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一人百物語 2

踏んじゃった

作者: 犬猫夜行
掲載日:2026/08/08


以前派遣されていた現場の、鈴木氏と西井氏から聞いた話。


ある日、鈴木氏と西井氏は残業で遅くなり、オフィス街の歩道を駅まで二人で歩いていると


ムニュ


という感触が鈴木氏の左足の裏の、真ん中あたりでした。

一瞬驚いて、何を踏んだのだろうと足元を見ると


スススス、スィーッ


と掌大の黒い物が歩道のアスファルトの上を滑る様に移動してゆき、5メートル程先のところで道端の暗がりの中へと消えた。

「……何だありゃ。見た?」

鈴木氏は西井氏を振り向いた。

「うん」

「何か黒い影みたいな」

「うーん。影というか。俺には人の頭に見えたけど。目から上あたりの」

鈴木氏には何か黒い塊か影の様に見えた物は、西井氏には頭頂部から目元あたりまでの、男性の頭の一部に見えたらしい。


西井氏いわく、それは上目使いの目で二人の方をじいっと見つめながら、物陰に消えていったという。




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