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あと少し……

2010年10月17日の作品です。

 『もうダメだ』この言葉を何度、頭のなかで唱えただろう。




 私は歩いていた。はたから見れば、ウォーキング中のオッサンだろう。確かに初めは、軽い気持ちでウォーキングに出掛けた。


 『普段歩くコースより少し長く歩いてやろう』と考えたのが、地獄の始まりだったのかもしれない。


 もう少し遠くへ、もう少し遠くへと歩いている内に知らない場所に出た。いつも車で通る道の傍だったので、探検気分でウロウロした。


 少し体にけだるさを感じ始めて『帰ろうか』と後ろを振り向いた。


 ……私は どこから 来たのだ。


 突然けだるさと言うよりも疲れの塊を背負わされた気分になった。


 探検気分で歩いた道はまるで迷路のようだった。知らない道が、見覚えのある道に見え、家へと続く筈の道へ行くと知らない場所に出る。


 また、さまよった挙げ句、見覚えのある気がする道に出ると、知っていると思われる方向に進み知らない場所へと続く。


 『もうダメだ』私の頭は限界の声を挙げていた。頭だけでない、足も手も痺れて感覚すら薄くなっていた。頭はボ〜ッとし、目の前はまるで雲の上を歩いているかのように揺れていた。


 それでも私は歩き続けた。……そしてようやく、知らない道の入口に辿り着いた。




 ………気が付くと私は家の中で妻に膝枕をされ横になっていた。


 どうやって帰って来たのか分からない。妻は素知らぬ顔をしていたが、子供達は泣いていた。


 帰って……来れた。帰って来れた! と嬉しさに涙がこぼれた。


 体は汗でぐっしょりと濡れていた。妻が風呂を薦めるので、風呂に入る事にした。


 風呂の準備をしようと自分の部屋へ向かう途中、妻の『チッ』という小さな舌打ちが聞こえた。





 あの舌打ちは何だったのだろう……。





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