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他の誰とも違う道

夢で見た、血を流す十字架のフラッシュバックが、ミサの最中のマリーを苦しめていた。司祭が厳かに唱える「これは、あなたがたのために流されるわたしの血である」という言葉は、聖書の解釈が正しければ、救い主の御言葉そのもののはずだった。だが、マリーが何よりも心をかき乱されたのは、パンとワインは血と肉の単なる象徴ではなく、その実体そのものである、と結ばれた司祭の最後の言葉だった。


使徒教会は吸血鬼を助長しているのではないかという、不気味な考えが頭をもたげた。それが冒涜的な考えであることに気づき、彼女は恐ろしくなってすぐさまその考えを打ち消した。教会の中で雷に打たれるなんて、そんな事態だけは絶対に避けたかった。


やがて、聖体拝領の時が来た。案内係に促され、マリーは自分の列の信者たちと共に、うつむき加減で恭しく手を組みながら列に加わった。頭の中から雑念を追い払おうと努めたが、司祭の言葉と、あの血の赤色の閃光が何度も蘇ってくる。彼女は小さく、必死に頭を振ってそれを振り払った。救い主の御体を拝領する際に、これほど生々しい幻視に囚われることなどあってはならない。


列の先頭に着くと、マリーは唇を開き、司祭がその舌の上に小さな白い聖体を乗せるのを受け入れた。そして彼女は聖杯のある方へと進んだ。聖杯を捧げ持っていたのは一人の信者で、その満面の笑みは、マリーの不安を和らげるにはほとんど役に立たなかった。その時になって初めて、マリーは自分のすぐ後ろに、あの少年、ケイレブがいることに気がついた。


彼女は差し出された杯から、注意深く一口を飲んだ。ほんの僅かな量だったが、それで十分すぎた。苦く、鉄錆のような味に体がこわばり、突然の反射的な痙攣と共に、彼女はその液体を吐き出してしまった。周囲から驚きの息をのむ音が上がる。マリーはゆっくりと両手を口元へ持っていった。その味は紛れもないもので、確かめる必要などなかったが、それでも彼女は見てしまった。


血で真っ赤に染まった両手を、彼女はゆっくりと下ろした。


恐怖と嫌悪が入り混じった低いうめき声が漏れる。逃げ出したいという必死の衝動に駆られ、彼女は後ずさりを始めた。「どこにも安全な場所なんてない」と彼女は思った。この荘厳な教会の中にさえ、あの血生臭い惨劇が付きまとうのであれば、一体どこへ行けばいいというのだろう。


呆然とする人々の顔を背景に、マリーは身を翻し、祭壇へと続く通路を駆け下りた。人々の視線や、後方で飛び交う囁き声を無視して、彼女は教会の扉を押し開け、外の石段へと転がり落ちた。そしてそこにうずくまり、両手で顔を覆い、堰を切ったように泣きじゃくった。


自分の泣き声があまりに大きく、彼が近づいてきたことに気づかなかった。彼が隣に立つまで。はっとして顔を上げると、ケイレブがそこに座り、その腕をそっと、しかし力強く彼女の肩に回していた。


「大丈夫」と彼は言った。「その色も味も、すぐに消える。決して消えない染みになることはないから、覚えておいて」


マリーは彼を見つめた。生まれて初めて、自分の瞳が石のように硬くなったのを感じた。「どうしてこんなことが私に起きるの?」と彼女は問い詰めた。「あなたは何が起きているか知っているの?」


ケイレブの眼差しは、同情と憐憫が入り混じった色をしていた。「君の道は、他の誰とも違うんだ」と彼は静かに言った。


「でも、なぜ?」と彼女は泣きながら訴えた。「私、こんな目に遭うようなこと、何もしていない」


「神は乗り越えられない試練はお与えにならない」と、ケイレブは真剣な口調で答えた。


「じゃあこれは何?」マリーはまだ唇に残る血を、怒りを込めて指差した。「これは少し厳しすぎるんじゃない?教会でさえ、私を守ってはくれない。何もかもが汚されてしまった」


その時初めて、ケイレブの瞳から確信が揺らいだ。「それは…起こるはずのないことだった」


マリーの嗚咽が止まり、赤く泣き腫らした目で彼を見つめた。「じゃあ、なぜ起きたの?」


「彼女のせいだ」とケイレブは率直に言った。「君が彼女を呼んだから。やめた方がいいと僕は言ったはずだ。これで理由がわかっただろう。もう二度としなければ、この一部は終わる」


「一部ですって?」マリーの声は怒りに震えた。「そもそも、なぜ彼女を呼んではいけないの?彼女は、すべてを終わらせる方法を教えてくれた。彼女の方が、もっと良い考えを持っているわ」


「違う!」彼の声の激しさに、マリーは息をのんだ。「彼女は答えなど持っていない。彼女が君を欲しがっているのは、君がいずれなるべき存在のせいだ。その存在は、彼女の信者を奪うことになるから。後になって君を失うより、今、君を手に入れる方が、彼女にとってはるかに大きな勝利になる。彼女が気にしているのはそれだけだ。君の幸せなんて、どうでもいいんだ」


「でも、あなたにとっては違う」それは問いかけではなく、事実を述べる響きだった。


ケイレ-ブは苦しげな表情で立ち上がった。「君が思っている以上にな。君がこんな辛い目に遭っていることは、本当に申し訳なく思う。でも、聖域はある。最も安全な聖域は、深淵を旅した後に見つかることが多いんだ。『信じる心』は、石よりも強固だから」彼はそれだけ言うと、マリーが呼び止める間もなく背を向けて去っていった。


彼女は数分間、石段に座ったまま、この新たな展開に世界がぐるぐると回るのを感じていた。やがて、彼女は身じろぎした。ミサが終わり、信者たちが出てくる頃だろう。自分が引き起こした騒ぎの中心にいるのは避けたかった。


マリーは立ち上がり、少しよろめきながら歩き出した。家に向かったが、そこに着くのをためらった。今回の「問題行動」について、両親に自分から話すべきか、それとも心配した誰かが知らせてくれるのを待つべきか、一瞬考えた。結局、彼ら自身で知ればいいと結論付けた。


しばらくあてもなくさまよった後、彼女は踵を返した。外にいても、他に行く場所などない。重い足取りで、彼女は再び歩き続けた。


ようやく家にたどり着くと、家の中が静まり返っていることに安堵した。両親の都合のいい病気は、どうやらすぐに治ったらしい。


説明のつかない疲労感に襲われながら、マリーは自室に向かった。ベッドに倒れ込むと同時に眠りが彼女を捕らえ、心地よい、夢を見ない無意識の底へと引きずり込んでいった。

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