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水嶋啓介の想い**ホントに済まなかった、麗那……。
麗那……?
ぼくは妹である麗那に、謝らなければいけない。心から申し訳ないと思ってる。
なぜかって……?
そんなの決まってるよ。だってぼくはさ……。
――麗那に夢を、諦めさせてしまったのだから。
麗那の気持ちも知らないまま怒ったぼくは、ホントに最低な兄だよね。死んだ今だって、ずっと思ってる。
だからせめて、この謝罪の気持ちだけでも伝わってほしいんだ。
ホントに済まなかった……。
でも、この声はもう届かないんだよね……。
ぼくは幽霊なんだからさ……視てもらえさえしなければ、声を聞いてすらもらえない……。
愛する麗那に伝えたいこと、山ほどあるのにさ……。