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配信切り忘れて歌を口ずさんでいたらバズった件について。  作者: 神崎玲


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2/5

方向性と謝罪会見

 やらかした次の日。

 私はこれから処刑される囚人のような気分で事務所に向かっていた。

 待ち構えているのはきっと説教かクビか。

 できれば説教で終わってほしい。

 配信の切り忘れは全Vtuberがおそれることの一つだ。

 身バレ、情報漏洩、素がバレて炎上するなど、さまざまな問題を一気に起こすことがありえてしまうというのが配信切り忘れのやばいところである。

 そのうち私は素バレをした。

 もう死ぬんじゃね?

 もともと鈴川輪廻は私、光東寺満のコンプレックスを全て克服し、私の好きなところをとことん入れて煮詰めたスーパー人格だと思っている。

 もともとこの地声も低くて気に入らない。

 素はちょっとヤンキーみたいな所あるし。

 

 そうこう考えているうちに事務所前まで到着。

 長い廊下を進み、一つのこと部屋の前まで通された。

 扉をたたき、ドアを開ける。

 「し、失礼します……」

 「お待ちしておりました。光東寺さん」

 中にはマネージャーと社長が座っていた。

 「こちらへ」

 案内された場所は入ってすぐのソファーである。

 ソファーに座ると社長と対面する形で座った。

 三者面談かよ!

 「ご足労いただきありがとう」

 「いえいえとんでもない!」

 「あまり長引いてもあれだし言うよ」

 「はい……」

 ありがとう。お母さんお父さん。私、あの世へ行きます。

 「これから音楽路線で活動してほしい」

 「そうですよね。クビですよね。申し訳なありって…え……?」

 「解雇のお話じゃないんですか?」

 「何を言う?まさかSNS見てないのか?」

 「ええ、やらかした日から一睡もできなくて。見る余裕なんてとても…」

 「仕方ないな。ほれ」

 社長が見せてくれたのは私のチャンネル。そこに示されていたのは……と、登録者五十万人!?!?

 「マジですか……」

 「大マジだよ」

 「君は知らないかもしれないが、あの後切り抜きがお大バズりしてトレンドにも乗ったんだから」

 「それどころか、君が歌った曲も再生数がとんでもなく伸びたんだ」

 マジか。もともと私は登録者十万人もいかない底辺Vtuberだったはずなのに。一体全体どうなってんだ?

 「そこで、このビックウェーブに乗らないわけにはいかないと思ってね。どうだい?音楽路線に切り替えないかい?トークも楽しければ続けたらいい」

 「私の音楽なんて下手で下手で聞いてられるものじゃありませんよ。音楽で売れるなんて一握りですよ」

 「君はどうしてこうも悲観的なんだ?でもとりあえずやってみなよ。光東寺さんがだめだって思うならまた元のスタイルへ戻せばいいから」

 そんなに励ましてくれるなんて社長は優しいな。こんな優しく言われると断りづらい。

 「わかりました。自分なりにやってみますが、期待しないでくださいね?」

 「わかったよ。気楽にやりなさい」

 音楽に自信なんてない。まじで趣味だから。でもちょっと面白そうではある。

 そういえば、アレの準備をしなきゃ。やらかして一発目の配信といえばあれだよな。


 「皆さんこん輪廻〜バンビス所属四期生鈴川輪廻です」

 『きちゃー!』

 『切り抜きから来ました!』

 『あの伝説をもう一度……』

 『こんなイケボバンビスにいたか?』

 『かっこよすぎて王子様かよ!』

 『配信のタイトルでもう笑える』

 「はいっということで、私の配信へ足を運んでくださりありがとうございます。この枠はご覧の通り謝罪会見の枠となっております」

 「ついでに重要なお知らせがあるのでお見逃しなく」

 「改めまして、先日は配信の切り忘れによって、多大なるご迷惑をかけて申し訳ございませんでした」

 「鈴川輪廻のイメージが崩れて、失望してしまった方々にも改めて謝罪をさせていただきます。申し訳ございません」

 『イケボ過ぎて何も耳に入らん』

 『ええんやで』

 『ていうか燃えなくて良かった…』

 『燃えるより歌唱力やばすぎて全部そっちに持ってかれたんだが』

 『そこら辺の言及も今日はするんだよな?』

 「はい!少し早いですが重大発表をさせていただきます。その後にマシュマロに答えていきます」

 「私、鈴川輪廻は今日をもって、音楽路線に切り替える運びとなりました」

 『口調が引退のあれなんだが……』

 『そりゃこれだけ歌うまけりゃね〜』

 『やはりイケボ過ぎて何も耳に入らん』

 「では、マシュマロに答えていきます。歌がうまいのにどうして歌を歌わないんですか……か」

 「私は本当に歌唱力について自信がないんです。歌や音楽鑑賞は趣味だし。ボイトレなんて五年しかやってないし、プロは一握りだとよく言うし、絶対勝負するなら歌じゃないよなって思った次第です」

 『ボイトレ五年しか……?私は幻聴を聞いてるのか?』

 『※お使いの端末は正常です』

 『これ一周回って全歌い手を敵に回している気がする』

 「え〜と、私は対してうまくないので過大評価するのはちょっと他の音楽活動をされる方に失礼かと……」

 『逆にお前は自分を過小評価しすぎだ』

 しーた『私の曲を歌った人がバズったと聞いて』

 『しーたさん!?』

 『しーたさんもようみとる』

 「しーたさん!?いつも曲聞いてます!しーたさんが作ったボカロ曲はいつも口ずさんでます。大好きです!」

 『ま さ か の 告 白』

 しーた『いつでも曲作ってやるからな!連絡しなさい!』

 『オリ曲逆オファーマ?』

 『俺達は伝説の人を見つけたのかもしれない』

 「しーたさんのオリジナル曲なんておそれ多い………さて、仕切り直して!他には音楽関係で何が出来ますか?か……」

 「楽曲のMIX、作詞、作曲、編曲、楽器はメッジャーなやつ一通りかな」

 「楽器はギター、バイオリン、ピアノ、ドラムらへんが得意だったりするけどあんまり期待はしないで」

 『なんでこんなやつ埋もれてたの定期』

 『鈴川輪廻のスペック:イケボ、歌唱力化物、楽器化物、曲作り化物。逆になんでこんなに自信ないのか気になる』

 『これが……!無自覚系主人公か……!』

 「じゃあこれで最後にしようかな。なんで音楽にここまで自信がないんですか?」

 「少し長いけどご容赦を。私のお母さんはピアニストでお父さんはバイオリニスト、姉は作曲家なんだけど、だからこそ自分も幼い頃から仕込まれて音楽をやっていた。だけど想像以上に才能なくて。職業にするなんて絶対無理だと思って、趣味でいいやって思ったんだよね」

 「バビンスにオーディションで受かったときも絶対に音楽はやらないって決めてた。中途半端に下手な音楽やるよりも趣味にとどめといたほうがいいと思って。回答になったかな?」

 『泣きそう……』

 『家族のこともあって打ちのめされたんやね』

 『ていうか輪廻の家族ハイスペすぎやろ」

 『鈴川輪廻人外説出てきそう』

 『確かに周りにうまいのしかいなかったら自分は下手って思うよな』


 これにて謝罪会見の枠を閉じることになった。

 正直、結構リスナーに赤裸々な話をしちゃったな〜って少し後悔中。

 本当にこれから音楽でやっていけるのかね?

お読みいただきありがとうございます。


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