第二話 【ラジア帝国】到着 ※
改稿済み
「はあ、はあ・・・・・・暑い、暑すぎる・・・・・・」
「ここは、熱帯雨林。暑いのは当然だ。それに暑い暑い言うな。ただでさえ暑いのに、余計暑くなる」
「別に、ここを通らなくても帝国に着くだろ? 別の道を行こう。もうここ嫌だ・・・・・・」
「ここを通らないと帝国に着くのが二日ほど遅れる。もう闘技大会は明日なんだぞ? 今日中に登録手続きを完了させないと、出れなくなるぞ。お前も闘技大会が目当てなんだろう? なら急ぐぞ」
「はあ、判った。先を急ごう」
「その調子だ。それに、なるべく早くここを抜けた方がいい。ここはいつ豪雨になるか判らない。早め早めに行動した方がいい」
「了解・・・・・・」
リヴルムとの戦いから三週間、今、隼人とシュラがいるのは帝国西門近くの熱帯雨林だ。王国から帝国へ行くには此処を通る方が早くつくため、冒険者などはここを通る。だが、帝国近くは只でさえ特殊な気候のせいで暑いのに、熱帯雨林を通るのははっきり言って自殺行為だ。でも、王国から帝国へ最短距離で行くにはここを通るしかない。迂回すれば必ず、二日ほどのロスが請じる。だが、暑さに慣れていないと熱中症で倒れるため、基本熱帯雨林は避けて通るものだ。だがシュラの意向で此処を通ることになった。
「にしても、広くないか?」
「まあな。だが、異常気象でここよりも広い場所など、他にもたくさんあるぞ。もこの先も旅を続けるのなら、こんなことで音を上げていられないぞ」
「はいはい、判りましたよ・・・・・・」
隼人はシュラの言葉に対して適当に切り返し、先を急ぐシュラについていく。そんな時、シュラが言葉を発する。
「・・・・・・っ! ハヤト、出口が見えてきたぞ」
「本当か、シュラ!」
「はあ。ハヤト、今の帝国は〝サンメル〟の時期。ここを出ても対して涼しくならないぞ」
「熱帯雨林から解放された、って言う環境が大事なんだぞ、シュラ」
「意味が判らん・・・・・・」
暑さで若干頭がイカれかけた隼人が、シュラを追い越し出口に向かう。それを見たシュラはため息を溢しつつも、隼人についていく。そして、高地になっていた熱帯雨林の出口からは、円上の城壁に囲まれている巨大な街が目に入った。
「何て言うか、その、圧巻、だな・・・・・・」
「【ラジア帝国】、帝国なんて言われているが商人の集まりで出来ているからな。今の時期はとても暑いが、基本、ここでなんでも手に入る。便利な街だ」
「そう、なのか・・・・・・」
「商人の集まりだからと言っても、帝国を率いる存在が居るんだ。悪事は働くなよ」
「判ってる。そんなことより、エントリーをしないといけないんだろ? 急ごう」
「元に戻ったか・・・・・・」
「? まあいいや、急ごうぜ」
「判っている。ついてこい」
シュラはそう言い、隼人を先導する。エントリー会場に向かう最中、そこら中に白い旗が掲げられていた。なんなのかは気になるが、今は先を急ぐ。
「そう言えば、大会に関して俺なんにも判らないな」
「さりげなく〝説明しろ〟と強要されているような気がするのは、俺だけか?」
「あ、いや、そんなつもりは無いけども・・・・・・教えてください!」
「はあ、まあ、そんな面倒でもないしな」
シュラ曰く、闘技場は年に一回豪華商品を賭けた大会を開く。豪華商品目当てで大会に参加する者、腕試しで大会に参加する者、と大会に参加する者は様々な理由を持っている。
豪華商品は三位まで用意されており、一位は超激レアアイテム数個、二位は大金、三位は超激レアアイテムとなっている。
基本四回戦までしか行わず、一回戦は出場者全員によるバトルロイヤルで八人までふるいにかける。二回戦は、残った八人によるトーナメント。三回戦はさらに残った四人でのトーナメント。四回戦は最後まで残った二人による戦いで決まる。
大会は四日間、一日に一試合というスケジュールで組まれている。その間、選手は与えられた部屋で日を過ごすことを義務ずけられている。基本、大会で敗退すると宿から追い出されるので気を抜けない。
因みに、参加料が無いのにも関わらず闘技場が繁盛しているのは、観客から観戦料を取っているからだ。参加者は観戦料を取られないが、観客は一万シリン払わないと観戦できない。
「この闘技場はざっと見十万人以上入るから、十億シリンは下らないだろう」
「マジか・・・・・・すごい儲かってるんだな」
「ああ、だからこそ続けられているんだ。それよりも、さっさと手続きを済ませるぞ」
「判ってるって」
そう言い、エントリー会場もとい闘技場の受け付けに行く。
「大会の出場登録をしたいんですが」
「出場登録ですね。ギルドカードを提示してください」
受付の女性にそう言われ、ギルドカードを提示する。ギルドカードとは、ギルドで発注されるカードのことで、お金を収納できる。さらに簡易的なステータスも掲載される。ちなみに今の二人のステータスはこうなっている。シュラのステータスは、隼人が〝真眼〟で覗いたものだ。
ハヤト・カンザキ 性別 男(16) レベル25
HP2300
MP2000
ATK2200(3000)
DEF2300(2500)
SPD2300(2400)
MIA1900(2100)
MID2300(2500)
DEX2200(2300)
能力
不明 魔力操作 真眼 精霊の加護 異世界人補正
シュラ・マクスウェル 性別 男(20) レベル35
HP3070
MP2590
ATK2890(3290)
DEF2800(3000)
SPD2790(2990)
MIA2190(2590)
MID2670(2870)
DEX2480
能力
熱魔法 《氷凍魔法》《炎熱魔法》《氷炎同時解放》《多重使用解放》 心眼 魔力操作 気力操作
魔法属性 特殊
「はい、出場登録完了です。では、右手にお進みください。これが部屋の鍵です。もし紛失したりした場合は、我々にお申し付け下さい。では、ご健闘をお祈りします」
受付の女性に鍵を渡され、宿泊施設に向かう。因みに、隼人のステータスが上がっているのは、熱帯雨林で何度か戦闘を繰り返したからだ。また、アメと契約したためか、精霊の加護がついている。そのため、ステータスも上昇している。
「ここで、一旦お別れだ。決勝戦まで負けるなよ、ハヤト」
「ああ、判ってる。そっちこそ、決勝戦まで負けないでくれよ」
「当然だ。それじゃあな」
右手を進んで行った先の別れ道で、隼人とシュラは別れる。そして、隼人は部屋に入り、進んで行った先のベッドにダイブする。
「はあぁぁぁ~、疲れたー」
『情けないな、マスター。もうちょっと、気概を見せてもらいたいな』
「そんなこと言ったってな、疲れたものは疲れたんだ。少しは休ませてくれ・・・・・・」
『はあ、まあいい。明日からは四日連続で戦うんだろう? なら、今日は休め。とにかく休め』
「アメ、お前何様だよ・・・・・・?」
『わたし様、だ!』
「うざい!」
アメと他愛の無い? 会話をしながら、明日のことを考える。
「明日は、何時頃に試合が終わるんだろ? ・・・・・・時間が余ったら、市場でも行ってみるか。もう一つ剣も欲しいし、暇になったら市場に行くか」
『なんだとマスター! 私という物がありながら、他の剣に目移りするとは何事だ! そこになおれ!』
「よし、明日のために今日はもう眠ろう」
『マスター! まだ話は終わってないぞ! おい、マスター! マスター! マスタァァァァ!』
そんな声が、隼人の頭の中に響いていた。そして朝が来たがアメのせいで、寝不足に陥っていた。