そして、他のすべての人々のために
いつもと変わらない朝だった。
マリー・レインストーンは、執拗に続くドアのノックの音で微睡みから覚めた。彼女が返事をする間もなく、母親が部屋に入ってくる。
「マリー?今朝、お買い物に行くんでしょう?」
マリーは眩しさに目を細めながら、なんとか体を起こした。数秒間、彼女の意識は霧に包まれ、見慣れた部屋の景色がぼんやりと映る。だが、次の瞬間、昨夜の出来事が痛々しいほど鮮明に蘇ってきた。教会でのルシエルとカレブ、カレブの死、そしてルシエルの敗北。
「あなた、その手はどうしたの?」
母親の心配そうな声に、マリーは視線を落とした。そこには、昨夜帰宅してから急いで巻いた、間に合わせの包帯があった。
「なんでもないわ」マリーは母親の視線を避けながら言った。「昨日、転んで擦りむいただけだから」
母親は明らかに安堵した様子だった。「そうなの?てっきり、また何かあったのかと思って…」
マリーは、母親が何を言っているのか正確に理解しながら首を横に振った。「ううん、何もないわ。いつも通りよ」
いつものことだ。その方が間違いなく生きやすい。
「それならいいわ。出かける前に、支度して朝食を済ませてね。今日はたくさんお店を回るから、ちゃんと食べておかないと」
マリーがどうにか小さな笑みを浮かべると、母親はそれで満足したのか部屋を出ていった。
一人になり、マリーは慎重にベッドから出る。何事もなかったかのように振る舞う、いつもと同じ一日が始まるのだと、彼女の一部はそう予期していた。
しかし、窓から差し込む陽の光を見つめていると、新しい考えが彼女を捉えた。自分の人生がもはや普通ではないという事実を、初めて恐れていない自分に気づいたのだ。それどころか、深い安堵感に包まれていた。
静かな虚空に祈りを捧げ、捉えどころのない約束にすがりついていた日々は終わった。自分の信仰が、子供たちを従わせるための作り話の集まりではないという確信があった。そして、使徒教会の支配さえも及ばない力や現実が存在するという知識に、慰めを見出した。教会が、すべてにおける最終的な権威ではないのだ。
窓の外に目をやると、いつも見ていた通りの向かいの家だけでなく、その向こうに広がる世界が初めて見えた気がした。世界は、自分がこれまで認識していたよりも、はるかに広大だった。
キッチンでは、母親がテーブルに皿を並べていた。「さあ、早く食べて。出かけるわよ」と彼女は促した。
マリーは頷いて椅子に腰を下ろす。数口食べたところでふと顔を上げると、母親が不思議そうな顔でこちらを見ていた。
マリーは、ただ一言、言った。「ありがとう」
母親は一瞬虚を突かれたようだったが、すぐに気を取り直した。「どういたしまして、さあ、お食べ」
マリーは微笑み、再び食事に戻った。
やがて二人は車に乗り、朝の空いた道路をモールへと向かう。見慣れた通りに差し掛かったとき、マリーは身を起こした。
「ママ、ちょっとだけ停まってもらえる?」
母親はあたりを見回す。「どうして?」
「ちょっと…確かめたいことがあるの」とマリーは言った。
母親は頷くと、巧みなハンドルさばきで車を路肩に寄せた。マリーは車を降り、通りを少し戻って教会へと向かう。中に入ると、見慣れた薄暗い玄関ホールに、巨大な十字架が今もそびえ立っていた。蝋燭はすべて消え、燃えかすだけが残っている。いくつかは通路に沿ってなぎ倒されていた。
聖域は静寂に包まれ、空気は少し冷たく、まるで長い間見捨てられていたかのようだった。
マリーはゆっくりと通路を進み、祭壇の前で足を止めた。床を調べたが、昨夜の激しい争いの痕跡はどこにもない。カレブも、ルシエルもいない。足元には冷たい石の床が広がり、彫刻が施された救い主の像が彼女を見下ろしているだけだった。
マリーは顔を上げ、十字架像の複雑な傷跡を目でなぞった。無意識のうちに、包帯の巻かれた自分の手のひらに触れ、かつての聖痕を思い出す。
数秒後、彼女は頭を垂れた。何かを語りたいという衝動が内から湧き上がったが、その考えは馬鹿げているように思えた。何を言うことがあるだろう?祈る必要を感じたとしても、もはや声に出す必要はないのだ。
(あの方はご存じだわ)彼女は心の中で呟いた。(すべてを、すでにご存じなのだから)
微かな笑みを唇に浮かべ、彼女は踵を返した。
薄暗い聖堂から再び眩い日の光の中へ足を踏み出したマリーは、目が慣れるまで手で光を遮った。視界がはっきりしてくると、通りの向こうから一人の人影が近づいてくるのが見えた。
ルシエルだった。
マリーは立ち止まったまま、彼女が近づいてくるのを見つめた。不思議なことに、心に湧き上がったのは恐怖ではなかった。この人物に対する恐れは、もはや乗り越えなければならないものではない。近づいてくる少女は、昨夜の脅威的な姿とは似ても似つかなかった。
いつもの黒い服を着てはいたが、ルシエルの顔は泥と涙の跡で汚れ、金色の髪はもつれたまま乱れていた。うつむいて歩いていたせいで、マリーの存在にはほとんど目の前まで来るまで気づかなかったようだ。はっと顔を上げた彼女は、マリーとその後ろにある教会を交互に見て、足を止めた。
マリーは、意外にも相手に同情している自分に気づいた。
「あなたの勝ちよ」ルシエルが感情のない声で言った。「祝福された人生にお帰りなさい」
「私は呪われていると思っていたわ」マリーは言葉を選んで答えた。「でも、ええ、あなたの言う通りかもしれない」
ルシエルはうめき声を上げて呆れたように目を回し、マリーの横を通り過ぎようとした。
「どんなに罪深い者でも、祝福されることはあるのよ」
マリーは一歩踏み出し、ルシエルの行く手を遮った。なぜそんなことをしたのか、自分でも分からなかった。ルシエルの目に宿る怒りを見て、一瞬、この場から逃げ出したいと思った。だが、彼女は逃げる代わりに、ルシエルの肩に手を置いた。
「そんな風に生きる必要はないのよ」マリーは囁いた。「許しはあなたのものよ。ただ求めさえすれば」
ルシエルはマリーの手を振り払おうとしたように見えたが、その内なる何かが彼女を躊躇させた。彼女は視線をそらし、その全身から力が抜けていくようだった。「できない。私は…救われない」
マリーは手を下ろし、一歩後ろに下がった。「まだ間に合うわ。いずれ、あなたも自分を取り戻せるはずよ」
ルシエルの唇が震え、涙を懸命にこらえているのが分かった。彼女は鼻をすすり、顔を背けた。
「私の家は知っているでしょう」マリーは付け加えた。「準備ができたら、私が力になる」
ルシエルは再びマリーの方を向いた。その額には、マリーの言葉と、その寛大さが理解できない、という戸惑いが刻まれていた。
「安らかに、行きなさい」
マリーはそう言うと、背を向けた。母親の車へと戻り、助手席に乗り込む。
車が路肩を離れるとき、母親が尋ねた。「今の、誰?」
マリーは少し間を置いた。「昔の友達よ」彼女は答えた。「ようやく、分かり合えそうになった人」
「そう、それはよかったわね」母親は車線変更の機会をうかがいながら、上の空で呟いた。
マリーは微笑んだ。何が起こったのか、なぜ起こったのか、まだ完全には理解できていない。けれど、物事の全体像が見え始めていた。そして、初めてそれを最後までやり遂げる力が自分にはあるかもしれない、と。
彼女はカレブの犠牲と、その強さを思った。彼は彼女を信じていた。彼女のために、命を捧げたのだ。
その理由だけでも、自分は特別な存在でなければならない。
何をすべきかはまだ分からない。それでも、これを最後までやり遂げなければならない。カレブのために。
そして、他のすべての人々のために。
この物語の最後のページまでたどり着いてくださり、心より感謝申し上げます。
マリーの物語は、どんなに暗く、孤独な闇の中にあっても、一筋の希望の光を探し求める旅路の記録です。
信仰とは何か、苦しみとは何を意味するのか、沈黙の中で捧げられた祈りは届くのか……この物語を書きながら、私もマリーと共に自問自答しました。
もしかしたら信仰とは、用意された答えを見つけることではなく、最も困難な時であっても問い続け、そして次の一歩を踏み出し続ける勇気そのものなのかもしれません。
この物語が、あなた自身の人生における「見えない戦い」に立ち向かう中で、どんなに辛い時でも「独りではない」と、少しでも感じていただけたなら、作者としてこれ以上の喜びはありません。




