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白色毛玉とおいしいもの食べ隊!  作者: はにか えむ


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7.フワリンの能力がすごいです!

 先ほど作った謎の何かが入った水瓶を前にうかれるフワリンを見て、私は水を飲みながら休憩していた。するとフワリンがふよふよと飛んでくる。

 フワリンは机の上に今日買った大量のトマトと玉ねぎ、リンゴを出すと「へぷー!」と鳴いた。「次!」と言っている。

 私は正直疲れていたけど、美味しいもののために頑張ることにする。しかしフワリンの手により頭の中に調理工程が浮かぶと、私は投げ出したくなった。

 トマトと玉ねぎとリンゴを原型が無くなるまですりおろしてザルでこす。この作業がどれほど大変か、やる前からわかってしまった。

 

「先生! 手伝ってください!」

 

 やる前から半泣きの私に、先生は苦笑いしながら手を貸してくれた。二人で一心不乱におろし金で玉ねぎとリンゴをすりおろす。トマトは柔らかいのですり鉢で潰す。それをザルでこしたら、真っ赤なスープのようになった。

 

「次はどうするの? フワリン」

 

 次に送られてきた映像はそれを鍋にいれて煮詰め、塩を入れる映像だった。私は映像の真似をして大量のトマトスープ? を煮詰める。フワリンが「へぷ!」と鳴くのでスプーンですくって味見させると、塩を入れて味を調整した。

 

「こんなにいっぱい作って大丈夫?」

 

 出来上がった何かは大きな壺に入れられることになった。これはスープではないのだろうか。食べてみたけど味が濃くて、とてもじゃないけどたくさんは飲めない。フワリンは「へぷっぷ」と伝えてきた。どうやらこのトマトスープは「ケチャップ」という名前のようだ。

  

 唐突に、フワリンから映像が送られてきた。それはこのケチャップをお米に混ぜて、そのお米の上に焼いた卵を乗せて上からさらにケチャップをかけた料理だ。「へぷー」とフワリンが弾んだ声で鳴く。「オムライス」という料理みたいだけど、どうして卵を乗せるのだろう。相変わらず不思議な料理だ。

 

 フワリンが口から出した余りの玉ねぎとチーズを細かく切って、バターを用意する。フライパンにバターをたっぷり入れて玉ねぎを炒めた後に、あらかじめ用意しておいたお米とチーズを入れた。

 ふわりとバターの香りがして、角切りにしたチーズがとろけた頃に、あのケチャップを少し入れる。

 

「いい匂いですね。おいしそうです」

 

 横で私が怪我をしないように見守ってくれているジュリー先生の目が、好奇心に満ちていた。前回のチャーハンもおいしかったから、これも期待してしまう気持ちはよくわかる。

 炒め終わったお米を三等分にしてお皿に盛ると、いよいよ卵の登場だ。実は私は卵を料理したことがない。だって卵は高いから、滅多に出ないご馳走だったのだ。

 

「いいですか、卵は平らなところにぶつけてひびを入れた後、優しく割ってくださいね」

  

 先生に卵の割り方を教わって、恐る恐るチャレンジしてみる。ひびを入れるのには成功したけど、割るときに殻のかけらが入ってしまった。力の入れすぎだ。「へぷー」とフワリンの呆れる声が聞こえる。

 

「大丈夫ですよ。入ってしまった殻は取りましょう。もう一度やってみてください」

 

 私は今度はそっと卵を割った。なんとか成功して安堵する。その後も大きな失敗をすることも無く用意されていた卵を割りきった。「へぷへぷへぷー」とフワリンが褒めてくれたから、上手くできたのだろう。

 次に送られてきた映像は、フライパンに混ぜた卵を注いで、ぐちゃぐちゃにかき混ぜながら焼く映像だった。なぜか完全に焼くわけではなくて、生の部分が残っている。それを見て、私は不安になった。

 

「先生、卵って生で食べても大丈夫でしたっけ?」

 

「そんなまさか! けっして生で食べてはいけない食材ですよ。よく火を通さなければいけません」

 

 私たちの会話を聞いていたフワリンが「へっぷぅ」と反省したような声を出した。フワリンは割った卵のところまで飛んでいくと「へっぷー!」と叫ぶ。目が七色に輝いたフワリンは満足げだ。

 

「今何したの?」

 

 フワリンに問うと「へぷぷ」と教えてくれた。「浄化」の能力を使ったのだそうだ。私の口からそのことを聞いたジュリー先生は、固まった。またフワリンは規格外のことをしてしまったようだ。

 

「浄化と治癒は聖人様と聖女様の能力です。この二つの魔法は特別なのです。ソレイル神の寵愛をうけた人間しか持ちえない。魔法陣をもってしても再現不可能な魔法なのです。過去には疫病が発生した場所に聖人様や聖女様がおもむき、街全体を浄化することで被害を最小限に抑えた例があります……まさかフワリン。治癒まで使えるとは言いませんよね」

 

 最後の先生の言葉はそうであってほしくないと祈るようだった。「へぷ」と鳴いて左右に揺れるフワリンを見て、先生は安心したようだ。さすがのフワリンも治癒は使えないのか。まあ浄化が使えるだけでも大問題なんだけど。

 

「この卵。生で食べられるようになったの?」

 

 話を戻すと「へっぷ!」と自信に満ち溢れた返答があった。だったら映像みたいに生の部分が残っていても大丈夫なのだろう。

 私はさっそく、フライパンに卵液を流し込んだ。映像のようにぐるぐるかき混ぜたが、なんだかうまくいかない。ところどころに穴が開いて、多分焼きすぎなところもある。最終的に生の部分がなくなって、なんだかおいしくなさそうだ。

 先に盛ってあったご飯の上に乗せたけど、あんまりきれいじゃない。

 

 フワリンが「へっぷ」と鳴いて、「早すぎ」だと教えてくれる。どうやらかき混ぜるスピードで出来栄えが変わるようだ。

 次はゆっくりとかき混ぜると、ちょうどいい具合に均一にとろとろの部分を作ることができた。これは先生に食べてもらおう。

 三人前作って、上からもういちどケチャップをかける。とろとろの卵がおいしそうだ。

 ちょうど夕食時になったので、そのまま食卓を囲む。

 

「いただきます!」

 

 お祈りをして、オムライスをスプーンですくう。口を大きく開けて、ご飯も卵も一緒に口の中に放り込んだ。

 まず感じたのは圧倒的なトマトのうま味。ケチャップを単体で舐めた時には味が濃いなと思っていたけど、お米と卵と合わせるとちょうどいい。少し尖ったトマトの酸味に、バターのまろやかさが絡み合ってコクのある味わいになっている。

 そして卵のとろみが優しくお米の一粒一粒に絡みついて、さらなる深みを生み出していた。中に入れたチーズがトマトと卵を繋いで、まるで口の中で仲良くたわむれているようだ。

 

「おいしい!」

 

 一口でオムライスを平らげたフワリンは、しばらく黙り込んでいた。「へぷ」と鳴くと「足りない」という言葉が伝わってきた。こんなにおいしいのに、何が足りないのだろう。フワリンの目指す味の極みはいったいどこにあるのか。

 ほっぺが落ちてしまいそうな幸せな食事が終わると、先生がお茶を入れてくれながら言った。

 

「クリスタお嬢様。明日は神殿に行ってルートさんにフワリンのことを伝えた方がいいかと思います。……空間魔法に浄化魔法、それに正体不明な菌類生成という魔法。神殿に隠したままでいるのは良くないかと」

 

 確かにルートさんには伝えておいたほうがいい。神殿に能力を開示すれば、権力者に私とフワリンの意にそわないことで力を使えと命じられても逃げられる。それほどの影響力を、神殿はもっている。使い魔はソレイル神の加護。神殿はその能力を不当に搾取しようとする者を許さない。

フワリンは子供のクリスタでも作れるように、レシピのレベルをあわせて見せてあげています。

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