爺さん拾いました。
「うぅ、ぐふっ、ぺっ。
最近の若いモンは老人を労ることを知らんのか。
だいたいなあ、なぁんでワシを見た途端、来た道を戻るんじゃ。見て見ぬ振りせず笑って肩を貸すのが普通なんじゃよ。
だいたいなあ....」
べちゃべちゃと語りまくる老人。
正直言って酒臭いですあなた。それと同時になんか込み上げて来ちゃうんで口開けないでください。
あと話長いです。
ああ、なんで私はトンデモジジイ....老人をひろったんだろう。
若いモンですみませんね、ほんと。
「だいたいワシの若い頃はなあ、両親の仕事手伝って、両親の代わりに料理作って、それで肩揉んで、お使い行って、くたくたになった時寝るんじゃ。
それに比べ主はなぁ。
なぁんでこんな真昼間っから外で遊ばないで街歩いてんのかい。
確かに街は広いがの、一人で回るっちゅーもんは逸れ者のすることじゃ。
なんじゃ?母ちゃんと逸れたんか?そんだったらわしが」
「それを言うなら逸れ者です。
それに真昼間じゃないです。真夜中です。上を見てみましょう。
....すみません。あなたの家ってどこいけばいいんですか?」
「ワシん家か?うーんと....
どこじゃったかのぅ」
あんた、あんなに自分の昔話喋っといて自分の家覚えてないのかよ。
「....はあ」
「おお、思い出した!
右さん、右さん、まっすぐさ行って左さんじゃ!」
なんでさん付け....
まあいいや
「はいはい。」
「そんでな、ワシがちゃっちい頃な、隣の家のコロさんと一緒にな....」
後は適当に老人の話に相槌を打って、進む。
ちょっと酔っ払ってるから本当にあってるのか心配なんだが....
ここは何も言わないでおこう。
うん、信じるんだ。酔っ払いを。
後で痛い目見るかもしれない。その時は交番にでもぶち込めばいい。
「そんでな、その時ワシのワンちゃんのベネたんは言ったんじゃ。「一緒に逃げましょう」と、その時ワシは思ったんじゃ。べネッサは危ないと、だからワシは言ったんじゃ。「婆さんや、朝ごはんはまだかの」」
おい爺さん、あんた何言ってるかいまいちわからんぞ。