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無能と呼ばれ剣聖になった男  作者: 悠渡
第一章 大商帝国と神秘の森
7/22

第一話 帝国への道のり シュラ・マクスウェルとの出会い ※

新章開幕です

そして冒頭に出てきた一人が登場します


改稿済み

「はぁ、人多いな・・・・・・」

『当然だろう? ここは一応、王都と呼ばれる場所なんだ。逆に、閑散としたこの街を想像してみろ。気味が悪い』

「いや、まあ。そう言われればそうだけどさ。・・・・・・まあいいや、もうすぐ出てくんだし。それよりアメ、ここで間違い無いのか?」

『ああ。ちゃんと、看板に〝ギルドアレキウス王国本部〟って書いてあるだろ?』

「うん、まあ・・・・・・そうだけどさ。これ書いた人は、随分と個性的なんだな・・・・・・」

『?』



 〝ギルドアレキウス王国本部〟と書かれた看板。これを書いた人は、きっと感性豊かな人だったのだろう。うん、そう思いたい・・・・・・そうでなければ、ただの狂った人だ。



 そう言えば、今さらだが字を読むには何の問題も無い。〝異世界人補正〟という奴の恩恵だろうか。



 まあ、それはさておいて。



 ギルドの中に入る。カウンターに掲示板、待ち合い場所に酒場と、色々な設備が設けられている。まあ、関係無いから近寄らないが。そう割り切って、カウンターに近づく。気にならないと言えば嘘になるが、今は一刻も早く王都から出たい。



「あの、魔石を換金したいんですけど・・・・・・」

「魔石の換金ですね。それでは、ギルドカードを提示してください」

「・・・・・・持ってないんですけど」

「では、新たに作ります。このカードに針で血を付けてください」



 そう言われたので、針を自分の指刺し、その血をカードに付ける。



「これで良いんですか?」

「はい。それでは、換金させていただきます。ニズヘッグはAランクの魔獣なので、そのニズヘッグの魔石は、十万シリンです」



 大分お金に余裕が出来た。当分は、生活費に困らないだろう。



「有り難う。あ、どうせなら」

「どうしました?」

「えっと、・・・・・・【ラジア帝国】に行きたいんだけど、行き方が判らなくて?」

『判らなかったのか!?』

「ちょっと黙ってろ、アメ」



 突っ込んできたアメを黙らせる。逐一返答していたら面倒だし。



「【ラジア帝国】ですか。ここからだと、一ヶ月近く掛かりますよ?」

「いやまあ、時間は十二分にあるから、そこはいいんだけど。東にあること以外はあまり詳しくなくて・・・・・・」

「そうでしたか。【ラジア帝国】へは、馬車などの通り道を道沿いに行けば辿り着けますよ。途中、熱帯雨林があるので、無闇に通らない方が賢明です。あと、地図です。要らなかったら、どうぞ捨ててください」

「有り難うございます。とても助かりました。それじゃあ」

「お気をつけて」



 ぺこり、とお辞儀をしている姿を目の端に捉え、ちょうど見えなくなった直後に、ギルドを出る。



 この国には東西南北四つの門があり、それぞれに屯所と見張りが用意されている。出入り口は、その四つしか無いため、入国するにせよ出国するにせよ、必ず通らなければいけない。他は城壁に囲まれているため、容易に出入り出来ない。普通に出れば、およそバレない。ただ、もし顔見知りが居たりしたら、最悪だ。知り合いが居た時点で、城壁をよじ登る。



 因みに、短期間しか居なかった城で受けた講義によると、人間界には五つの国があるらしい。此処、人間界中心の国【アレキウス王国】。東の、通称〝大商帝国〟と言われる商業中心の国、【ラジア帝国】。北の通称〝霧の国〟、【ロンディニア公国】。南の通称〝騎士国家〟と、西の通称〝宗教国家〟。〝大商帝国〟と〝霧の国〟は何となく印象が強かったけど、南と西は覚えてない。



 そんなことを思いつつ、東門へ向かう。やはり見張りの兵が居た。この国は、入国出国に手続きを必要としない。余程怪しくなければ、見張りの兵に呼び止められることもない。屯所も兼ねてる門を潜ろうと近づいた瞬間、見てはいけないものを見た。いや、この段階で気づけたのは相当ラッキーだと思う。



(あいつら、何であんなところに居るんだよ!?)



 そう、見たものとはクラスメイトたちだったのだ。相馬を中心に、柊、御門、篠崎、来栖、安藤の六人だ。いや、後ろにもう一人、



(愛莉まで・・・・・・)



 愛莉含めて計七人。ここでバレる訳にはいかない。そう思い、プランCへ移行する。



(プランC、顔を見られず強行突破!)



 隼人は、ローブに付いているフードを目が見えなくなるまで深く被る。フードを被っていたらおよそ兵に呼び止められるだろう。だからこそ、呼び止められないよう強行突破だ。



「アメ、俺の髪の色を変えられるか?」



 小さく、呟き程度の声量で問う。それに対しアメは、普通の声で答える――――――



『はっ、当然だ。容姿を変えることぐらい・・・・・・』



 ――――――何の雑作も無い、と。それを聞いて隼人は、歩くスピードを上げる。小走り、全力疾走、と。流石に、全力疾走で近づいて来た相手を、兵や相馬たちも見逃さない。呼び止めようとするが、隼人は耳を貸さない。止まれば捕まる。なら、体力を振り絞って、さらに歩みを速める。そして隼人は、兵や相馬たちの間を縫うように通りすぎる。



「な、何だ!?」



 相馬が驚き、それに呼応するように他の者たちも、戦闘体勢に移行する。だが、時既に遅し。隼人は門を潜り抜け、止まる。そして、フードの下から今ごろ戦闘体勢を整えた、相馬たちを一瞥する。不敵な笑みと共に。



「何なんだお前! 俺たちに喧嘩を売ってるのかっ!!」

「待つんだコウ。あのローブ、まさかとは思うが・・・・・・」

「兄さん・・・・・・ですか?」



 愛莉の問いに、隼人はこう言い残して走り去る。〝お前とは、何の関係も無い〟と。それに対して愛莉は、また質問をする。



「なら、貴方は誰なんですか!? そのローブを何処で手に入れたんですか!?」



 隼人は無言でその場を離れた。





~~~~~~~~~~






「はあ、はあ、はあ・・・・・・ふ~疲れた。というか、やっちゃったなぁ・・・・・」

『よかったのか? あの少女と話していたときのお前からは、とても後悔の念を読んで取れたぞ?』

「・・・・・・俺が、アメと出会う原因になった落下事故。前日、とある会話を聞いたんだ」

『とある会話?』

「そう、偶々聞こえたんだけどな。運命のイタズラって言うか。・・・・・・俺を殺せという依頼。それを、快諾した奴が居たんだ。その人物を見た訳じゃないけど、声で何となく判る。その人は――――――って、言う必要は無いか」



 隼人は、聞き手がアメしか居ない状況下では在るが、アメと出会う前の前日譚を話す。



『なるほど。お前はその正体不明の女から依頼されたせいで、死にかけたのか・・・・・・』

「・・・・・・ああ、依頼された人と実行犯は別だ。それを聞いたときは、「まさかっ」って思ったよ。あの人は、そんなことをする人じゃない。・・・・・・そう思ってたんだけどなぁ」

『猫をかぶってた、ということだろ』

「そうかもな。・・・・・・まぁ、ともかく。これで俺は、いよいよこの王国に居られなくなった訳だ」

『そうだな。・・・・・・でも、ちょうどいいじゃないか』

「ああ、これをけじめにしよう・・・・・・」



 誰かに弱音を吐くことはしない。それは相手に迷惑だからだ。それに、俺はあの人には随分とお世話になった。こっちに来たときも、俺を心配してくれた。だから、直接話すことこそ少なかったとは言え、信頼していたあの人の裏切りはとても驚いた。決して信頼していた訳では無いが、あいつらに裏切られたのも痛かった。愛莉を突き放してしまったのも、やはり心を締め付ける。俺はいつも、回り回って他人も自分も傷つける



「はぁ~っ! 俺って、いっつも一歩遅いんだよな・・・・・・」



 そう言い、剣の鞘と柄を強く握る。泣きはしない。泣けば、これから俺はずっと前に進めないだろうから。そして、泣きそうな自分を殴り飛ばし、再度走り始める。






~~~~~~~~~~






 全力疾走の果てに辿り着いた村で、宿を取る事にした。



「ふう~、今日は疲れたな~、って言うか、【アレキウス王国】から【ラジア帝国】まで離れすぎだろ。一ヶ月とか、長い。心折れる。アメもそう思うだろ」

『ふぁ~あ、確かにな。それよりもう寝ようぜ?』

「そうだな」



 そう言い、隼人とアメは眠りについた。そして夢を見た。性が悪い夢だ。朝早く、隼人たちは【ラジア帝国】を目指して村を出た。



「さてと、今日も全力疾走する」

『あっ、そう・・・・・・っていうか眠い』

「眠ってていいぞ。なんかあったら起こすから」

『そうしてくれ・・・・・・』



 その言葉と共に、完全にアメが沈黙した。



「精霊も眠るんだな・・・・・・」



 今日も、全力疾走を開始した。眼に魔力を集中させ視力を上げつつ、脚にも魔力を集中させて速度を上げている。昨日の内に、地図を見て近道を決めていた。その道を全力疾走すれば、一週間近く短縮出来るかもしれないという結論に至った。






~~~~~~~~~~






「ふぅ、だいぶ走った」

『ふぁ~あ、よく寝た。・・・・・・もう暗いな、ここで野宿か?』

「ああ。・・・・・・食べ物探してくる。」

『了解だ』

(なんか食料無いかな・・・・・・ん?)



 木の実やらなんかを探していると、突如パチパチパチッと木が燃える音、焚き火をしている証拠だ。気になったので、その方向に向かって行く。すると、肉が焼いてある・・・・・・のに、誰もいなかった。



(ん? 誰もいないのか?)



 焚き火をしていたであろう人物を探していると、真後ろから突如、剣を抜刀した時の音が聞こえた。慌てて後ろへ振り向こうとするが、剣を首元に突き付けられたので、振り向けない。



「誰だ貴様。食料目当ての野盗か? ・・・・・・いや、ここら辺に野盗が居るなど聞いたことがない。何が目的だ?」



 辛うじて目だけを後ろに向けると、そこには黒髪で顔立ちも整った切れ長の目を持つ、隻腕のイケメンが居た。ただ、声のトーンの低さや強面などが相まって、少し怖い。



「ちょ、ちょっと待った。別に盗もうとしたわけじゃない。食料を探してたら、焚き火をしている音が聞こえて、もしかしたらわけてもらえるかな~って思って来たんだ。けど誰も居なかったから、探してたんだって・・・・・・」

「・・・・・・嘘を付いている訳では無さそうだな。すまないな、剣を向けたりして。食料なら分けてやる」

「有り難う、助かるよ」

「どうと言う事はない。それより、お前は一人で旅をしているのか」

「あ、そういや忘れてた。ちょっと待っててくれ」



 そう言い残し、隼人は森に消えていく。数分後、一つの剣をもって表れた。



「ごめん、遅くなったな」

「それはいい。俺はもう食べ始めてるしな。それより、その剣はお前のか」

「あ、ああ、拾ったんだ。というか何でそんなことを聞くんだ」

「その刀剣は、世界に一本しかない類いの物だろう。だから少し気になってな」

「そうなのか。これは、俺がダンジョンの底で見つけたんだよ」

「そうだったのか」

「ああ・・・・・・それより、この肉は何の肉なんだ?」

「トリラの肉だ、焼くのが一番旨い」

「確かに旨いな・・・・・・そういやあんたの名前は何て言うんだ」

「俺はシュラ、シュラ・マクスウェルだ。お前は?」

「俺はカン・・・・・・ハヤト・カンザキだ。宜しくな」



 異世界とかでは苗字と名前を反転させるのがお約束! ステータスもそうだしな。


「ハヤト・カンザキか。ハヤトでいいか」

「勿論いいぞ、こっちもシュラって呼ばせてもらうから」

「構わない」

「それよりさ、シュラ」

「急に馴れ馴れしいな」

「シュラは何処に向かっているんだ?」

「俺は今、【ラジア帝国】に向かっている」

「そうなのか。俺らも【ラジア帝国】に向かっているんだ。帝国に着くまででも一緒に冒険しないか」

「構わないが」

「よし、決まりだな。これから宜しくなシュラ」

「こちらこそ」



 その後、すぐに隼人は眠った。



 翌日、昨日早く眠ったせいか、早起きをしてしまった。



「くあぁ~っ! 眠いな・・・・・・」

「ハヤト、昨日聞き損ねたのだが、お前本当に一人旅・・・・・・何だよな?」

「・・・・・・もしかしてバレてた」

「やはり、その剣には精霊が宿っているんだな?」

「まあ・・・・・・な。俺はアメって呼んでる。それよりも、何で精霊のことを知っているんだ?」

「俺の師匠が、剣に精霊を宿してたからな」

「へぇ~、そうなのか」

「ああ、だが、人間族は精霊が見れない。故に、確信は無かったんだが」

「なるほど、そうだったのか」

「・・・・・・因みにだが、強者には精霊が感知出来るらしいぞ」

「そうなのか!?」

「ああ。師匠曰く、精霊は魂だけの存在で、契約していないと魔力切れのときに消えてしまうらしい。それに、魔力の質が高くないと見れないから、基本魔人族、獣人族、亜人族しか見れないらしい」

「・・・・・・魔人族や亜人族は判るけど、何で獣人族もなんだ?」

「元々この〝アーカルディア〟には、人間族、精霊族しか居なく、人間族と森や火、水の精霊が融合したのが亜人族で、人間族と闇の精霊が融合したのが魔人族、そして人間族と獣の精霊が融合したのが獣人族なんだ。だから、獣人族も精霊族を見れる。いや、正確には感知するって師匠が言っていた」



 精霊族だけじゃなく、〝アーカルディア〟に生きる他種族の成り立ちについて、教えてもらった。そこでふと思う。



「そう言えば、その師匠って人は何処にいるんだ」



 そう質問を投げ掛けると、シュラの顔が曇る。



「どうかしたか?」

「師匠はもうこの世に居ない。・・・・・・俺が出かけてる間に、何者かに殺された」

「っ! そうか、すまない・・・・・・」

「いや、気にする必要は無い。それよりもう行くぞ。なるべく早く、帝国に着きたいからな」

「あ、ああ、そうだな。行くぞアメ」

『う~ん、むにゃむにゃ。行くのかマスター?』

「ああ」



 アメの問いに返事をした。もう歩き始めていたシュラの許に、走っていく。此処に、二人と一つの旅が始まった。






~~~~~~~~~~






「それにしても、長い道のりだな・・・・・・」

「愚痴を言うな。後、気をつけろ。ここら辺にはリヴルムという竜がいるからな」

「また竜か。・・・・・・って、いやいや、そんな運悪く遭遇するわけ無いしな。・・・・・・なあシュラ、リヴルムってどんなモンスターなんだ? 」

「巨大な四足歩行の竜だ。獰猛で肉食、加えてとても強い。ランクC相当のモンスターだからな。レベル五十ほどなければ、すぐ食べられるからな。故に、人喰らいと呼ばれている」

「そ、そんなに強いのか?」

「ああ、相等強い。俺たちでも、全力で逃げなければならないだろう」

「それって、相等ヤバいんじゃないのか・・・・・・」

「だからそう言っているだ・・・・・・」



 若干震えた声で質問してきた隼人に返答していると、森の奥から巨大な足音が響く。木々を踏み潰している音。その足音は、明らかに此方に近付いてくる。



「あ、あれは・・・・・・」

「・・・・・・リヴルムか! 逃げるぞハヤト!」

「あ、ああ!」



 シュラの言葉に素直に従い、リヴルムから距離を取る。だが、それが間違いだった。



「グルアァァァァァァッ!!!」

「何だ・・・・・・っ!」

「振り向くな隼人!」



 隼人が振り向いたその先で見たのは、口を大きく開き、空気を取り込んでいるリヴルムだった。その後、肺いっぱいに空気を取り込んだのか、一旦口を閉じる。そのままリヴルムは、鋭く尖った牙を剥き出しにする。



『ヤバイぞマスター! 避けろ!』

「言われなくても、見れば判る! シュラ、右に避けろ・・・・・・」



 牙のちょっとした隙間から、火炎が溢れ出る。そして、リヴルムは再度口を大きく開き、火炎の咆哮を隼人とシュラ目掛けて放った。



「くっ!」

「うわっ!」



 間一髪、シュラは右に、隼人は左に避けたが、余波で吹き飛ばされた。



「なっ、何だよ今の! 森が炎上してるぞ!?」

「退路が絶たれた。戦うしか無いだろう・・・・・・」

「マジかよ・・・・・・」

「大マジだ、行くぞ!」

「おうっ!」



 二人は眼前に剣を構え、リヴルムに突っ込む。二人とも近接戦闘が主体のため、突っ込むしか無かったのだ。右袈裟懸け、突き、蹴り、と。何度も何度も攻撃するが、やはり目立った傷が与えられない。



「マジかよ、これじゃニズヘッグの二の舞じゃないか。・・・・・・ぐあぁ!」

「大丈夫かハヤト!」



 隼人がリヴルムの後方にとすると、リヴルムが振り回している尾が直撃した。



「ヤバイな、確かに勝てる相手じゃない・・・・・・」

『マスター、私を使え! 一か八かだが倒せる筈だ!』

「・・・・・・出来るのか?」

『ああ、一か八かの可能性だが』

「・・・・・・判った。俺はどうすればいい?」

『簡単な事だ。私が合図をしたら魔力を込めろ。行くぞマスター!』

「了解だ」



 剣を再度眼前に構え、リヴルムを見据える。シュラも尾が直撃したらしく、木にもたれ掛かっていた。リヴルムは、自身を見据えた隼人を見据え返す。そして、再度森を炎上させた咆哮を放とうとする。



『今だマスター、魔力を込めろ!』

「うおぉぉー!!」



 隼人は無意識の内に剣を頭上に掲げ、アメの合図に合わせて剣に魔力を込める。そうすると、剣が白く光り刀身が伸びていく。



「グルアァァァァァァッ!!!」



 リヴルムは火炎の咆哮を放つ。それと同時に、隼人は迫り来る火炎の咆哮、その先に居るリヴルム目掛けて剣を降り下ろす。白く光り輝く黄金の剣は、最初は押され気味だったが、次第に相手の火力が弱まり、轟音と共にリヴルムの肉体を切り裂いた。



「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・」

「凄いなハヤト。まさかあんな力を隠し持っていたとは。・・・・・・ん? どうした、ハヤト! ハヤト!」






~~~~~~~~~~






 今シュラたちは、隼人が目覚めるのを待つと同時に、リヴルム戦で負った傷を癒していた。



「〝魔力欠乏症〟、か。大事じゃなくてよかったな。・・・・・・アメ、でいいんだよな」

「うん。本当に良かった、大事に至らなくて」

「まさか人型に変化出来るとはな。驚いたが、変化出来るということは原初に近いということだろう?」

「まあね」

「う~ん」

「ふふ、かわいいなぁ~」

「原初に近いということは、それなりの数の契約者がいるんじゃないか?」

「私が今までで契約したのは、ハヤト含めて4人だけさ」

「たったの4人か?」

「うん、でも最後に契約したのは五百年も前だけどね。五百年前の契約が破棄されてからは、ずっとダンジョンに封印されていたからね」

「そうだったのか。・・・・・・俺はもう眠る。ハヤトが起きたら、置いてあるポーションを飲むよう伝えておいてくれ」



 シュラはそうアメに伝言を託し、眠りについた。アメも剣に戻った。



 翌日、朝早くに隼人は目覚めた。



「体中痛いな」

『ん? 起きたのかマスター?』

「アメか。あのさ、体中が痛いのは判るんだけど、何で俺気絶してたの?」

『魔力欠乏症さ。元々あった魔力が一気に無くなると、気絶するんだ。ある種の防衛本能さ』

「マジか。迷惑かけた......よな」

「ああ、多大な迷惑を掛けられた」

「シュラか。ごめん」

「ふ、お前は謝る必要など無い。助けてもらった礼としてここまで運んだんだ。だから、頭を上げてくれ」

「......そうか、それじゃあお礼を。どうも、有り難うございました」

「急にかしこまったな。それより、そろそろ出発するぞ。後、そこのポーションを飲んでおけ」

「了解」



 痛む体を惜しみ、ポーションを口に含みながら出発の準備をしていると、ふと今のステータスが気になった。



ハヤト・カンザキ 性別 男(16) レベル20


HP2000

MP1900


ATK1900(2700)

DEF2000(2200)

SPD2000(2100)

MIA1900

MID2000(2200)

DEX1900(2000)


能力 

不明 魔力操作 真眼 精霊の加護 異世界人補正



(ん? なんか変わったな。〝真眼〟ってのが増えて、〝第六感〟が消えたのか。ヘルプを見てみるか)



 そう思い〝真眼〟を押してみる。



能力《真眼》

〝第六感〟の強化能力

〝真眼を使用中は、動体視力や周辺視力等が強化され、擬似的な未来予知が可能になる。使用中は魔力を消費、脳に負担が掛かる。また、〝第六感〟と同じく相手のステータスを見ることができる〟



(なるほどな、結構使いやすくなったんだな。まあ、それよりも準備だ・・・・・・)



 そそくさと出発の準備を整え、再度【ラジア帝国】へ向けて歩を進めた。



ちなみに1シリン=1円です。


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