21/66
篠塚碧の想い**大好きだよ、翠。
翠、わたしのこと……覚えてないよね。
姉でありながら、妹のあなたの面倒をろくに見なかったわたしのことなんか、もはや他人にすぎないよね。
ごめんなさい……聴いてくれるとは思っていないけど、せめて言わせて。
わたしね、別に翠のこと嫌ってた訳じゃないんだよ。
そりゃあそうだよ! だって翠は、わたしの世界でたった一人の、大切な妹なんだからさ。
――でも、死んじゃった翠とは、もう会えないのかもね。
残念だよ、ホントに……
引っ込み思案なわたしとは逆で、あんなにお転婆だった翠が死んじゃうなんて、もちろん想像もしていなかったし、生きてるうちで一番泣いたかもしれない。
翠ともっと、いっしょにいたかったなぁ……
翠…………今、あなたはどこにいるの?
翠……まだまだ未熟なわたしのこと、あなたには見えてるかな?
翠、いるなら聴いてほしいんだ。
――大好きだよ、翠。




