突撃・となりのオークは晩御飯・おかわり?
「突撃・となりのオークは晩御飯」の続きとなっております。
が、単体でも読んで違和感ないと思います。
とある町の近くにある、とある森。
少し奥に進んだ場所にある開けた場所で、女冒険者が一人監視業務を行っていた。
名前はルーナ。人狼だが、面倒を避けるために普段は耳も鼻先も尾も縮め、
人間の女性として振る舞っている。
今から三週間ほど前、ルーナは偶然この広場にオークが住み着いているのを発見。
町に近い事もあり仕留めたのだが、当時数日まともに食事が摂れていなかったため、
割と軽い気持ちでオークを解体して口にしてしまった。
人型の敵対種族だというのに意外にも味が良く、彼女は冒険者組合に報告して、
表向きはオークが集落を造らぬための監視、本心は旨いもの独り占めを目論んで、
ここしばらくこの広場で食材の到着を待ちわびているのである。
まあ、オークって旨いんですよ!などと仮に冒険者組合に情報を流したとしても。
お前食ったのか?うわ引くわー、信じられねー、とか言われるのがオチで。
ゲテモノ喰いルーナとか、肉なら何でもいい女とか言われてしまうだろう。
なので情報は流さない。決して横取りされたくないからではない。うむ。
監視のかいあって、はじめてからもう三回ほど獲物に遭遇。
モモ、ロース、ヒレ、バラ、ホホ肉、豚足(?)など試しまくっており、
調理では焼いたり煮込んだり蒸したりと更なる味の可能性を追求していた。
ちなみに前回は燻製肉も作っている。
レバーとかフワとかのモツだが、監視をはじめて一度目にさばいてみたものの、
中から寄生虫があいさつしてきて珍しくルーナは女の子らしい悲鳴を上げた。
こりゃあ何が飛び出すかわからない、とモツのほうはそれからあきらめた。
唯一ハツは寄生虫もいなかったが、こちらは歯ごたえが好みじゃなかった。
さて本日。
まだかなまだかな、と広場が見渡せる風下の場所に穴を掘って隠れ、
燻製肉をかじりつつ新鮮なやつが来ることを願っていたのだが。
がさがさと草をかき分けて、何かが数頭広場にやってきた。
…ゴブリンじゃん…。
成人男性の半分強、だいたいドワーフとどっこい位の背丈で人類の敵対種族。
一頭一頭はオークよりもかなり弱いが、知能は低いもののそれなりにあり、
何より群れで行動して、時に人間並みの連携を仕掛けてくるのが厄介。
実際、みすぼらしいが錆の浮いた刃物とか棍棒を持っている。
杖持ちはいないので魔法は使えなさそうだ。
全部で八頭、こいつらも放置するわけにはいかないので討伐するのだが…、
肉としては見られないため、ルーナのやる気は目に見えて表情に出た。
逃げられても面倒なので、奴らがバラけて行動するのを待つ。
穴から出て、風向きに注意しつつ一頭の背後を取って一瞬で首をへし折る。
他のゴブリンに気取られる前に死体を草むらに隠し、同様の手口であと三頭。
何かおかしい、と残りのゴブリンも気づき始めたところで、投剣で二頭。
こちらを指さした一頭を切り伏せ、戦闘態勢に入った最後の一頭も仕留める。
注意深く辺りを確認するが、こいつらに他の仲間はいないようだ。
ルーナは長く安堵の息を吐く。
投剣を回収し、倒したゴブリン八頭を広場に並べ、討伐部位の耳を切り取る。
あとはアンデッド対策を兼ね、確実に始末するため首を落とし、埋めるのだが。
オークでのあの成功体験がルーナの頭をよぎる。
ゴブリン…こいつらも食える…かなぁ…?
吐く息はクサい。体臭もクサい。腰ミノの中の下半身なんてめっちゃクサい。
今は鼻先を縮めているからマシだが、獣化した時は絶対遭遇したくない。
しかも腕やら足やら、筋肉はついてるがオークと比べて細っこい。
食いでもなさそうだし、やめとくか…?まだオーク肉の燻製結構残ってるし。
しばし葛藤した挙句、食わず嫌いは良くないと一応試してみることにした。
でも調理用包丁は使いたくないので、短剣でさばく。クサいの移ったらイヤ。
まずは腕と足の皮を剥いでみたのだが…肉までクサッ!
一体何食ってたらこんなクサみがにじみ出てくるんだよ…これはダメだ。
続いて内臓…もっとクサッ!短剣で開いた場所からあふれ出てくる!
腐肉とか好んで食ってるんじゃないの?こいつら。染みついてるとしか。
やめやめ!腹壊さなくてもこんな肉イヤだ!
用心して包丁使わなかったあたしエラい!
大急ぎで穴を掘り、全ての死体を穴に落として火をつけて燃やし、即埋めた。
穴を掘る際は早いので、普段は獣化して掘っているのだが、
匂いが酷いので人間体形のまま風上で穴を掘って埋めた。
町に帰還後、冒険者組合にはオークではなくゴブリンが出現したことを報告。
警戒水準を上げて引き続き監視をとの指示をルーナは受け、了承した。
捌いた短剣は報告後念入りに洗った。今度は肉が来ますように。と願いつつ。




