第一章 8話 狂い始める歯車
シュウ「トモ!!!!!!」
歓喜と安心、それと少し怒りの感情が混じった声が公園で響いた。
友樹「なんだよ、シュウ。ってかうるせぇよ真夜中だぞ」
いつものように気だるく問題事は受け流すような言い方。紛れもなく大親友だ。でも
シュウ「お前!!どんだけ探して、、どんだけ心配したと思ってんだよ!!」
喜びや安心より怒りが増してきた。
ガシッ
胸ぐらをつかむ。そして1発殴ってやろうと腕を振りかざしたが友樹のちょっとした異変に気付き我にかえる。
シュウ「お前…そんなにやつれてたか?……ってかなんか言い返せよ」
友樹「ああ、最近忙しくて寝れてねぇんだ。疲れて言い返す気力もねぇよ。でも……俺をそんなボロボロになるまで探してくれてたのか?……お前も、人の事言えないくらいにやつれてるぜ?」
シュウ「え?そうか?そんなになってるか?俺……いや、でもそれくらい悩んだし不安だった。本当に心配だった。だ、だってよ……大親友だから……」
……シュウは涙が止まらなかった─
本当は怒りたいし問い詰めたい─
だが、今冷たい物が溶けて、暖かくなってきた気持ちで頭が真っ白になった。
友樹「シュウ……」
友樹の目からも涙がポロポロと溢れてきた。
友樹「俺は……俺はこんなにも思ってくれる親友が居るんだな……」
シュウ「もう居なくならないでくれよトモ……俺ら三人、最高な仲間じゃないか、悩み事あるんだろ?昔トモの母ちゃんが離婚した時、ここで二人で話し合ったじゃんか。あのときは本当にキツかった。だから今もここに居るんだろ?聞かせてくれよトモ」
友樹「俺らは最高な仲間……そうだよな、俺らは最高な幼馴染だ。家族も……大事だ……俺は、俺は……っ!」
シュウ「どうしたんだトモ?」
友樹「ありがとうシュウ。もういい。大丈夫だ。今日は家に帰ろう。俺はもう帰る。近々しっかり話す。でも今日は一旦帰らせてくれ……」
シュウ「トモ……」
すっと友樹は立ちあがりポケットに手を入れふらふらと歩き始めた。
友樹「じゃあな、シュウ」
今思えば振り返ったトモの顔は悲しみと苦しみに満ちていて…あそこで止めておけば良かったかもしれない。
友樹「あーあ……もう疲れた、疲れたよ」