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平穏な日々  作者: akaesaki
4/6

そばにいたい 1

光が眩しくて、布団を被った。


「おーきーろー!!」


声と共に何かでっかいものがダイブしてきて、息が止まりそうになる。


「起きた?」

ヘヘヘと悪戯っぽく覗きこむ顔。


「勘弁してくれよ。お前、いくつだと思ってんだ。」


「だって、確実だろ? それに、朝ご飯は一緒に食べなきゃダメなんだよ?」


ニッと笑った繭結が、セーラー服の裾を翻して居間の方へ駆けていく。



…… それにしたって、いい加減自分が女子だって自覚しないとヤバいんじゃないか?


掛け布団越しでも分かってしまった胸の脹らみに、絶対アイツは妹の育て方を間違っている …… って思う。


元々、女子なんだか男子なんだか …… むしろ、男子だろ? くらいの勢いだったから、その成長を目の当たりにして、久し振りに会った嬉しさよりも戸惑いの方が大きい。




「あの起こし方、何とかならないのか?」


新聞を取って来たらしい晃に玄関で会ったから、早速ぼやく。


「こっちは、帰ってきたの4時だぜ? それから、なんだかんだやって …… 睡眠時間2時間あったかどうかって、可哀相だろ、おれ。」


「あ、なら俺も似たようなもん。寝たの3時過ぎだったから。」


今回も、撮影でひと月振りに帰って来たって言うのに、晃は相変わらずだ。



「だけど、朝飯くらい一緒に食ってやらないとな?」


なんでもないことのように言うが、一人で暮らしていた頃は食事もロクに摂らなかった奴だから、妹の為に早起きして一緒に食卓を囲むこと自体、相当な努力だと思う。

たとえそれが寝たのが3時でも5時でも、ちゃんとそこだけは押さえているのだから立派なものだ。




「2人とも遅~~い! 早くしないと遅刻だよ。」


目玉焼きとトーストの簡単な食卓を整えた繭結が口を尖らせる。


―― いや、遅刻になるのはお前だけだから …… こっそりと、心の中で呟いて晃と顔を見合わせる。










晃23歳。木村と。 

『それでも手をとり笑います 1~』の後。

http://akaesakira.blog123.fc2.com/blog-entry-798.html



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