少し危ない
ベルトに付けて下していた帽子をキュッときっちり被る。
フードを深く被り直し、老人を肩にかけなおす。
気を緩むことは許されない。
老人の通りに進んでいるが、一方に警官らしき人たちは進むにつれ多くいるような気がした。
先ほどまでは遠くで灯りと人影がゆらゆら揺れているな、と認識できるほどだったが、今は車道のような道を挟んだ向こう側に、警官が通るといったようなすれ違いが起きる。車道越しだが。
チラリと様子を見てみる。
警官は、カンテラを灯し目をギラギラ光らせ、ただ前を見て歩いているようだった。
他にも道端ですっかり寝ているものや、千鳥足になってカンテラを振り回す不善な警官もいた。
これは、警官としてどうだろうかとイライラしたのは内緒だ。
老人の背中を一定のリズムで叩きながら進む通りに歩く。
黒い影が覆ってきたりするが、これは大きい建物のようなのだ。
先ほど大きい影にビビって警戒しながら歩いていたら「実は建物でしたー☆」みたいな展開が起きた。
あれは殴りたくなった。誰かを。八つ当たりとして。
少し向こうに広がる黒い影となった建物を睨みつけ、ちまちま歩く。
ちなみに言うとまだ夜である。日は登ってない。