海と三日月
掲載日:2026/04/10
(短歌)
波音が
うるさいほどの民宿で
ふたり寝しながら漂った夢
潮騒に
負けてもいいと好きだよと
震える声で囁いた夜
幻の
影を夢でも追っている
写真立てにはありし日の笑み
君の名を
呼んでみただけ涙など
流れるなんて想いもせずに
落ちかけの
三日月みても心まで
落としそうにはならないように
ミズとエサ
それさえあれば生きられる
あなたに飼われてしまった檻で
三日月に
腰かけ箒を休ませる
とんがり帽子を脱いで微笑み
「あの星に
あなたがいればこの星の
あなたは今すぐ棄てられるのに」




