウィッセン「いかにも。1日あれば尋問なぞ事足りる」


ヴァリアント王「……まずは確かめてみないと分かるまい。ブラドー!」


ブラドー「何でしょう!!」


ヴァリアント王「お前がこの者達に尋問するのだ。良いな!」


ブラドー「このブラドー。是非とも。さあ立て!行くぞ!」


 シュウとダンは立たされ連れていかれる。


ダン「エミリアは!エミリアをどうするんだ!」


エミリア「ダンっ……ダン!!!」


ミスマール「牢屋で盛られるのも困る。こちらで女用の独房を用意してある、そちらに幽閉させてもらうよ」


ダン「く、何を言っているんだ!」


 ダンは万能通信機を外されアラビア語を話すミスマールの言葉を理解出来ない。


ブラドー「さっさと来い!!」



 こうして三人はヴァリネシア王国の地下牢獄に幽閉されることになった─


--------------------



アリサ「そんな……そんな!!どうしましょう!!」


ひなび「ど、どうしたんですか?」


 アリサは顔色を真っ青にして答える。


アリサ「シュウさま達が!」


 アリサ達が待機しているのは式を行っているところから五キロ程離れた森の中。キャンピングカーのような車の中に滞在している。


走川「なにやら不穏だな、どうした」


剣崎「ヘマしたのかあ?アイツら」


アリサ「シュ、シュウさまから通信があって、凄い鈍い音と共に悲痛な声が、」


ひなび「つ、通信は?」


アリサ「……切れましたわ……何度も折り返しかけても応答が無いのです……」


剣崎「まじかよ」

走川「一大事ではないか!」

ひなび「ど、ど、ど、どうしましょう!」


 アリサは頭を抱え考える。その時、肩をトントンっと誰かに叩かれた。百々メイだ。


百々「私が居る。いや、私達に任せて」


 百々は自分の能力で一人分身を増やす。


走川「そうだな……そうだ!そうだよな!何のための俺なのか!」


 走川は自分の胸をドンと拳で叩き気合いを入れる。


走川「俺とメイ君はいざというときの機動力!今こそがいざというときなのだ!」


剣崎「よっしゃ、じゃあ俺も、」


 走川は剣崎を制止する。


走川「女性だけでは少し心もと無い。剣崎はここに居てくれ」


剣崎「はぁー、ケッ、良いとこ取りかよ!」


 アリサは百々と走川を交互に見てキッと決意の目を向ける。


アリサ「お二人にお任せ致しますわ。この作戦は中断、囚われた三人を救出してBARKERSに帰るのがクリア条件にしますわ」


百々「うん……任せて」


走川「腕が、いや、足がなるぞ!」


 百々の分身と走川は式場に向かって走り出した─


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ