そばにいたい 3
「木村 ……。」
「ん?」
枕元に胡坐をかいておれが返事する。
「お前、帰るんならちゃんと言えよ。」
「…… なんだ、怒ってたの?」
横になったままこちらを向かない理由はソコかと気付いて少し嬉しくなる。
「報せても、朝方の4時じゃ寝てると思ってさ。」
ヘンな時間に連絡して起こしたら、それこそ寝られないだろう? …… それでも4時に帰ったのは、かなり頑張った方なんだけど。
「…… 起きてたし。」
「え?」
だって、3時に寝たってさっき言っていた。
宵っ張りの晃を起こさないように、この家の少し先から愛車のバイクのエンジンを切って押して来たのに。
「―― 寝らんないから、3時に頓服飲んで …… でも、ロクに効かないし。そうこうするうちに、お前が帰って来た音がするし。なのに、こっちに顔出さないから余計に寝らんなかったんだよ。」
これでやっと、ゆっくり眠れると思ったのに …… 子どものようにそんなことを呟くから、さっきまでスネていたおれの気持ちなんかどうでもよくなってくる。
「何!?」
晃の横に滑り込んだら、過剰に驚くのがまた可愛い。
「おれも眠くなっちった。」
ニコーと笑って、背中を抱き寄せる。
「晃。」
「……。」
「ごめん。おれ、寝不足だとアタマ働かないから、お前の言いたいこと分かんなかったみたいだ。」
だから、簡単に言って? …… ってお願いしたら、「恥ずかしいから、ヤダ。」 って、みるみる耳が真っ赤になる。でも、やがてこう言ってくれた。
「―― 俺、どんな薬よりも木村といた方が寝られるんだよね。」
だから、一緒に寝たかった …… その言葉がものすごく嬉しくて、ぎゅっと抱き締める。
腕の中にすっぽりと収まる晃の体が気持ちいい。
「…… なんか、安心する。」
照れ臭そうに呟く晃がいい。
「ただいま。」
まだ言ってなかった言葉を今更言ってみる。
「お帰り ……。」
くすぐったそうな晃の応え。
緊張していた体の力が抜けて、やがて寝息が聞こえる。
眠剤飲んで眠れなくて、頓服飲んでも難しい …… それでも、妹の為に朝食は一緒に食卓を囲む。そんな晃が、おれと一緒だとこんなに無防備に眠ってくれる。そのことが無性に嬉しい。
やっぱり、ここに帰ってきて良かった。
ずっとこのまま一緒に生きていこう …… 腕の中の晃を起こさないように、そっともう一度抱き締める。
2010.06.14 14:19:38 作成
2010.06.14 20:46:47 加筆修正
2010.06.16 08:25:22 加筆
晃と木村 23歳。
『それでも手を取り笑います』
http://akaesakira.blog123.fc2.com/blog-entry-798.html
で、和紗とした自主練が本番に生かされたのかどうかは …… まだ謎ww