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第三章 13話 思惑の真相


 映像を見終わったメンバー。走川とシュウは正直状況を分かっていないようだった。


走川「ふむ。それで、一体我々は何をしにいくのだ?」


シュウ「正直、俺も分かりませんでした……殺しを依頼されていたのに殺しはしないって言ってそれで構わないって……」


 その質問にアリサが口を挟む。


アリサ「元々、暗殺を依頼しに来たつもりは無かった……っていうことで良いのですわよね?」


龍義「恐らく、暗殺を受ければウィッセンにとって最上だったのだろうな。やつの真の目的は自分が王になることだ。邪魔なイラフアルド家の王子を排除したい、だが、そのイラフアルド家の王子はどうだ?」


走川「本当に居るかも分からんと言っていたな……」


龍義「そうだ。そして奴らは存在の確認に失敗をしている」


走川は分かったと眼を開く。


走川「我々に偵察を願いに来たのか!!」


龍義「だが、それだけでは無い。奴は遠回しに脅しも加えてる」


シュウ「あの状況に脅しを?どこでですか?」


ダン「我々の仕事とはなんだい?シュウ君?」



 見かねたダンはシュウに問い掛ける。



シュウ「仕事……基本的に慈善活動と能力者関係の仕事?」


ダン「そうさ。それでもし、王子が能力者だったらどうしなければいけないかな?」


シュウ「……?友好関係を結ぶか、保護……ですかね?戦闘になったらあれですけど……」


ダン「そして、ウィッセンは排除をしたい訳だよ。どっちを選べば排除が出来るかな?」


シュウ「保護……させる?ウィッセンがBARKERsに?ん?え?どういうことだ?脅し?ん?ん?誰か答えを教えてくださいよー!」


 シュウの頭はパンク寸前。エミリアは笑って大ヒントをくれた。


エミリア「ウィッセンは能力者と確信してるから保護させるってこと。黒のウィッセンは私達の事も知ってるから遠回しに脅しをかけてる。私達のような能力者が表舞台に立ってしまって、色々とメディアに出てしまったらどうかしら?」


シュウ「……っ!能力者だと世界にばらすつもりなのか!俺達は能力者だと分かったら保護するしかないんだ!」


ダン「その通りさ。能力者じゃなかったらそれはそれでマフィアでも殺し屋でも頼んで簡単に殺してしまうだろうね」


エミリア「そうねダン。そして、この依頼をもし断ったら色んな形でリークされるでしょうね。そこを見抜いたリーダーはダンの次に頭がキレるわ」


ひなび「く、黒のウィッセンの名は伊達じゃないですよね……怖いですぅ……」



剣崎「っていうかよ」


 ドンッと足を机に置く剣崎。


剣崎「俺らに何をやらせてぇんだよ。さっぱりわかんねぇよさっきから。この人数でこのメンバーで、つったら殴り込みだろ?ちげぇか?」


百々「違う」


剣崎「……そうか、ちげぇか」



ダン「やれやれ、全く……ケンは喧嘩しか頭に無いからねぇ……僕達がやるのは潜入だよ。王位継承式に潜入して王子の存在を探るのさ」


走川「この人数で潜入って大丈夫なのか?」


龍義「この人数では潜入はしない。この王位継承式は選ばれた貴族や権力者しか入れず、セキュリティも堅い」


百々「じゃあ、どうする?」


龍義「二班に別ける。潜入班と待機班でな。潜入班はリスト家の招待ということで三人入れる事になっている」


ダン「なるほど、僕とエミリアが潜入班だね?」


龍義「そうだ。一番居てもおかしくないからな」


剣崎「後一人は俺だな?」


アリサ「三雄として行動するのが一番安心ですわね」


龍義「いや、芦屋修二。お前だ」


 

シュウ「えっ!?」



 

 そこにいた全員は皆驚いてシュウを見る。シュウは驚きのあまりに非常にテンパる。


シュウ「え、え!俺ですか!?何で俺が潜入班に!?」


龍義「それはお前が一番配役に適しているからだ」


シュウ「そ、そんな、俺がそんな大役……」


剣崎「おいおい!そうだぜ!そんなでけぇ役こいつにはまだ早いぜ!何で俺じゃねぇんだ!」

走川「そうだそうだ!シュウには早すぎる!俺も出れるぞ!」


 脳筋の男二人は龍義の采配にいちゃもんを付ける。


龍義「駄目だ。そこの場にお前達が居ると浮くからな」


剣崎「はぁ!?」

走川「ぐはぁ!」


百々「私は?」


龍義「お前はいざというときに救出として出てもらいたい」


百々「分かった」


 百々は満足気な顔をして頷く。


アリサ「心配ですわ……」


 アリサはシュウを心配する。


龍義「待機班は剣崎、百々、走川、アリサ、ひなびだ。百々と走川と剣崎は継承式会場付近にて待機。何か異常が発生した時に出てきてくれ。アリサとひなびも待機班の近くで通信によるサポートだ。潜入班をバックアップしてくれ」


シュウ「待って下さい!」


龍義「……どうした」


 自分でもその大役の納得がいかないシュウ。龍義は話を途中で止める。


シュウ「なんで、なんで俺なんでしょうか」


龍義「気になるか?」


シュウ「はい、教えて下さい」


 周りは静まる。龍義がシュウを潜入班に入れた理由を皆気になるのだ。



龍義「それは、」


シュウ「」ゴクッ




龍義「お前に任せたいからだ」


シュウ「……り、理由は無いんですか?」


龍義「あるぞ」


シュウ「じゃあその理由を、」

龍義「お前ならやれると思っているからだ。それだけじゃ不服か?」


シュウ「俺なら……やれる……」



 シュウは巌鉄に言われた足手まといという言葉がフラッシュバックした。お前ならやれる。その期待の言葉はシュウの心の火を燃やした。



シュウ「やります。俺、頑張ります!」


龍義「よく言った」



 シュウのやる気満々の言葉に他のメンバーはシュウを応援する。



アリサ「フフフ♪しっかりサポートしますわ?シュウさま!」


剣崎「はぁー、しゃーねぇ!何か危険を感じたら言えよな!」


走川「走って助けに行くからな!心配いらんぞ!」


百々「私も。助ける」


ひなび「シュウ君、ファイトです」


ダン「ま、僕とエミリアが近くに居るんだ、なーんにも心配いらないよ?」


エミリア「私とダンに任せてくれれば大丈夫よ!大船に乗ったつもりでね?」


シュウ「ありがとうございますみなさん!!足引っ張らないようにしなくちゃ!」


龍義「よし、それでは細かいブリーフィングを始めるぞ」



 こうしてあの、酷く悲惨な最後が待つ


 

 [王位継承式潜入作戦]



 は開始されるのである─





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