気遣い
2011年05月07日の作品です。
身体が熱い。身体が怠い。鼓動音が激しく聞こえ、腹部に鈍器を押し込まれたような違和感を感じる。
体温計を脇に挟む。暫くして計測音がなる。37.9度。熱がある。明日は、家族を連れて遊園地へ行く。大丈夫か?
朝、身体のけだるさを知らないフリをする。自分で自分を騙そうとする。遊園地までの道中、車を運転しながら意識が遠退きそうになる。大丈夫……か?
遊園地到着。子供達は楽しそうだ。来た甲斐があった。しかし、意識がボ〜っとする。家族にバレてはいけない。「今日は暑いなぁ!」を連発。これで、少しボ〜としていても、暑いためだと思うだろう。しかし、今の体温は何度なのだろう?
なんとか一日終了。バレずに済んだ。後は家へと帰るだけ。軋む身体に鞭打ちながら、平然とした顔で運転をする。頭が熱い。目が霞む。腹部の痛みは既に、胴回り全ての痛みへと変化した。足が重い。後もう少しだ。
帰宅した。何事も無かったかのように風呂を沸かし、子供達の入浴を手伝う。体温の上昇が手に取ってわかるようだ。腕が痺れてきた。しかし、睡眠時間まで隠し通す事を決意。入浴後、家族の見ていないところで、体温を計る。38.5度。そりゃぁ、しんどいわ。
家族に「おやすみなさい」を言って床につく。あとは寝るだけ。今日の俺、お疲れ! 妻が枕元に来た。その手には、氷枕が握られていた。……知っていたのか……。「ごめん。そして、ありがとう」




