牧野朱義の想い**お前を守れなくて、済まなかった。
紅華……お前を守れなくて、済まなかった。
妹のお前のことすら、まともに救えない姉のアタシは、本当に弱い存在だよ。お前より先には死んじまうし、情けねぇったらありゃしねぇよな……。
生まれつき心臓の弱いアタシたちには、これが運命だったのかもしれねぇ。アタシが死んで、次にお前も死んでさ……。
――だけどお前の死に関しては、この霊のアタシなら救える可能性があったんだ。
けど、ダメだった……。
当時は言霊の力なんか、全く知らなかったアタシだ。それに気づいたのだって、お前が死んで消えてしまったときだよ。
なんで物事は決まって、失った瞬間に気づくんだろうな? それも、大切なことに限ってよぉ……。
だからさ、紅華。どうかアタシの話を聴いてほしいんだ。
言霊の能力を、身をもって知ったアタシがすべきことを。
お前を失ったことで、言葉にできないほどの悲しみを知った、アタシの使命を。
どういうことかって? 決まってんだろ……。
――それはあくまで、無力な霊たちを護ることだ。たとえアタシの手を汚してもな。
守れなかったアタシがすべきことは、尊い魂たちを護衛することなんだ。それを妹であるお前に、どうしてもわかってほしい。




