物語の幕開け 異世界召喚 ※
初めての投稿なのでこんな作者がいるんだ程度に覚えてくれていれば結構です。
改稿済み
夜の帳が包む、緑が生い茂る森。その森の少し開けた場所に、オレンジと白が互いを主張するように燃えている焚き火が在る。その焚き火を囲むように、照らし出されている六つの人影。この世界に召喚された、少年に付いていく事を決めた五人。そんな彼等の、束の間の休息。
「ハヤトさん、このパン美味しいですよ。どうですか?」
「ん、そうなのか。良かったな」
「食べますか、ハヤトさん?」
「いや、いいよ、俺はもうお腹いっぱいだし。ラミアが食べればいいよ」
「そうですか、じゃあ・・・・・・」
「・・・・・・」
「ん? どうしたんだ、アリシア」
「い、いや、別に。何でもないわ」
「? そうか」
「まあ、それよりだ。今日はもう遅い。早く眠った方がいい」
「そうだな、俺はもう寝させてもらう」
そう言い、ハヤトは近くに停泊していた汽車のような乗り物に乗り込む。そして、椅子に座り目を閉じる。すると、二ヶ月前の事が脳裏に過る。目を閉じながら二ヶ月前の事を思い出す。
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高校二年の始まりの日、憂鬱だなと思う人もいるだろう。逆に友達に会えて嬉しいと思う人もいるだろう。そんな中、周りに目もくれず歩いてくる人がいる。名前は神崎隼人、黒髪黒瞳で背も高く、顔立ちも整った人物だ。成績はまあまあ優秀、運動もまあまあ得意、ルックスは中の上、性格は普通(すべて自己申告)という、そんな良くもないが悪くもない、至って普通の高校生だ。進級したからといって何かが変わるという訳でもなく、何時も通り学校に通い、教室に入り、自分の席に座り、本を読む。
(今日も平凡な毎日だな)
神崎隼人は、少々オタクの気がある。欲しいゲームがあれば、発売日に朝からお店に並ぶことなどもあったし、好きなアニメを見るためにたまに夜更かしすることもあった。
故に、中学の時はいじめられることもあった。だが昔から習っていた剣道の技術で一回追い払ったら、以後いじめられることはなくなった。だが今でも時々からかわれる、というか絡まれる。隼人の通う高校は中高一貫校なので、いじめてきた連中も同じ学校だ。しかも、最悪なことに同じクラスだ。この事で、クラスメイトとは一歩身を引いてる。そのため、いまだに友達が出来ていない。
(まあ、今さら友人なんて欲しいとは思わないしな。話し相手なら愛莉が居るし)
そう思っていると、先生が教室に入ってきて朝のホームルームが始まった。その時、ふと小さく、誰にも聞こえないように呟いた。
「異世界召喚でも起きないかな」
その時、教室の床が発光し、魔法陣が浮かび上がる。そして、その魔法陣から放たれている光が、教室を包んでいく。
「マジか・・・・・・っ!」
これまた小さな声で呟く。だが、そんな事をしても意味は無く、異常な発光によって目を閉じてしまう。
一分もしない内に光が消えたと思い目を開ける。すると、目の前には華奢な体の少女と、ゲームに出てくるような服装の男たちが立っていた。少女の方は、少し息を切らしていた。
隼人は周りを見る。多分だが、クラスメイト全員がこの場に連れてこられたのだろう。そして視線を前方、華奢な少女の方へと向ける。周りからは、「やりましたな姫」や「やった成功だ」等という言葉が聞こえる。そんな中で、隼人は混乱していた。いや、正確にはクラスメイト全員が混乱していたが隼人は別の意味で混乱していた。
(こんなテンプレ召喚ってあるのかよ)
そう思っていると質問が発せられる。
「あの、すいません。あなた方は誰なんですか、というかここはどこなんですか?」
その質問をしたのは、愛川翔子先生だ。そして、その質問に答えたのは華奢な少女だった。まだ十四歳ぐらいだろうか。幼くも整った顔立ちはまさに美女、いや美少女と言えるだろう。
「初めまして勇者様、私はアレキウス王国第二王女アリーシャ・ヴァン・グレイル・アレキウスです。以後お見知りおきを。さて、積もる話もあると思うので、私についてきてください」
そう言われて皆がついていった先には仰々しい扉があり、その扉を開くと中にはさらに仰々しい空間が広がっていた。そこには、漫画やアニメに出てくるような中世風の鎧に身を包んだ者たちが居て、さらに奥の方には二つの豪華な椅子に座っている二人の男女、そしてその横には二人の子供がいる。そんな中一番最初に口を開いたのは椅子に座っているなんとも好々爺然とした男だった。
「ようこそ勇者様方、私はアレキウス王国国王ジルグレイブ・ヴァン・アルフォンス・アレキウス。あなた方には、我々人間族を救って頂きたい」
(テンプレ展開きた!)
そう思った隼人だった。