物語の幕開け この世界についての説明 ※
第2話です。
改稿済み
国王曰く、この世界の名前はアーカルディアと言い、人間族、獣人族、亜人族、魔人族、精霊族の五種族がいて、今は人間族、獣人族、魔人族の三種族が戦争中であり困ったことに人間族は劣勢を強いられているらしい。
獣人族は魔法が使えない変わりに高い身体能力を持っていて、魔人族は生まれつき高い魔力を持っているらしいが、人間族は平凡もいいとこらしく、物量で勝負するしか方法が無かった。だが、幾ら兵が多くても強力な攻撃には敵わず、戦争でも負け続けるばかりだった。これ以上犠牲を増やせないために、異世界人である俺らに希望を託して、人間族の奥の手である"召喚魔法"を使った。
その後、魔人族について教えられた。魔人族は野蛮で、他者を裏切ったり殺したりすることに躊躇いが無い者達らしく、その中でも特に、魔王はそれが顕著で今まで散々苦しめられてきたらしい。
他の生徒たちは流し半分で聞いていたが、次の言葉で生徒と先生が食い入るように聞き出した。
「君たちには、その魔王を倒してほしい。元の世界に帰りたい気持ちも、それなりに判っているつもりだ。それに、魔王は我々人間族に伝わる〝召喚魔法〟と対になる、〝送還魔法〟を知っているらしい。だから魔王を倒せば元の世界に」
「帰れるってことですね!」
「あ、ああ」
国王の言葉を遮って発言したのは、クラスのアイドルと呼ばれている相馬幸太郎だった。そして、その反応を見てさっきまでお通夜みたいな雰囲気だったクラスメイト達が、一気に活気付いた。だが、そんな中で一人、隼人はずっと国王を観察していた。観察し始めたのは、国王の言葉が始まったときだ。そこから、隼人は国王の一挙手一投足一言葉も見逃さず聞き逃さず、観察していた。
(国王は多分嘘は言っていないな。でも、何処か裏が在る気がする。第一、魔王を倒したら〝送還魔法〟とやらを聞けないだろ。いや、それ以前に、知っている・・・・・・?)
隼人は国王の言葉に疑問を持ち、考え込んでいた。そんなとき、甲冑を着込んだ一人の男がこの部屋の扉を開けて入ってきた。
「やあ、勇者様方。俺はレンジ・メルトローザ、アレキウス王国騎士団の副団長をやっている。これから戦争が起きるまで、俺が君たちの戦闘指導をする。これからよろしくな。今から、各自ステータスの確認をしてもらう。ステータスと強く念じてみてくれ」
レンジにそう言われ〝ステータス〟と念じてみた。そうすると、目の前にステータスらしきものが浮かんできた。
ハヤト・カンザキ 性別 男 レベル1
HP1000
MP700
ATK750
DEF800
SPD750
MIA600
MID800
DEX750
能力
不明 第六感 異世界人補正
(やけにステータスが高いな。異世界人補正ってやつが原因か・・・・・・? 〝第六感〟ってのは確か、直感や心眼とも呼ばれるやつだよな。何かアンバランスだな。・・・・・・これって触れるのか? ちょっと触ってみるか)
触れるかもしれないと思ったので、ステータスに触れた。
能力《不明》
〝不明〟
能力《第六感》
〝自分以外の相手に意識を集中させると、相手の次の行動がわかる。因みに、意識すれば相手のステータスも見れる〟
(おお~、凄いな・・・・・・新しい技とか覚えたら、これで詳細を確認出来るのか。俄然、ファンタジー色強まったな。待てよ、新しい技って覚えるのか・・・・・・?)
この世界に対して関心が高まっていたところに、レンジが声を発する。
「さて、皆ステータスが表示されたな。では、これより魔王倒すための訓練に向けて、装備品を確認する。各自、自分の能力に見合った装備品を選んでくれ。わからないことがあったら、どんどん聞いてくれて構わない」
レンジがそう言い終わると、皆は各自、自分の装備品を選んでいく。そんな中で一人、隼人は考えていた。
(・・・・・・〝不明〟かあ。何で、〝不明〟なんだろうか。判らない。まあ、一人で考えていても仕方がない。あの人に聞いてみよう)
そう思いレンジに尋ねてみる。
「すいません、ちょっといいですか」
「ん? なにかわからないのか?」
「ああ、いえ、質問何ですけど、能力が〝不明〟ってあるんですか」
そういってレンジに自分のステータスについて、聞いてみる。
「なるほどなるほど、ステータスは高いのに、能力が〝不明〟となっていて判らないと」
「そうなんです」
「すまないな、俺には何も判らない!」
「そうですか・・・・・・」
「本当にすまないな」
「いや、いいんです・・・・・・う~ん、どうしようかな」
「何事ですか、兄さん」
兄さん、と声を上げたのは神崎愛莉。隼人の妹で、学校のマドンナと呼ばれている。大和撫子然とした人物で、肩まであるサラサラとした黒髪が印象的な美人だ。因みに、歳は四ヶ月しか離れていないので、兄さんというという呼び名はどうかと思うが、今はそれどころじゃない。自分のステータスがわかないのだ。どうしようかと悩んでいるとアイリから質問をされる。
「何をやっているんですか兄さん。」
「あ、いやなんかその、ステータスがおかしくて、そういや愛莉のステータスはどうなってるんだ?」
「私のですか? 私のは魔法寄りですかね」
愛莉はそう言っていたが、愛莉のステータスが気になったので早速"第六感"を使ってみる。
アイリ・カンザキ 性別 女(16) レベル1
HP600
MP1000
ATK400
DEF500
SPD400
MIA800
MID700
DEX600
能力
通常魔法 極大魔法 結界魔法 複合魔法 重力魔法 治癒魔法 無詠唱化 魔力制御 異世界人補正
魔法属性 火 水 風 土 電 光 影 結界 特殊
持ち物
本人も言っていた通り、明らかに魔法寄りだった。それに加えて〝不明〟というのもチートじゃないか、と思ったが口には出さなかった。そしてレンジから、装備品について言われた。
「因みに装備品は自由に選んでくれて構わない」
「そ、そうですか、わかりました。ありがとうございます」
(若干投げやり感漂うな、まぁいいか自由に選んでいいんだし、適当に選ぶか・・・・・・うーん、何にしようか迷うな、耐久値が高いんだし重装騎士にでもなるか、でも移動が大変だな、そうだ腰に剣をさしてスピード重視にするか)
ちなみにHPは体力値、MPは魔力値、ATK攻撃値、DEFは耐久値、SPDは速度値、MIAは魔力攻撃値、MIDは魔力耐久値、DEXは器用値らしい。
(よし、これに決めた!)
隼人は手に自身が着るであろう装備品を持ち、レンジの下へ行く。
「レンジさんこの装備品を貰ってもいいですか」
「それに決めたんだな、いいぞ持ってけ」
「ありがとうございます」
「それでは皆、装備品を選んだな。これより各自の自室に案内する、二人一部屋だが構わないな」
「皆、それでいいよな」
このクラスの委員長である柊達哉が皆に確認を取ると、ほぼ二つ返事で〝オーケー〟と帰ってきた。まあ異論はないな。そして部屋に案内されると皆、唖然としていた。何故なら、その部屋一つ一つが高級ホテル並みの豪華さだ、それにクラスメイト全員が部屋を使っても余るらしいが、その豪華さに呆気を取られて誰も文句を言わない。ちなみに男子十五人女子十五人なので男女一人ずつ余り騒がれたが、兄妹の隼人と愛莉が同室になりその場は収まった。余談だが、先生は女性副担任(本名福澤忍)と同室になった。
隼人が選んだ装備品は、紆余曲折の末、ゲームに出てくるような初期装備に、後ろに特殊な刺繍が入っている、透き通るような黒色のローブを着る、というスタイルだ。隼人は、背が高いので案外この装備は似合っている。そして、部屋の電気を消して就寝準備したとたん愛莉は眠ってしまった。隼人はステータスを見て思っていた。
(はあ、なんなんだこのステータスは能力〝不明〟ってか何で〝不明〟なんだ? 能力が無いなら、不明って書かなくてもいいのに......まさか! これ事態が能力なのか! ......というかどんな能力なんだ? 益々謎が深まるばかりだな。それよりも、明日から訓練が始まるのか......面倒だな)
暗い部屋の中で一人、隼人は考え事をしていたが埒があかなくなってそのままその日は、眠ることにした。明日のことを考えながら......
(眠れねぇ!)
すいません、ちょっと設定変えました。