表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
平穏な日々  作者: akaesaki
2/6

伝えたい気持ち


「俺って、不幸なの?」

夕飯を作っていると、ダイニングテーブルに寄りかかっていた晃がいきなり言い出す。



「な、なんでそんなこと言い出すんだよ。」

内心、ドギマギ …… でも、なんでもない振りをして切り返す。

これまでの経緯を知っている奴なら、晃のことをそう思っても仕方ない …… とは思うが、認めちゃいけない。



「う~ん、客観的に見たら?」

もう一度おれを見る。

「客観的って …… そんなん、自分がどう捕らえるかって問題だろ? 他人の評価なんか無意味だ。」


「ふぅん。でも、木村ならそう言うと思った。」

満足そうに笑う。



「何? 試したの?」


「ん、って言うか、人の幸不幸って誰が決めるんかなって ……。」



「やっぱ、なんかあったな?」


「大したことじゃないけど …… 俺って、不幸らしいよ?」

昼間、取材を受けに出掛けた先で、何か言われたのかもしれない。


「言った奴って誰?」

これまでの晃を知らない奴に限って、そういう無神経なことを口にする。

今の生活になるまで、どれだけの道のりがあったか知ったら、そんなこと言える筈がない。


「って、なんで腕まくりするかな。」

さほど気にしていない風に茶々を入れるから、ダメージを受けたのではないと思う。

でも、せっかく仕事を再開したことを祝う取材で、そういうことに触れる記者の神経を疑う。



「怒ってんの?」


「いや、『おれが幸せにしてやる』って、宣言してくる。」

ニコーと笑う。



「止めろよ。恥ずかしいじゃん。」


「だって、そうだろ?」



「大体、どうしたらそんなことできるの?」

挑むように聞くから、おれも少しムキになる。

「こうやって ……。」

ガスを止めて向き合うと、正面からぎゅ~っと抱きしめる。


「…… ……!!」

慌てた風に、腕の中でジタバタするのが可愛い。


「晃、好きだ。離さない。ずっと、傍にいて。」 





「…… 幸せになった?」

晃の細い肩が、おれの腕にすっぽり填まるのが気持ちよくて、離したくなくて、このまま時が止まればいいと思う。

「…… ……。」



「やべ、おれの方が幸せな感じ。どうしよ?」

晃が何も言わないから、つい ……。




「ばか …… 苦しいよ。」

照れ臭そうに呟くから、それがまた堪らなくて、もう一度ぎゅっとした。





2009.12.26  00:33:58  作成





晃と木村  23歳  冬。 

どうやら、同居しているらしいです。 

『キミと一緒に 1~(明日のことを話そうの後)』の後。http://akaesakira.blog123.fc2.com/blog-entry-670.html





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ