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1031章 111話 ハッピーハロウィンinBARKERs!


 今宵はハロウィン─


 人々はお化けなどの仮装をして楽しむ大イベントだ。その大イベント……子ども達にとっては大人達よりももっと楽しみで素敵なイベント。


 何故なら……



RINA「え!!ハロウィンってお菓子沢山食べれるの!?」


 

 そう。お菓子を沢山貰えて食べられる日だからだ。


 ここは随分と昔のBARKERs。ここで顔をキラキラさせているのは10歳の未来の歌姫。ジャジャ馬と呼ばれ、天真爛漫とも呼ばれた彼女はハロウィンを理解して居なかった。


アリサ「そうですわ!仮装をしてとりっくおあとりーとって言うんですのよ?そうするとお菓子が貰えますの!」



 食堂でハロウィンの説明をしているのはこの頃13歳のアリサ。


RINA「お菓子ほしい!って意味なの?」


レベッカ「違うわ。お菓子くれないといたずらするぞーって意味。」


 まだこの頃のレベッカはBARKERsの一員であった。歳は14。優しく教える口調だった。



RINA「いたずら!いたずらも好き!!」


アリサ「今日は仮装をして、沢山お菓子を貰って沢山いたずらをしても許される日ですの!」


RINA「そうなの!?いたずらしても許される…今日だけ?」


アリサ「はい!今日だけですわ!」


RINA「じゃあ勿体ない!1日が終わっちゃう!早く行かなきゃ!」



 そうしてRINAは走ってどこかへ行ってしまう。


レベッカ「あーあ、変なこと教えちゃって…どうなっても知らないんだからね?」


アリサ「ついつい楽しそうだったので…」


 アリサはテヘッとしぐさをして答えた。


-------



 一匹のジャジャ馬はある扉の前へ来た。その扉をドンドンっと強く叩き、


RINA「たのもー!!」


 と江戸時代の道場破り並みに声を上げて仁王立ちして待つ。


 ガチャリと扉は開き、その部屋の主は現れた。


フランク「おやおや、可愛らしい吸血鬼ですな。」


 RINAは即座に自分の部屋に戻り、おもちゃの牙を付け、黒い小さなテーブルクロスを後ろ首に着けて吸血鬼のように仮装をした。


RINA「えっと、えっと、」


フランク(おや?これからの展開は恐らく…)



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



RINA「と、とりっくおあとりーと!」


フランク「はっはっは、困りましたねぇ。お菓子が今手元にはないのですよ。」


RINA「じゃあ、いたずらする!」


フランク「はっはっは、困りましたねぇ。」


RINA「ポカポカポカ!」お腹を叩くRINA


フランク「はっはっは、困りましたねぇ!」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~


フランク(こうなるに違いない。うむ。尊い。)


RINA「えっと…えっと!!」


フランク「うむうむ、なんだい?」


RINA「とぅ、どぅっ!」


フランク「ん?」


RINA「ドゥーオアダイ(生きるか死ぬか)!!」


フランク「え、」

    (ドゥッッッッッッ!?)


RINA「あれ?お菓子は?無いのフランク?」


フランク「あ、こ、この言葉は誰から教わったんです?」


RINA「アリサから教えて貰った!」


フランク「え、」

    (そんな馬鹿なッッッッッッ!!)



 フランクはあまりの言葉に固まってしまって思考が追い付かなかった。



RINA「ねぇーお菓子はー?いたずらするよー?」


フランク(こ、殺される!?)



 「おいおい、馬鹿かお前。トリックオアトリートだろ?前見た映画のワンシーン言ってどうするんだよ。」


RINA「あ!焔姉!ヤッホー!あれ、私間違えた?」



 訂正に現れたのは15歳の焔と後ろには11歳の奏。


RINA「あ!奏君も居る!ヤッホー!奏君!」


奏「ど、どうも…」


焔「ほら、驚きすぎてフランク固まってんじゃん。違うやつあたった方が良いぜこれ。」


フランク「」


RINA「そうだね!時間が勿体ない!じゃあね!フランク!焔姉!奏君!」


焔「トリックオアトリートだぞ?間違えんなよー」


奏「さ、さようなら、」


フランク「」



 ジャジャ馬は走り出す。次の所はもう決めてある。確実にお菓子を貰える人のもとへ行くために。


-----------



 次はノックをせずにバタンと扉を開けて入る。その部屋は古くさい部屋で畳の臭いがする。その臭いがRINAは好きだった。


RINA「たのもーう!!!」


 「うるせぇ!!!!!」


 RINAを越える大きな声で返ってくる。ドシドシと足音をたてて来る人物はRINAが大好きなあの人だった。


RINA「おじいちゃん!トリックオアトリートだよ!!」


 おじいちゃんと呼ばれるこの人物はあのBf隊長の巌鉄だ。この時53歳になる。巌鉄は不機嫌っぽくRINAに言う。


巌鉄「なんだそれは!!!ワシは仏教じゃ!!!そんな言葉知らんわ!!!」


 それでもめげずに言い返すRINA。


RINA「お菓子!!お菓子欲しいの!!」


巌鉄「お前にやる菓子などないわ!!!」


RINA「嘘つき!!あるくせに!!」



 「まあまあ、巌鉄さんよぅ、さっきまでまだかまだか言っていたじゃあねぇか。」



 奥から現れたのはBfで巌鉄と共に働く、堀務(ホリツトム)という人物だ。この人も巌鉄と同じくらいのおじいさんだが、巌鉄と違って優しい人物だ。


巌鉄「堀!!!言わねぇ約束じゃねぇか!!!」


RINA「ほらほら!絶対準備しているかと思った!」


堀「巌鉄さんがやらねぇならおいらが渡しちまうぜぇ?」


巌鉄「ぐぬぬぬ、待ってろガキ!!!」



 巌鉄は部屋に戻る。


堀「去年も一昨年も菓子買って待ってたんだぜぇ?巌鉄さんはよぅ」


RINA「そうなの!?今年からハロウィン知ったから何か悔しいなぁ、そのぶんくれないかなぁ」


巌鉄「ほらよガキ!!!持ってけ!!!」


 巌鉄は50cmくらいある一斗缶を担いできた。


RINA「え!これなにおじいちゃん!」



 巌鉄はバンッと置いて蓋を開けると中には何と数々のお菓子が詰まっていた。


RINA「わあ!宝箱だった!!」


巌鉄「これで充分だろ!!!さっさと行っちまいな!!!」


RINA「わあい!ありがとう!ハッピーハロウィンおじいちゃん!」


巌鉄「ふん!!!」



 RINAはそれを抱き抱え、ヨタヨタとふらつきながら次へ向かう。


堀「優しいねぇ、おじいちゃんよぅ。」


 巌鉄は向かうRINAの後ろ姿を優しい眼差しで見送った。


-----------


 大きいBARKERs本部の中をヨタヨタと向かったのは絶対行くと決めていたあの場所だった。


RINA「ふぃーやっと着いたぁ」


 今度はビックリさせないようにトントンとノックをする。


 「はーい。入りなー」



 若い女の声が聞こえるとRINAは


RINA「妖姉ー開けてー」


妖華「はいはい。ちょっと待ってなー」



 ガチャ



 白衣を着た溶定妖華が扉を開けた。この時の溶定妖華は21歳、プロポーションは変わらずという感じだ。


RINA「えっと、えっと、とりっくおあとりーと!」


 大きな一斗缶を抱え見上げるRINAにフフフと笑い掛ける妖華。


妖華「フフフ、なんて可愛らしいヴァンパイアだろうね、ちょっと待ちな。」


 ごそごそと白衣のポケットを漁り、飴玉を一つ出す。


妖華「リンゴの飴は好き?」


RINA「好きー!入れてー!」



 妖華は一斗缶に飴を入れてあげるが、少し膨れるRINA。


RINA「うー、お菓子もいいけどいたずらもしたい!」


妖華「ハハハ、残念だったね。あ、チノの婆さんなら奥に居るよ。会ってきな。」


RINA「うん!会う!!」


 RINAは一斗缶を抱えるも足取り軽く奥へ。そこにはもう一人、RINAの大好きな人が待っていた。


RINA「おばあちゃん!」


チノ「おやおや、よく来たね。そんな重いものを持って。」


RINA「えっと、えっと…」

  (いたずらしたいから…えっと…)



RINA「とりっくおあとりっく!」


 チノは最初は少し驚いた顔をするがすぐに優しい笑顔になる。


チノ「ふふふ、そうかいそうかい、いたずらしたいんだねぇ。」


RINA「うん!したい!」


チノ「ふふふ、良いよ。」


RINA「やったー!!いたずらー!!」


 RINAは一斗缶を下に落としてチノに抱きつきにいく。


RINA「へへへへーいたずらー」


チノ「おやおや、可愛い、いたずらだこと。」


 RINAは疲れたのかチノに抱きついたまま少し経ったら寝てしまった。その頭を撫でてあげるチノ。すると、気のせいか、知った声が聞こえた気がした。



 『ダッハッハ!こりゃとんだジャジャ馬娘だな!いい娘を持ったじゃあねぇかチノ!』



 チノはハッとして周りをキョロキョロ見たが、やはり誰も居ない。そして、フッと笑い、


チノ「馬鹿だねぇ……今日はお盆じゃないってのに……」



 そしてチノは優しくRINAを撫でながら窓から空を眺めた。



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