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2012年01月09日の作品です。
区画整理の整った街並み。そこには、同じ間取りの同じ壁色の、同じ外観の家が見渡す限り並んでいる。
元々、田園のあぜ道だったのか、それとも意図してこのような区画整理をしたのかは不明だが、これではある意味リアルな迷宮状態だ。
今、自分が立っている所から前を見ると、外観と壁色の同じ家が十数軒続いているのが見える。横を向いても、これまた外観と壁色の同じ家が十数軒続いているのが見える。
碁盤の目のような街並みの中に、400もの家が立ち並んでいるのだから、ここはリアルな迷路の中だ。
交差点交差点から眺める風景は、どこも同じで自分がどこにいるのかすらも分からなくなる。
で、どうしてこんな所にいるかと言うと、友人の引越し祝いに行くためなのだが、友人宅が分からないのだ。
友人からは、屋根の赤い真っ白な家で、産業道路沿いの道を入って、七つめの角を右に曲がった後、八つ目の角を左に入った三軒目の左側と聞いていた。が、自分は『そこまで丁寧に説明しなくても、赤い屋根の白い家を目指せばいいんだろう?』と軽い気持ちでここまで来てしまった。
『まずは、産業道路まで引き返そう』
と思ったが、どっちが産業道路か分からない。もう既に、赤い屋根の白い壁の家は嫌というほど見てきた。ここには、屋根の赤と壁の白、空の青とアスファルトの黒しか存在しない。
今自分がどこにいて、どちらの方向を向いているのかすらも分からない。何回角を曲がり、何回方向転換をしたのかも既に曖昧な状態になっていた。
と、ふと『携帯で電話をすれば』と妙案が浮かんだ。すぐさま、友人の携帯へ連絡を入れる。暫くの間を置いた後、友人が電話にでた。
「何やってんだよ〜!」
「い、いや、ごめん! 道、分からなくなっちまって……」
「お前、俺の説明聞いてたか!?」
「あ、う、い、いや、聞いてたよ……。けど、まさか、こんな事ってあるのか……?」
「あるから、きちんと説明しただろうがよ! で、今どこよ!? 何が見える?」
「今は……。お前ん家の近く……の筈……。見える物は、赤い屋根と白い壁、青い空と黒い道……かな……」
「あ〜、それはご愁傷様だわ。あのな、俺もたまに迷うんだ。俺ん家どこだっけ? ってよ。だからよ、一度産業道路に出てからもう一度、教えた通り来てみろよ」
「産業道路ってどっち?」
「バカかテメェは!! 端っこグルッと回って行けば辿り着くだろうがよ!」
それを聞いた瞬間、どれだけ自分がパニクっていたのかを実感した。
「あ! そうか! そういう手があったか!?」
「そうかじゃねぇよ、まったくよう!! じゃぁ、気ぃ付けて来いよ!」
そう言って、友人はあっさりと電話を切ってしまった。
言われた通りに端っこの道をずっと突き進み、角に来たら曲がる。まっすぐ進み角に来たら曲がる。まっすぐ進み角に来たら曲がる。まっすぐ進み角に来たら曲がる。
『まっすぐ……、って一周した? あれ? 出口は?』
自分自身がおかしくなってしまったのかと、もう一度進んでみる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。
『で、出口は……? どこ?』
慌てて友人に電話をしてみたが、着信拒否かすぐに留守電に変わった。
『嘘……。俺、ここからどうすればいいの……?』
まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み角を曲がる。まっすぐ進み……。
『ここ、何処ですか?』
赤い屋根と白い壁、青い空と黒いアスファルト。いつまで経っても変わらない。いつまで経っても青い空……。




