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乱用の末

2011年10月13日の作品です。

「昨日さ……。お、恐ろしい……、こ、光景をね、見たんだよ……」

「何? 恐ろしい光景って?」

 僕の話をまともに聞こうとしない友は、そう言って頬杖を突いた。

「あの墓場の横を通り過ぎた時に、土の中から腐った人が出てきたんだよ!!」

 あの時の情景を思い出したくなかった僕は、早口でそれだけ言うと、キッと友を睨みつけた。

 が、「ああ、あれ……? いつもの事じゃん!」と軽く流された。

「え? ……」

 そう言って固まってしまった僕に、「それはね。蘇生って言うんだよ」と頬杖を突いたまま教えてくれた。

「そ、蘇生?」

「知らないのかい? 神仏魔法使いが使う魔法さ。【完全】と【半分】と【瀕死】と【不完全】の四種類があって、【完全】は、生きていた時と同じ姿で元気一杯で生き返る。【半分】は、生きていた時と同じ姿だけど、疲れた状態で生き返って、【瀕死】ってのは、死にかけの状態で生き返るんだよ。そして、君が見た腐った人が……ってのは、きっと【不完全】だね。生き返る事は生き返るんだけど、肉体の蘇生出来ないんだろうね……」

 僕は、目の前の友が何を言っているのかわからなかった。いや、理解出来なかった。

「え? 本当に知らなかったの? 今なら、神仏殿で高額の寄付金をしたら【完全】。それなりの多額なら【半分】。一般家庭の年収五年分くらいなら【瀕死】。三年分以上で【不完全】で、蘇生してくれるんだよ」

 《開いた口が塞がらない》というのは、このような状態を言うのだろうか……? 僕は、マヌケな顔をしたまま固まってしまった。

『……、し、知らなかった……』

「本当に知らなかったみたいだね。でも、大丈夫だよ。もう、そろそろじゃないかなぁ……」

 そう言って、友は悲しそうな表情で窓から空を眺めていた。

「僕も、この前父さんに【完全】の魔法で蘇生したところなんだ……」



 その日から半月後、世界の大陸は人を乗せる容量を凌駕し、沈没したのであった。


 そして、世界から蘇生が消滅したのでった。




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